児童に裸画像を送らせる行為について、16歳未満の者に対する映像送信要求+不同意わいせつ+性的姿態等撮影+児童ポルノ製造罪が科刑上一罪になるとした事例(東京地裁r6.11.29)
不同意わいせつ+性的姿態等撮影+児童ポルノ製造罪が科刑上一罪となって
それらと16歳未満の者に対する映像送信要求が牽連犯になるという判断でした。
送信要求罪は不同意わいせつ罪に吸収されない
「送信させ」もわいせつ行為
などの判示もあります。
被告人は、A(当時13歳)が16歳未満の者であり、かつ、自らがA の生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを知りながら、正当な理由がないのに、令和6年11月30日午前10時18分頃、被告人方において、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能を利用して、A に対し、「陰部を見せて」と記載したメッセージを送信して、その頃、同人にこれを閲読させ、もって性的な部位を露出した姿態をとってその映像を送信するよう要求し、同日午前10時18分頃から同日午前10時22分頃までの間に、大阪府内の同人方居室において、同人に陰茎を露出した姿態をとらせ、これを同人が使用する携帯電話機で撮影させた上、その静止画データ11点を同携帯電話機から前記「LINE」を利用して被告人が使用する携帯電話機に宛てて送信させ、その頃、当時のLINE株式会社が日本国内に設置して管理している電磁的記録媒体であるサーバコンピュータ内に記録させて保存し、もってわいせつな行為をするとともに、性的姿態等を撮影し、衣服の一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造したものである。
罪名及び罰条
16歳未満の者に対する映像送信要求、
不同意わいせつ、
性的姿態等撮影、
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
刑法182条3項2号、176条3項、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律2条1項4号、1号イ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項3号
科刑上一罪の処理
刑法54条1項前段、後段、10条(不同意わいせつ、性的姿態等撮影及び児童ポルノ製造は、1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合であり、16歳未満の者に対する映像送信要求と、不同意わいせつ、性的姿態等撮影及び児童ポルノ製造は、手段結果の関係があるので、結局以上を一罪として最も重い不同意わいせつ罪の刑で処断)
なお、弁護人は、被害者に、性的姿態を撮影した画像データを被告人の使用する携帯電話機に送信させる行為が、わいせつ行為には当たらないことを前提に、判示第2の各罪は併合罪の関係に立つ旨主張するが、同行為もわいせつ行為に当たることは、(争点に対する判断)4において説示したとおりである。そうすると、本件の不同意わいせつ、性的姿態等撮影及び児童ポルノの製造には重なり合いが認められ、これれらは、社会的見解上1個の行為といえるから、観念的競合の関係に立ち、これらの手段として行われた16歳未満の者に対する映像送信要求とは、牽連犯の関係に立つというべきである。