児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性的姿態撮影罪2件で懲役8月実刑(大分地裁r6.5.1)


「平成29年9月12日及び令和元年5月28日に、スカート内に携帯電話機あるいは被告人の手を差し入れるなどした事実について罰金刑に処された後、令和3年12月23日には13歳未満の者に対するわいせつ行為に及んだ事実及びワンピース内にタブレット端末を差し入れ、下着を撮影した事実で懲役2年・4年間執行猶予(保護観察付き)の判決を言い渡されている。その執行猶予期間中」だと実刑になる。
 迷惑条例に比べてそう重くない


D1-Law.com判例体系
■28322494
大分地方裁判所
令和06年05月01日
 上記の者に対する性的姿態等撮影被告事件について、当裁判所は、検察官小弓場赳夫及び弁護人小野貴久出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役8月に処する。
未決勾留日数中20日をその刑に算入する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、正当な理由がないのに
第1 A(当時6歳)が13歳に満たない者であることを知りながら、令和6年2月10日午後3時55分頃、大分県(以下略)C店において、同人が履いていたスカート内に撮影機能付きスマートフォンを差し入れ、同スマートフォンで同人が身に着けているショーツの臀部を覆っている部分を撮影し
第2 B(当時7歳)が13歳に満たない者であることを知りながら、同日午後4時14分頃、前記(省略)Dにおいて、同人が履いていたスカート内に撮影機能付きスマートフォンを差し入れ、同スマートフォンで同人が身に着けているショーツの臀部を覆っている部分を撮影し
たものである。
(証拠の標目)括弧内の甲乙の数字は、証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号を示す。
(法令の適用)
1 罰条
  第1、第2 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律附則2条による同法2条1項4号、同1号イ
2 刑種の選択
  第1、第2 懲役刑を選択
3 併合罪の処理
  刑法45条前段、47条本文、10条(犯情が被害者ごとに異ならないのでその一つを選ぶことをしない。)
4 未決勾留日数の算入
  刑法21条
5 訴訟費用
  刑事訴訟法181条1項本文(負担)
(量刑の理由)
 被告人は、本件犯行現場において女児を物色し、ターゲットとなった各被害者を発見すると、その容貌を撮影するなどしながら後を付け、女児が親族から離れて一人になった隙を狙って本件各犯行に及んだものであり、その犯行態様は、警戒心の低い女児を狙った卑劣で手慣れたものといえ、悪質である。また、本件各犯行は、各被害者が本件各犯行の意味を理解するようになった際には、各被害者に性的羞恥心や嫌悪感を抱かせ、苦痛を感じさせるものであることは容易に想像され、その被害の結果も大きいといえる。さらに、被告人は、女児であれば警戒心が低く、犯行の発覚を防ぐことができると考え、自己の性的欲求を満たす目的で本件各犯行に及んでおり、その身勝手な意思決定は強い非難に値する。加えて、被告人は、平成29年9月12日及び令和元年5月28日に、スカート内に携帯電話機あるいは被告人の手を差し入れるなどした事実について罰金刑に処された後、令和3年12月23日には13歳未満の者に対するわいせつ行為に及んだ事実及びワンピース内にタブレット端末を差し入れ、下着を撮影した事実で懲役2年・4年間執行猶予(保護観察付き)の判決を言い渡されている。その執行猶予期間中であるにもかかわらず、被告人が本件各犯行に及んでいることからすれば、その常習性は明らかであり、再犯の可能性も高い。
 以上の基本的な評価を前提に、被告人が捜査段階から一貫して本件各犯行を認めており、公判廷においても謝罪や反省の言葉を述べるとともに、今後は自分の間違った考えを精査し、罪としっかり向き合う旨の反省文を作成していること、被告人の父が被告人の監督を再度誓っていることなどを考慮して、主文のとおりの刑を科すのが相当と判断した。
(求刑 懲役1年2月)
刑事部
 (裁判官 北島聖也)