児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

逐条実務刑事訴訟法における奥村弁護士事件

訴訟法でも3件程度取り上げられています。 312条p741 c 作為犯と(不真正)不作為犯一般に,作為犯の訴因に対して不作為犯を認定し,あるいは,不作為犯の訴因に対して作為犯を認定する場合は,訴因変更が必要であると考えられている。例えば,児童ポルノ画…

被告人宅にあるポータブルHDDについて、児童ポルノ提供目的保管罪を適用した事例(某地裁h30.11.5)

児童ポルノ法の関係では、手元にある媒体の場合は保管罪ではなく所持罪だと説明されています。 刑法175条の場合には、電磁的記録は「保管罪」と説明されています。 わいせつかつ児童ポルノの場合は、児童ポルノ所持罪+わいせつ電磁的記録保管罪になるんでし…

「被害者の性的な羞恥心の対象になりますので、当然に『わいせつな行為』にあたります」という弁護士~まるでブチャラティ? 塾講師が「嘘をついてないか確認する」と耳を舐めて逮捕されたワケ

記事にある大法廷h29.11.29は、性的意図不要とした反面、わいせつの定義を放棄していますので、判例上わいせつの定義が定まっていません。 性的羞恥心とすると乳幼児の強制わいせつ罪(176条後段)が説明できなくなります。東京高裁H30.1.30は「所論のように…

1~6歳児への触って撮る行為を強制わいせつ罪(176条後段)として、児童ポルノ製造罪とは併合罪とした事例(東京高裁h30.7.25)

1歳とかだと、保護法益性的羞恥心説では説明できないので、わいせつの定義を争う必要があると思います。 「わいせつとは■■■■■■■■■■■■■■■■行為をいうところ、本件行為は■■■■■■■■■■■■■■■■だから、わいせつ行為にほかならない」 という判示をもらって下さい。判…

わいせつとは「社会通念に照らし性的な意味合いが強い行為」という報道(福岡地裁H30.10.31)

大法廷H29.11.29以降は、性的意図不要としつつ、わいせつの定義を先送りしたので、事実認定を争う場合には、前提として定義を問うて下さい。 「社会通念に照らし性的な意味合いが強い行為」という判例はありませんし、高裁レベルの判例違反になります。 詳し…

母親が自宅で娘に服を脱がせ、携帯電話で体を撮影した行為を強制わいせつ罪(176条後段)とした事例(大阪地裁H30.10.29)

長年、強制わいせつ罪には性的意図が要件とされてきたので、仙台の同様の事件では、強制わいせつ罪(176条後段)は見送られて母親は提供目的製造罪だけでした。 大法廷h29.11.29が実務に反映されたようです。 性的意図がなかったというのは情状で評価される…

外国からの輸出罪被疑者からの購入者は単純所持罪だけではないから、詳しい弁護士に相談して下さい。

単純所持罪だけを検討している弁護士がいるようですがそれでは済みません。 児童ポルノ法の輸入罪は7条3項、7項、8項は目的犯ですので適用されないと思います。児童ポルノ法の関係では1項所持罪だけ。 さらに関税法違反「輸入してはならない貨物に掲げる貨物…

ネット上で、遊客側が児童ではない人に売買春を持ちかける行為について、「出会い系サイト規制法や売春防止法や売春誘引罪に」「抵触しますよ。もちろん。あまりにも短い時間だから補足されないだけです。」という弁護士の回答

児童以外であれば、買う方の誘引行為は売春防止法に抵触しません。捕まることもありません。 売春防止法 第五条(勧誘等) 売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。 一 公衆の目にふれるよう…

盗撮製造罪が起訴されたら「盗撮された児童は、盗撮の事実に気付かず何ら特別の性的行為を強いられ、あるいは促されるわけではないから、直ちに性的虐待を受けたものとはいえないし、提供目的を欠く場合、盗撮の結果が児童の心身に悪影響を及ばす危険が具体化しているともいえない」(島戸純「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」について(警察学論集57巻08号P97))と主張する。

島戸さんがそういうのでね。 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 7条 5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写す…

本判決は,「わいせつな行為」の定義について直接的には言及していないものの,その判示内容に照らせば,従来,名古屋高金沢支部判昭和36年5月2日下級裁判所刑事裁判例集3巻5~6号399頁で示されていた定義「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」や,原判決が示していた「性的自由を侵害する行為」といった定義を採用したものでないことは明らかである。(判例タイムズ1452号)

わいせつの定義ないですよ。 強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否 対象事件| 平成29年11月29日判決最高裁判所大法廷 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防…

元警官、淫行の無罪主張「恋愛感情に基づいていた」(長野地裁)

最決h28.6.21に「行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断する」という基準が示されているというので…

内妻の娘に対する監護者性交1罪で懲役5年(長崎地裁H30.5.16)

児童淫行罪に比べると2倍くらいの量刑です westlaw 裁判年月日 平成30年 5月16日 裁判所名 長崎地裁 裁判区分 判決 事件名 監護者性交等被告事件 文献番号 2018WLJPCA05166004 主文 被告人を懲役5年に処する。 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。 理…

被告人が、当時2歳の児童の鼻口部を手で塞ぐなどして、同人を窒息死させ、また、複数の児童にわいせつ行為等を繰り返したという保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件(最決H30.9.10)

原審の東京高裁は、強制わいせつ罪(176条後段)と製造罪を観念的競合にしています。 【判例ID】 28264522 【判示事項】 【事案概要】 被告人が、当時2歳の児童の鼻口部を手で塞ぐなどして、同人を窒息死させ、また、複数の児童にわいせつ行為等…

護衛艦内の強制わいせつ2罪で懲役2年6月執行猶予3年保護観察(青森地裁H30.9.5)

強制わいせつ罪の序列としては、「陰部に手指を挿入し」というのは悪質な方になります。 裁判所から「性犯罪者処遇プログラムの受講等を通じて、認知のゆがみの改善を図ること」という注文が付くので、情状立証としても有効ということになります。 青森地方…

逮捕の必要性~柏崎簡易裁判所判事恩田剛「逮捕勾留プラクテイス」

出頭しないで居ると、逮捕の必要性が増すそうです 第5 逮捕の必要性 l 犯罪発覚後相当期間を経過しての逮捕状請求 問題21 被疑者の尿から, a-PVPの成分が検出された旨の鑑定書があるが, その鑑定書が作成されたのが3か月前のものである場合,逮捕状の請求…

刑事下級審における判例・裁判例の引用方法

使えそうな判決書を持ってきても、検察官が不同意にすることがある。 判例を証拠で出すには法323条3号くらいしか規定がないのだが、検察官が「別の事件であって関連性がない」なんて言う。 上告理由として判例違反を主張するときの判例の摘示の方法(規則253…

児童ポルノ動画5点所持→罰金30万円→停職3月・依願退職

DVDじゃないのも出てきましたね。 媒体の物理的破壊をお勧めしています。 小学校教諭ら懲戒処分 /宮城県 2018.10.20 朝日新聞社 県教育委員会は19日、仙南地域の小学校の男性教諭(56)が児童ポルノの動画を所持していたとして、停職3カ月の懲戒処分に…

監護者性交罪数罪で懲役6年(千葉地裁H30.10.18)

併合罪加重されていると思いますが、併合罪にしておいて、「高学年の頃から繰り返し行為に及んでおり」として起訴されてない余罪(訴追可能性がある事実)を考慮して重い刑にされることに警戒する必要があります。 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行…

監護者性交罪数罪で懲役6年(千葉地裁H30.10.18)

併合罪加重されていると思いますが、併合罪にしておいて、「高学年の頃から繰り返し行為に及んでおり」として起訴されてない余罪(訴追可能性がある事実)を考慮して重い刑にされることに警戒する必要があります。 児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行…

児童に半裸の姿態をとらせてひそかに撮影した行為をひそかに製造罪にした事例(某地裁某支部h28)

姿態をとらせてといのだから、姿態をとらせて製造罪(7条4項)が正解です。5項の法文が「前二項に規定するもののほか」となっているので、ひそかに製造罪は成立しません。 大分簡裁や新潟地裁にも間違った略式命令・判決があります。 間違える検察官・裁…

大分県・青少年の健全な育成に関する条例の改正に関する県民意見募集について

大分県も自撮り要求禁止を盛り込む方向です。 https://www.pref.oita.jp/soshiki/13255/seisyounenkennzennikuseijyourei.html 「児童」と「青少年」が混在していて、18歳未満で婚姻している場合とか「営業を許された18未満の者は、「児童」ですけど大分県条…

「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の解釈及び運用について」の全部改正についてh29版

強制わいせつ罪とか軽犯罪法との関係を見たいのでもらってきました。 軽犯罪法との関係では、検察庁から指摘されて修正されています。 「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の解釈及び運用について」の全部改正について 平成…

青少年条例違反につき「わいせつ目的ではなく、体のアフターケアのためにやった」という弁解

いま青少年わいせつ事件の弁護人です。 逮捕状の被疑事実に「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような」という記載があるので、こういう弁解が出ることがあります。 千葉県条例の法文は、大法廷S60をその…

青少年淫行行為に伴う盗撮ハメ撮り行為につき、ひそかに製造罪(7条5項)を適用して実刑とした事例(某地裁h28)

撮影しながら性交するというのは、被告人と性交する姿態を取らせていることになるので、姿態をとらせて製造罪(7条4項)が正解です。5項の法文が「前二項に規定するもののほか」となっているので、ひそかに製造罪は成立しません。 被告人も弁護人も判決書…

教員による強制わいせつ罪(176条後段)・製造で求刑3年6月(熊本地裁H30.10.26)

量刑相場としては、4回あるとほぼ実刑になります。6/24 盗撮逮捕 7/17 強制わいせつ罪(176条後段)逮捕 9/22 第1回 姿態をとらせて製造罪も起訴 10/12 第2回 論告弁論 10/26 判決 という経緯なので、実刑求刑なのに全く争っていないようです。 製造罪は包括…

児童買春罪の実行行為は①児童等との対償供与の約束・対償供与+②①に基づく性交等であるから、①の時点でも児童等の認識が必要であること~山形地裁h29.8.17を題材に

控訴中の事件で主張しました。検察官の答弁は理由なく「弁護人独自の見解である」となっています。 前提として対償供与約束が実行行為であることはこういう説明です 1 児童との対償供与の約束の時点で児童の認識が必要である (1)「対償供与の約束」の実行…

スタンガン使用の強制性交等致傷被告事件(性交は未遂)について「この種類型の中で重い事案とまではいえず,執行猶予も考え得る事案といえる。」として酌量減軽して保護観察執行猶予とした事例(山形地裁H30.6.1)

「この種類型の中で重い事案とまではいえず,執行猶予も考え得る事案といえる。」とされています。裁判員の感覚。わからないので量刑DBに頼ってる感じです。 強制性交等致傷罪の法定刑が「6年以上」となっているのは酌量減軽すれば執行猶予も付けられるとい…

妊娠中絶した師弟関係の児童淫行罪で7700万円の損害賠償を請求した事例(水戸地裁)

執行猶予になってるようです。 「教諭から性行為」提訴、茨城 妊娠中絶の元生徒、損害賠償求め 2018.10.11 共同通信 茨城県内の県立高校で2016年、男性教諭に性行為をされ、妊娠中絶手術などで心身に回復不能な被害を受けたとして、元女子生徒が県と元教…

学習塾を経営していた被告人が,その生徒である小中学生3名が塾内のトイレで用便中の姿を隠しカメラで撮影し,そのデータをDVD等の電磁的記録媒体に保存するなどして児童ポルノを製造したという事案で1罪として処理されている事例(名古屋地裁h30.6.15)

westlaw公訴事実がわからないので意味無い。 併合罪加重もされてないし。科刑上一罪の処理もないので、単純一罪なのかな。 裁判年月日 平成30年 6月15日 裁判所名 名古屋地裁 裁判区分 調書判決 事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並び…

原告は,被告法人の運営するグループホームに入所していたところ,被告法人の職員であった被告Y10と約1年4か月にわたり性的関係を継続した結果,妊娠して中絶するに至った(以下では,原告と被告Y10との間で継続された性的関係について「本件性的関係」という。)。本件は,原告が,本件性的関係により妊娠,中絶に至ったことが障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律に規定された性的虐待に当たるとして,①被告Y10,被告法人の理事ら及び監事らに対しては不法行為等に基づき,②被告法人に対しては不法行為(使用

原告は,被告法人の運営するグループホームに入所していたところ,被告法人の職員であった被告Y10と約1年4か月にわたり性的関係を継続した結果,妊娠して中絶するに至った(以下では,原告と被告Y10との間で継続された性的関係について「本件性的関…