児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2024-01-01から1年間の記事一覧

画像送信要求罪と、撮影・送信させる行為(不同意わいせつ・児童ポルノ製造罪・性的姿態撮影罪)は牽連犯・観念的競合か

画像送信要求罪(182条3項)というのができて 刑法 第一八二条(十六歳未満の者に対する面会要求等) 3十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を…

迷惑条例の盗撮罪と児童ポルノひそかに製造罪は併合罪(第1と第2、第5と第6)、強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪は観念的競合(第4)、性的姿態撮影罪とひそかに製造罪は併合罪(第5と第6)、不同意わいせつ(176条3項)と性的姿態撮影罪と姿態をとらせて製造罪は併合罪(第7と第8と第9)(佐渡支部R6.3.21)

迷惑条例の盗撮罪と児童ポルノひそかに製造罪は併合罪(第1と第2、第5と第6)、強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪は観念的競合(第4)、性的姿態撮影罪とひそかに製造罪は併合罪(第5と第6)、不同意わいせつ(176条3項)と性的…

児童ポルノ製造罪と不同意わいせつ罪・強制わいせつ罪を観念的競合にするときの落とし穴

児童ポルノ製造罪と不同意わいせつ罪・強制わいせつ罪を観念的競合にするときの落とし穴 判決速報令和3年17号で、観念的競合にした事案(大阪高裁r3.7.14)が紹介されたので、起訴検察官に観念的競合が流行っています。 令和3年17号 強制わいせつ,児童買…

数回の性的影像記録提供は包括一罪(東京地裁r6.3.26)

数回の性的影像記録提供は包括一罪(東京地裁r6.3.26) 併合罪かと思ってました D1-Law.com判例体系 令和6年3月26日/東京地方裁判所/刑事第7部公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反、性的姿態等撮影、性的影像記録提供等…

風呂場盗撮・脱衣場盗撮・教室着替え盗撮と「人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているもの」

撮影対象が16歳以上の場合に適用される法2条1項イには「人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの」という除外要件がある。 撮影を許諾していなくても、「人が通常衣…

13歳未満の児童に裸画像を要求して、撮影送信させ保存した場合の、不同意わいせつ罪(176条3項)    児童ポルノ製造罪(7条4項)    面会要求罪(182条3項2号)    性的姿態撮影罪(2条1項4号)の重なり合い。

13歳未満の児童に裸画像を要求して、撮影送信させ保存した場合の、不同意わいせつ罪(176条3項) 児童ポルノ製造罪(7条4項) 面会要求罪(182条3項2号) 性的姿態撮影罪(2条1項4号)の重なり合い。 要求罪と、他罪は牽連犯になるかな。 不同意わいせつ罪(1…

わいせつ誘拐罪と青少年条例違反(性交)は牽連犯で、わいせつ誘拐罪と児童ポルノ製造罪(7条4項)とは併合罪(横浜地裁r5.8.29)

わいせつ誘拐罪の「わいせつ目的」というのは、姦淫とか売春とかも含む広い概念ですが、裁判例を見ると、わいせつ誘拐と青少年条例違反罪は併合罪で処理されていることが多いので、控訴して訴因変更の違法を主張すれば説得力があったと思います。牽連犯かど…

「女性社員の化粧品など5点に体液を付着させるなどし、事情を知らない女性社員に使用させた」行為は、わいせつ行為か

弁護人が参照すべき文献・判例を挙げておきます。 https://www.asahi.com/articles/ASS9M30PQS9MPLXB007M.html 8月21日夜から22日未明にかけて、職務時間外に社屋に侵入し、社内に置かれていた女性社員の化粧品など5点に体液を付着させるなどし、事情を知ら…

性的影像記録提供罪・保管罪の客体は、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律施行前の所定の行為によって撮影されたものも含むみたいだ

「前条第一項各号に掲げる行為若しくは第六条第一項の行為により生成された」で、「行為によって生成された」とされていて「罪によって生成された」とはされてないから。判例一個欲しいところだが (性的影像記録提供等) 第三条性的影像記録(前条第一項各…

スカート内を撮影して下着が撮影された場合は、条例5条1項2号が適用されるのか、性的姿態撮影罪(2条1項1号イ)が適用されるのか?~東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 (昭和37年10月11日東京都条例第103号)5条2項の盗撮行為の禁止規定と、性的姿態撮影罪(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項1号)との関係(法条競合とか観念的競合とか) 

スカート内を撮影して下着が撮影された場合は、条例5条1項2号が適用されるのか、性的姿態撮影罪(2条1項1号イ)が適用されるのか?~東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 (昭和37年10月11日東京都条例第103号)5条2…

不同意わいせつ罪と姿態をとらせて製造罪と性的姿態撮影罪は観念的競合なのか~札幌地裁r6.8.1を題材に

不同意わいせつ罪と姿態をとらせて製造罪と性的姿態撮影罪は観念的競合なのか~札幌地裁r6.8.1題材に判示第4は、 不同意わいせつ罪と姿態をとらせて製造罪と性的姿態撮影罪は観念的競合になっていますが、高裁判例上不同意わいせつと製造罪は併合罪です。 性…

数日間隔がある数回の児童ポルノ製造行為を製造罪の包括一罪とした高裁判例

数日間隔がある数回の製造行為を製造罪の包括一罪とした高裁判例 理由は、 児童淫行罪と同様に(1回ごとの権利侵害ではなく)児童の福祉という継続的・包括的な利益を害するという理解 一個の犯意に基づく反復的行為であること と思われる。①東京高裁h171226…

不同意わいせつと、姿態をとらせて製造罪と性的姿態撮影罪は観念的競合(札幌地裁r6.8.1)

不同意わいせつと、姿態をとらせて製造罪と性的姿態撮影罪は観念的競合(札幌地裁r6.8.1) 強制わいせつ罪(176条後段)と製造罪とは併合罪でしたよね。 性的姿態撮影罪がご飯粒の糊みたいに作用するんですかね。 札幌地方裁判所令和6年8月1日刑事第3部…

コスプレ盗撮行為に関して、「性的姿態等が不特定又は多数の者の目に触れる状況であることを認識しながら自ら露出し又はとっている者が、撮影行為までも許容する意思なのか、その場で見られることだけしか許容しない意思なのかは、外形的・客観的に区別が困難であり、撮影対象者の内心で区別するほかないが、そのような内心のみで犯罪の成否が分かれることとすると、処罰の外延が不明確になると考えられることから、一律に撮影対象から除外することとしている」(法務省逐条説明)

コスプレ盗撮行為に関して、「性的姿態等が不特定又は多数の者の目に触れる状況であることを認識しながら自ら露出し又はとっている者が、撮影行為までも許容する意思なのか、その場で見られることだけしか許容しない意思なのかは、外形的・客観的に区別が困…

住居侵入罪と性的姿態撮影罪は牽連犯(山形地裁r6.5.27)

住居侵入罪と性的姿態撮影罪は牽連犯(山形地裁r6.5.27) 古来、侵入して盗撮するという行為態様はあると思うが、通常手段結果と言えるのかは疑問。 実刑事案の場合は、訴因不特定とか言ってみて。 ■28322277 山形地方裁判所 令和06年05月27日 第4 被…

乳房に触れる行為がわいせつ行為(刑法176条)と評価されるにはある程度の強度執拗性が求められる話

乳房に触れる行為がわいせつ行為(刑法176条)と評価されるにはある程度の強度執拗性が求められる話 https://www.bengo4.com/c_1009/n_17901/ 「わいせつ」については、最高裁大法廷判決(平成29年11月29日)以降、明確な定義がありませんが、「客観的に性的…

「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて」「衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れる」行為(東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例5条1項1号)

東京都の条例なので、東京都の解説書が参考になります。 https://www.bengo4.com/c_1009/n_17901/ ●故意ならば「迷惑防止条例違反」になるおそれも ——他の罪はどうでしょうか 次に、東京都内での行為ということで、いわゆる「卑わいな行為」(東京都迷惑防止…

「児童の陰茎を手淫する姿態」「被害児童の陰茎に被告人の陰茎をこすりつけて同児童に自慰行為をさせ、被告人が同児童の陰茎を左手で手淫し、さらに、同児童に被告人を相手に口腔性交させる姿態」は3号ポルノか(さいたま地裁r6.6.7)

確定したそうですが、 判示第2 別表1 1 R4.4.29 児童の陰茎を手淫する姿態 2 r5.1.8 被害児童の陰茎に被告人の陰茎をこすりつけて同児童に自慰行為をさせ、被告人が同児童の陰茎を左手で手淫し、さらに、同児童に被告人を相手に口腔性交させ…

性的姿態撮影罪2件で懲役8月実刑(大分地裁r6.5.1)

「平成29年9月12日及び令和元年5月28日に、スカート内に携帯電話機あるいは被告人の手を差し入れるなどした事実について罰金刑に処された後、令和3年12月23日には13歳未満の者に対するわいせつ行為に及んだ事実及びワンピース内にタブレット…

「例えば行為を行なった場所が東京都であれば、故意、過失がなく『18歳以上と信じるのが通常』とされれば、罪は成立しないこともあります」という弁護士のコメントは誤り。

「例えば行為を行なった場所が東京都であれば、故意、過失がなく『18歳以上と信じるのが通常』とされれば、罪は成立しないこともあります」という弁護士のコメントは誤り。 他の自治体は違うのだが、東京都内の淫行についていえば、 東京都青少年の健全な育…

年令を偽った未成年者との性的行為

未成年者が成年者を自称していた場合の淫行については、 東京都では禁止はされているが(18条の6)、過失は処罰されていない(28条に18条の6、24条の3が挙げられていない)。 埼玉県では過失の場合も処罰されて、「過失がないとき」とは、単に青少年に年齢や…

1回の住居侵入で数個の不同意わいせつ(致傷)罪を犯しても、科刑上一罪(かすがい現象)

牽連犯自体に批判があり、かすがい現象にも批判があるので、東京高裁に聞いてみたところ、令和になっても、牽連犯・かすがい現象が確認されました。 https://www.uhb.jp/news/single.html?id=44542 共同住宅の2階の部屋に侵入し包丁を見せるなどして10代の姉…

性的姿態等撮影罪と不同意わいせつ罪・監護者わいせつ罪は観念的競合?併合罪?

「3前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。」の解説なんだけど、同一機会の撮影行為と不同意わいせつ行為があったとして、科刑上一罪説だと、一事不再理効が働くから、先に撮影罪が確定してしまうと、あとから不…

映像送信要求罪と、不同意わいせつとの関係

映像送信要求罪と、不同意わいせつとの関係 法曹時報の解説は、観念的競合になることもあるし、牽連犯になることもあるし、併合罪になることもあるというので、決まらない。 さらに、法曹時報(注13)の事案は、いずれも、「撮影させ」までが強制わいせつ罪…

不同意性交罪と不同意わいせつ罪の包括一罪(新潟地裁r6.3.14)

不同意性交罪と不同意わいせつ罪の包括一罪(新潟地裁r6.3.14) 判示第2の「手に持ったスマートフォンを使用し、その陰部付近に陰茎が押し当てられ、その膣内に手指を挿入して性交等がされている間の同人の姿態などを動画撮影し」というのもわいせつ行為その…

援助交際型不同意性交罪(熊本地裁R6.5.16)酌量減軽 求刑5年6月

援助交際型不同意性交罪(熊本地裁R6.5.16)酌量減軽 lex/db 【文献番号】25620280 熊本地方裁判所令和5年(わ)第602号 令和6年5月16日刑事部判決 主 文被告人を懲役3年と処する。 未決勾留日数中110日をその刑に算入する。 この裁判が…

肛門に繰り返しマドラーを挿入するというわいせつ行為(静岡地裁r6.4.15)

肛門に繰り返しマドラーを挿入するというわいせつ行為(静岡地裁r6.4.15) 28321798 【裁判年月日等】 令和6年4月15日/静岡地方裁判所/強制わいせつ、性的姿態等撮影被告事件 D1-Law.com判例体系 理由 (罪となるべき事実) 第1(令和5年(わ)第4…

迷惑条例の常習盗撮行為と、性的姿態撮影罪を混合的包括一罪(観念的競合・常習一罪)とした事例(観音寺支部R6.1.11)

客体は「自然人」ですが、動画なので、被害者が特定できなくても立件できます。 訴因変更が引っかかります。 28320720 【裁判年月日等】 令和6年1月11日/高松地方裁判所観音寺支部 性的姿態等撮影、同未遂、香川県迷惑行為等防止条例違反被告事件 D1-La…

性的影像記録保管罪の法定刑は意外と軽い

手元に所持してるのも「保管」に入るということだろうなあ。混乱するな。 因みに刑法175条2項は、電磁的記録は「保管」、有体物は「所持」、児童ポルノ法では、手元に置くのが「所持」、オンラインストレージに置くのが「保管」不特定又は多数の者に提供する…

50回の撮影行為を50罪の姿態をとらせて製造罪の併合罪とした事案(東京地裁r06.3.25)

50回の撮影行為を50罪の姿態をとらせて製造罪の併合罪とした事案(東京地裁r06.3.25) 判示第2が 第2(訴因変更後の令和5年8月15日付け追起訴状記載の公訴事実) となっていて、1回の製造罪に49回の製造罪を訴因変更で追加した疑いがあります。 【判例I…