児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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12歳との児童買春罪・強制性交の猶予判決(名古屋地裁R011205)

 755万円で示談して酌量減軽
 援助交際型というのは強制性交罪の科刑状況としては一番軽い部類になります。
 対償供与約束が児童買春罪の実行行為とすると、部分的にしか重なり合って居ませんが、観念的競合とされます

名古屋地裁令和元年12月 5日
事件名 強制性交等、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,A(別紙記載。当時12歳)が13歳に満たない児童であることを知りながら,平成31年3月9日午前2時15分頃から同日午前3時13分頃までの間に,愛知県大府市〈以下省略〉aホテル217号室において,Aに対し,約1万3000円相当のチケット代金等の支払を対償として供与する約束をして,Aと性交及び口腔性交をし,もって児童買春をするとともに,13歳未満の者に対し,性交等をしたものである。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 罰条
 児童買春の点 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 強制性交等の点 刑法177条後段
 科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるので,1罪として重い強制性交等罪の刑で処断)
 酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 (量刑の理由)
 本件は,LINEを通じて知り合った被害者に対する犯行であるところ,被害者が小学6年生であることを確定的に認識した上で敢行している点,性交と口腔性交に及んでいる点で,悪質である。被害者は,本件後,通学に支障を生じるなど,本件により心身に悪影響を受けている。被害者の母親が,被告人との示談成立後も,心情の意見陳述として,本件が忘れたくても忘れられない出来事であって,被告人に対し,裁判が終わった後も,本件犯行を一生かけて償ってほしいなどと述べるのは当然である。
 以上の事情によれば,被告人の刑事責任は軽いものではない。
 しかしながら,被告人が被害者に対して暴行や脅迫を加えていないこと,被告人が示談金として755万円の支払義務を認めるといった内容で,被害者らとの間で示談が成立し,約束どおり500万円を支払済みであること,示談書において,被害者とその母親が被告人に対する実刑判決を望まない旨を表明していることが認められ,これらの事情は量刑上相応に考慮する必要がある。その他,被告人に前科がないこと,被告人が本件犯行を認めて反省の態度を示していること,被告人の母親が出廷して被告人の監督を誓約していること等を考慮し,刑法改正後の同種事犯の量刑傾向を踏まえると,本件については,酌量減軽の上で刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
 (検察官吉川剛史,同庭野永基,私選弁護人春田藤麿各出席)
 (求刑 懲役5年)
 令和元年12月6日
 名古屋地方裁判所刑事第5部
 (裁判長裁判官 板津正道 裁判官 西脇真由子 裁判官 新田浩志)

不特定又は多数の者に提供する目的製造行為(7条7項)を姿態をとらせて製造罪(4項)で起訴したら不成立無罪になるよ

児童ポルノ画像を送らせて売ってる人について

公訴事実
被告人はA(15歳)が18歳未満であることを知りながら,令和2年6月1日,大阪府内のA方において,被告人が,Aに乳房,陰部等を露出した姿態等をとらせ,これを同人の携帯電話機で動画撮影させた上,それらの動画データ11点を同携帯電話機から前記「」を使用して被告人の携帯電話機に送信させ,その頃,兵庫県内又はその周辺において,同動画データ11点を同携帯電話機で受信して同機に記録させて保存し,もって,衣服の全部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した

という起訴状がある。

 4項製造罪は「4前項に規定するもののほか」とされていて、提供目的がある場合には成立しないから、この訴因では不成立無罪になる。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

 こういうと、不特定又は多数の者に提供する目的製造は7項だから、「4前項に規定するもののほか」に含まれないという反論が予想される。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 しかし「提供目的」には、不特定又は多数の者に提供する目的も含む。不特定又は多数の者に提供する目的であっても、「提供する目的」であるからである。
 島戸判事もそういう。
 h26改正で項がずれたので島戸論文の「第3項」が姿態をとらせて製造罪(4項)となっている。島戸判事のいう、「第2項」が提供目的製造罪(現行法の3項製造罪)、「第5項」が不特定又は多数の者に提供する目的製造罪(現行法の7項製造罪)である。

島戸「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」警察学論集57-08
なお、第2項は、第5項に該当する場合を含むものであり、第3項においては、第2項に規定する場合のみを除けば、当然に第5項に該当する場合も除くこととなるものであるから、第3項において、第5項に該当する場合を除くこととはしなかったものである

 改正経緯からみても、制定時点では販売目的製造罪だけだったものが、H16で、提供目的製造罪と、不特定又は多数の者に提供する目的製造罪が新設され、さらに、目的が無い場合にも広げて姿態をとらせて製造罪も置いた経緯からは、目的製造罪が優先的に成立する趣旨が読み取れる。

 ということで、不特定又は多数の者に提供する目的製造罪(7項)が成立するときは、姿態をとらせて製造罪は不成立だ。



 なお公然陳列目的製造行為(7項)については、提供目的ではないので、姿態をとらせて製造罪で起訴してもいいみたいだ。なんかお粗末な立法だ。

■■■■■■■■■■についての立証責任は検察官にあること


 青少年条例の「婚姻していない18歳未満の者」とか、4項製造罪の「前項に規定するもののほか」とか、5項製造罪の「前二項に規定するもののほか」について、立証責任は検察官にあるよねと、か、罪となるべき事実に記載しないと理由不備じゃないかとか主張してみるために、文献をまとめてみた。





3 立証責任は検察官にあること 10
①条解刑事訴訟法 11
②新・判例コンメンタール刑事訴訟法4:第一審〔2〕317条~350条 11
③大コンメンタール刑事訴訟法第2版第07巻 11
④逐条実務刑事訴訟法 13
⑤石井一正 刑事実務証拠法第5版 13
⑥田宮裕「刑事訴訟法[新版]」 14
松尾浩也刑事訴訟法 新版補正第2版 下」1999 15
⑧三井誠「挙証責任と推定(3)」法学教室 第218号 18
⑨田宮裕「挙証責任・推定」季刊現代警察22(1)(71) 19
⑩安富潔「挙証責任と推定」月刊アーティクル191号 20
平野龍一 法律学全集 43 刑事訴訟法 21

刑集73巻5号登載予定 ひそかに児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為と同法7条5項の児童ポルノ製造罪の成否 判例タイムズ1471号p18

姿態をとらせて製造罪の場合は、複製時点で姿態とらせてないという問題でしたが、ひそかに製造罪の場合は、複製時点でも被害児童からみて「ひそかに」であることは間違いないわけで、構成要件に欠けるという問題はないのですが、複製をひそかに製造罪だとすると、不可罰とされていたはずの単純複製行為が全部ひそかに製造罪になってしまい、処罰範囲が広すぎるという問題が出てきて、最高裁が「ひそかに児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が, 当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は, 同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たる」という判示をして穴をふさいだ感じです。立法ミスじゃないかなあ。

ひそかに児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が当該電磁的記録を
別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為と同法7条5項の児童ポルノ製造罪の成否 判例タイムズ1471号p18
対象事件|
令和元年11月12日決定
最高裁判所第一小法廷
平成31年(あ)第506号
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持被告事件
裁判結果|
上告棄却
原審|
名古屋高等裁判所平成30年(う)第383号
平成31年3月4日判決
第1審|
名古屋地方裁判所平成30年(わ)第579号,
平成30年(わ)第888号
平成30年11月5日判決
公刊物|
刑集73巻5号登載予定
参照条文|
児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律2条3項, 7条2項, 5項





3  5項製造罪と同じように製造手段が限定されている児童ポルノ法7条4項の製造罪(児童に全裸姿態等をとらせ, これを記録媒体等に描写することにより児童ポルノを製造する罪。以下「4項製造罪」という。)においても,本件と同様二次的製造行為について同罪が成立するか否かという問題があり, 4項製造罪に関する立法関与者の解説では,複製は除外されるとの見解が示されていた(森山眞弓ほか編著「よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法』100頁, 島戸純「「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律』について」譽察学論集57巻8号96頁)が,最高裁第三小法廷平成18年2月20日決定・刑集60巻2号216頁,判タ1206号93頁は, 「法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ, これを電磁的記録にかかる記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる」として, 3項(現4項)製造罪の成立を認める判断を示した。
5項製造罪においても, 4項製造罪と同様,複製の問題が生ずることが予想されたところ,立法関与者の解説を見ると, 5項製造罪は,手段の限定がされているため,盗撮により製造された児童ポルノを後に複製する行為は,基本的に本条項の処罰対象ではないと考えられるが,少なくとも,撮影者本人による「製造」として予定される一連の行為までもが5項製造罪の対象から除外されるものではないと考えられるとの見解が示され,平成18年判例が紹介されている(坪井麻友美「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」法曹時報66巻11号57頁)。
4本決定は, 「ひそかに児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たる」と判示し,原判決の判断を是認しているが,平成18年判例と同じような表現を用いていることから,同判例と|司様,盗撮をして製造を行った者が, その電磁的記録を別の記録媒体に複写するなどして二次的製造行為に及んだ場合には,「ひそかに児童の姿態を描写することにより児童ポルノを製造した」と法的に評価できるとして,5項製造罪の成立を認めたものと思われる。
5 5項製造罪は,平成18年判例後の法改正で新設されたものであるが, 4項製造罪と同様の論点が残る形で立法がなされていることからすると, 5項製造罪に関する法令解釈を示した本決定は,実務上重要なものと考えられる。

「児童ポルノ豪州に大量持ち込み 実刑判決」という報道

 1000本といっても、きょうび映画フィルムではないので、スマホかHDDに納まるので、ビックリするほどではありません。
 日本法でも外国への輸出が児童ポルノ法(5年)、関税法(10年)で禁止されていますが、ネットで国境を越えるデータには適用されないので、出番がありません。
 そんな話を外郵の税関の人に聞いたことがあります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
7条
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
。。。
関税法
(輸出してはならない貨物)
第六十九条の二
1 次に掲げる貨物は、輸出してはならない。
るところにより輸出するものを除く。
二 児童ポルノ児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項(定義)に規定する児童ポルノをいう。)

第百八条の四
2 第六十九条の二第一項第二号から第四号までに掲げる貨物を輸出した者(本邦から外国に向けて行う外国貨物(仮に陸揚げされた貨物を除く。)の積戻し(同項第三号及び第四号に掲げる物品であつて他の法令の規定により当該物品を積み戻すことができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより行うもの及び第六十九条の十一第二項の規定により命じられて行うものを除く。)をした者を含む。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

https://au.news.yahoo.com/tourist-jailed-australia-1000-child-porn-videos-042441422.html
Tourist jailed after arriving in Australia with 1000 child abuse videos
Yahoo News Australia Australian Associated PressYahoo News Australia27 May 2020
A Japanese tourist has been jailed for 16 months in a Western Australian prison for possessing more than 1000 child exploitation videos on his phone.

, , pleaded guilty to attempting to import child abuse material and was sentenced in the WA District Court on Tuesday.

Judge Fiona Vernon heard he had 1091 videos in his possession.

Japanese tourist Masahiro has his phone viewed by Australian Border Force at Perth airport.


He was sentenced to 16 months' jail with a $5000 good behaviour bond for a further eight months following his release.

His tourist visa was cancelled the day of his arrest and he will be deported when released from prison.

After arriving from Tokyo, the Japanese national was arrested at Perth International Airport in November after Australian Border Force officers initially found about 200 videos and pictures depicting child abuse.

Further examinations found hundreds more videos were saved in an app on his mobile.

The maximum penalty for importing or exporting child abuse material is 10 years’ imprisonment and/or a fine of up to $525,000.

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/k10012447681000.html
児童ポルノ豪州に大量持ち込み 東京電力子会社社員に実刑判決
2020年5月27日 21時19分

大量の児童ポルノの動画などをオーストラリア国内に持ち込もうとしたとして、関税法違反の罪に問われている日本人の男に対し、現地の裁判所は、禁錮1年4か月の実刑判決を言い渡しました。

裁判記録などによりますと、東京電力ホールディングスの子会社、東京電力パワーグリッドの社員、被告(31)は、去年11月、オーストラリア西部のパース国際空港に到着した際、荷物検査で、所持していたスマートフォンから児童ポルノの動画などが見つかり逮捕され、その後わかったものを含めて、児童ポルノの動画や画像1000本余りを持ち込もうとしたとして、関税法違反の罪に問われています。

これまでの裁判で、被告は罪を認めていて、26日開かれた裁判で、パースの地方裁判所は、禁錮1年4か月の実刑判決を言い渡しました。

オーストラリアでは、国境警備隊児童ポルノなど子どもを搾取の対象とする犯罪の取締りを強化しています。

一方、東京電力ホールディングスは、NHKの取材に対し、「当社社員が有罪判決を受けたことは誠に遺憾であり、大変申し訳ない。今後、事実関係を調査の上、厳正に対処する」とコメントしています。

国民生活安定緊急措置法施行令2条の「購入価格を超える価格」とは?

 結果的に3510円で仕入れて、3500円で売ったことになるが、譲渡時=仕入れ額が確定してない時点では「衛生マスクの譲渡(・・・当該衛生マスクの購入価格を超える価格によるものに限る。)」とはならないので、譲渡はあるけど譲渡罪は成立してないということですよね。刑法的にはどう説明しますかね?
 
 犯罪収益仮装罪で問題になったことがあって、事前収賄罪では法的位置付けについては,構成要件には属さない「客観的処罰条件」とする見解と,構成要件要素であるとする見解が対立している。という解説があるようです。
 譲渡の時点で備わってることが予定されているので構成要件ですよね。

判例番号】 L06310091
       児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定/平成20年(あ)第865号
【判決日付】 平成20年11月4日
【出  典】 判例タイムズ1285号80頁
 (1) 判示事項1の点に関する前記①の主張は,一見もっともらしいが(秋山実「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項の犯罪収益等隠匿罪を積極的に適用した一事例」研修662号123頁にも同旨の問題提起がある。),犯罪行為の対価として前払いで得た財産が「犯罪行為により得た財産」に含まれることは,実務上も学説上も当然のこととされてきたのであるし,実質論からしても,前払い代金が「犯罪収益」となり得ないなどという解釈は明らかに不合理である。そして,法文の「犯罪行為により得た」というのは「犯罪行為を原因として」と解することができるから,文理上も特段支障はないと解される。なお,本件では,前提犯罪である児童ポルノ提供罪は,犯罪収益取得事実仮装罪の実行行為の終了後に行われており,同罪は前提犯罪の成立を待って完成すると考えられるが,このように後の事情により犯罪が完成するという事象は,「公務員になろうとする者が,その担当すべき職務に関し,請託を受けて,賄賂を収受し,又はその要求若しくは約束をしたときは,公務員となった場合において,5年以下の懲役に処する。」とする刑法197条2項の事前収賄罪でも発生する。すなわち,同罪に係る収賄行為は当該賄賂を収受した時点で終了しており,その後,その者が公務員になることにより犯罪が完成するのであるが,本件の犯罪収益取得事実仮装罪についても,これと同じように考えることができるのであれば,不合理とはいえないと思われる(このほか,破産手続開始前に債権者詐害行為をした後,破産手続開始決定が確定したときに同行為を処罰する破産法265条1項の詐欺破産罪等も同様である。ただし,事前収賄罪の「公務員になったこと」等の法的位置付けについては,構成要件には属さない「客観的処罰条件」とする見解と,構成要件要素であるとする見解が対立している。)。

 

https://www.yomiuri.co.jp/national/20200523-OYT1T50226/
 中国のネット通販サイトで購入したマスクを転売したとして、大阪府警淀川署が、30歳代の夫婦を国民生活安定緊急措置法違反容疑で書類送検していたことがわかった。書類送検は20日付。新型コロナウイルスの影響でマスクが品薄になったことを受け、同法では、小売業者から仕入れたマスクを高値で転売することを禁止している。
 捜査関係者によると、夫婦は3月16日、大阪市淀川区のJR塚本駅のロータリーで、通行人に対し、50枚入りの使い捨てマスク1箱を3500円で販売した疑い。止めた車にマスクの箱を積んで購入を呼びかけており、他にも数人に売ったという。

 夫婦は3月初旬、クレジットカードを使い、中国の通販サイトでマスク数十箱を米ドルで購入。その日の為替レートで利益が出るように転売額を設定したが、カード決済は後日だったため、レートの変動で転売額の方が1箱数十円安くなった。夫婦は転売後、損失が出ていたことに気付いたという。

 夫婦は任意の調べに対し、「転売は違法だと認識していた」と供述したが、同法は高値での転売を規制しており、同署は起訴を求めない「しかるべき処分」の意見を付けた。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=349CO0000000004
国民生活安定緊急措置法施行令
施行日: 令和二年三月十五日
最終更新: 令和二年三月十一日公布(令和二年政令第四十二号)改正
(法第二十六条第一項の政令で指定する生活関連物資等)
第一条 国民生活安定緊急措置法(以下「法」という。)第二十六条第一項の政令で指定する生活関連物資等は、衛生マスクとする。
(衛生マスクの転売の禁止)
第二条 衛生マスクを不特定の相手方に対し売り渡す者から衛生マスクの購入をした者は、当該購入をした衛生マスクの譲渡(不特定又は多数の者に対し、当該衛生マスクの売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであつて、当該衛生マスクの購入価格を超える価格によるものに限る。)をしてはならない。

附 則 (令和二年三月一一日政令第四二号) 抄
(施行期日)
1 この政令は、公布の日から起算して四日を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の第二条の規定は、同条に規定する譲渡のうちこの政令の施行の日前に締結された売買契約によるものについては、適用しない。

姿態をとらせて製造罪をひそかに製造罪として有罪にしている可能性がある事件~障害者施設通う女子高生 シャワーシーン盗撮し胸触る…「ネズミ確認のため」と一部争う"元代表"有罪判決(札幌地裁R02.5.22)

 弁護人・被告人から連絡が欲しいところですが、「女子高校生にシャワーを浴びるように指示。女子高校生は、被告が事前にカメラを設置した仮設シャワー室で裸になりシャワーを浴びました。」という場合は、姿態をとらせて製造罪であって、ひそかに製造罪は成立しません。判例を提供しますので、確認してください。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ac48d6163a6102cb98c3581fb6179c9bfbad00ec
障害者施設通う女子高生 シャワーシーン盗撮し胸触る…「ネズミ確認のため」と一部争う"元代表"有罪判決
5/22(金) 22:15配信

北海道ニュースUHB
男に有罪判決を言い渡した札幌地方裁判所
 女子高校生(当時16)の身体を撮影したうえで、いかがわしい行為をしたとして、児童買春や強制わいせつなどの罪に問われている男の判決公判で、札幌地裁は5月22日、男に懲役2年執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
 判決によりますと、被告は2019年6月、自身が代表を務めていた障害自立支援施設で、デイサービスに通う女子高校生にシャワーを浴びるように指示。女子高校生は、被告が事前にカメラを設置した仮設シャワー室で裸になりシャワーを浴びました。
 カメラには女子高校生の胸や下半身がうつっていて、その後動画を保存しました。

撮影型強制わいせつ罪と姿態をとらせて製造罪が併合罪となっている事例(富山地裁R011203)

 「同児童(当時10歳)が13歳未満であることを知りながら,手でその下衣及び下着を脱がせた上,両足を大きく広げさせて陰部を露出する姿態をとらせ,同陰部付近を自己の携帯電話機付属のカメラで接写し」と「前記第2のとおり同児童に性器等を露出させる姿態をとらせ,これを自己の携帯電話機付属のカメラで撮影して,同携帯電話機に内蔵の電磁的記録媒体に記録させて保存し,」とが、社会的見解上2個の行為だというのですよ。
 判例は「撮影」と「保存」とが違うとかいいますけど、デジカメで保存できてなかったら「撮影失敗」「撮影できてない」っていいますよね


強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,暴行被告事件
富山地方裁判所判決令和元年12月3日
(罪となるべき事実)
 被告人は
第2 平成29年1月9日午後2時21分頃から同日午後2時22分頃までの間,前記場所において,同児童(当時10歳)が13歳未満であることを知りながら,手でその下衣及び下着を脱がせた上,両足を大きく広げさせて陰部を露出する姿態をとらせ,同陰部付近を自己の携帯電話機付属のカメラで接写し,もって13歳未満の児童に対してわいせつな行為をした。
第3 同児童が18歳に満たない児童であることを知りながら,前記第2の日時頃,前記第2の場所において,前記第2のとおり同児童に性器等を露出させる姿態をとらせ,これを自己の携帯電話機付属のカメラで撮影して,同携帯電話機に内蔵の電磁的記録媒体に記録させて保存し,もって衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
第4 平成30年3月14日午後9時3分頃から同日午後9時4分頃までの間,前記当時の被告人方において,前記児童(当時12歳)が13歳未満であることを知りながら,同児童にその胸部及び性器等を露出させる姿態をとらせ,その陰部を指で広げるなどした上,これを自己の携帯電話機付属のカメラで撮影し,もって13歳未満の児童に対してわいせつな行為をした。
第5 同児童が18歳に満たない児童であることを知りながら,前記第4の日時頃,前記第4の場所において,前記第4のとおり同児童にその胸部及び性器等を露出させる姿態をとらせ,これを自己の携帯電話機付属のカメラで撮影して,同携帯電話機に内蔵の電磁的記録媒体に記録させて保存し,もって衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
(法令の適用)
 罰条
  判示第1,第2の各所為
   各平成29年法律72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
  判示第3,第5の各所為
   各児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項3号
  判示第4の所為
   刑法176条後段
  判示第6の所為
   刑法208条
 刑種の選択     判示第3,第5,第6につきいずれも懲役刑
 併合罪の処理    刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重)
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 訴訟費用の不負担  刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
(出席した検察官 武藤絢子)
(出頭した国選弁護人 脇徹)
(求刑 懲役7年)
  令和元年12月6日
    富山地方裁判所刑事部
           裁判官  小林礼子

児童淫行罪の機会の盗撮行為や「隠しカメラを設置したチームの事務所で児童らにスポーツブラの試着をさせるという手口で盗撮した」のを、ひそかに製造罪(7条5項)とした事例(東京地裁r2.3.2 確定)

 ハメ撮り盗撮は製造罪(7条4項 姿態とらせて製造罪)だっていうてるやん。
 量刑理由に出てくる「隠しカメラを設置したチームの事務所で児童らにスポーツブラの試着をさせるという手口で盗撮した」というのも姿態をとらせて製造罪であって、ひそかに製造罪ではない。
 盗撮して姿態をとらせて製造した場合は、ひそかに製造罪は成立せず、姿態をとらせて製造罪のみが成立するという大阪高判例があります。
 控訴せず確定したそうですが、成立しない罪で服役することになりますので、弁護人はこういう点をチェックして下さい。

判例はここに紹介してあります
okumuraosaka.hatenadiary.jp

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

判例ID】 28281043
【裁判年月日等】 令和2年3月2日/東京地方裁判所
【事件名】 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、児童福祉法違反被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 楡井英夫 小野裕信 竹田美波
【出典】 D1-Law.com判例体系

■28281043
東京地方裁判所
令和02年03月02日
 上記の者に対する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、児童福祉法違反被告事件について、当裁判所は、検察官山口隼人及び私選弁護人柿原研人各出席の上審理し、次のとおり判決する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、●●●が運営する女子サッカーチーム●●●のコーチとして同チームに在籍する児童らに対してサッカーの指導等をしていたものであるが、
第1(令和元年10月4日付け追起訴状記載の公訴事実第1関係)
 ●●●(当時14歳ないし15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、同児童が同チームに在籍していた当時はサッカーの指導等をし、同児童が同チームを退団した後も引き続き同児童の進路、学習等について助言をするなどしていた立場を利用して、
1 平成30年4月7日午前10時頃から同日午後0時頃までの間に、東京都●●●事務所(以下「本件事務所」という。)内において、同児童に被告人を相手に性交させ、
2 同年5月5日午後1時頃から同日午後4時頃までの間に、本件事務所内において、同児童に被告人を相手に性交させ、もって児童に淫行をさせる行為をし、
第2(令和元年10月4日付け追起訴状記載の公訴事実第2関係)
 前記第1の1及び2の日時場所において、2回にわたり、ひそかに、前記児童が被告人と性交する姿態、被告人が同児童の性器等を触る行為に係る同児童の姿態及び同児童が陰部等を露出した姿態を同所に設置した小型カメラで動画撮影し、撮影した動画データを自己が使用するパーソナルコンピュータに接続したUSBメモリ1個(令和元年東地領第4006号符号1)に記録して編集した上で保存し、もってひそかに児童を相手方とする性交に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより児童ポルノを製造し、
(法令の適用)
罰条
 判示第1の行為
  児童福祉法60条1項、34条1項6号(包括一罪)
 判示第2の行為
  児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項(2条3項1号、2号、3号)、2項(包括一罪)

(量刑の理由)
 本件は、スポーツチームのコーチである被告人が、在籍中の指導や脱退後の進路の助言をしていた立場を利用して児童1名(当時14歳ないし15歳)と2回性交した児童福祉法違反(第1)、その様子を盗撮した児童ポルノ製造(第2)と、合宿先やチームの事務所内で多数の在籍児童(当時11歳から15歳)の陰部等を盗撮した児童ポルノ製造(第3ないし第9)からなる事案である。
 量刑の核心である淫行とその関連事案についてみると、被害児童は、当時、被告人に対して一定の好意を抱くなどしていたとは認められるものの、チーム在籍中はもとより、脱退後も助言を継続してきたという関係性や、被害児童の年齢などにも鑑みれば、大人として指導、育成を行うべき立場にある被告人が、その立場を悪用し、児童の思慮分別の未熟さに乗じて、2回も性交に及んだとみるべきであって、相当に卑劣で悪質との評価を免れない。淫行の際に盗撮していた点も含め、自己の性欲を満たすために被害者を弄んでおり、強い非難に値する。被害児童の親が子を案じ、被告人の厳罰を求めるのは当然である。
 また、その余の盗撮事案についてみても、約1年の間に7回にわたり、被告人は、コーチの立場を悪用し、持参した隠しカメラを合宿先の浴室等に設置するという手口や、隠しカメラを設置したチームの事務所で児童らにスポーツブラの試着をさせるという手口で盗撮したものである。常習性が顕著である上、いずれの犯行も被告人の立場や児童らの信頼を悪用して性欲を満たそうとしたという点において、淫行関連事案と共通している。30名を超える被害者及びその親の多くが被告人の厳罰を求めるのは十分に理解できる。
 他方で、・・・
刑事第15部
 (裁判長裁判官 楡井英夫 裁判官 小野裕信 裁判官 竹田美波)

画像から「15歳から17歳程度」と判断した事例・自己の性的好奇心を満たす目的でポルノの所持を開始した場合,特段の事情がない限り,その後の所持についても,自己の性的好奇心を満たす目的であると推認するのが合理的である。とされた事例(浜松支部R2.2.21)

「流行のシャギーカット,ほっぺたがポッチャリしており,足は中くらいの太さであるが棒状であること,ませた顔でニキビがないこと,小陰唇が発達し,外陰部の色素沈着が認められること,胸はAカップかBカップくらいである程度あるが平坦であり,乳首は小さめであることなどから,15歳から17歳程度と認められる。」というのですが、 見かけ15~17と18歳とは区別できないでしょう。そんなAV嬢もいるでしょう。
 自己の性的好奇心を満たす目的については、警察文献では否定される例も出てたと思いますが、エッチなビデオであれば肯定されてしまうようです。

静岡地方裁判所浜松支部令和2年2月21日刑事部判決
       判   決
 上記の者に対する強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官大作顕子,同永井絢子,弁護人伊豆田悦義(私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
       理   由

【罪となるべき事実】
第2 被告人は,自己の性的好奇心を満たす目的で,平成30年7月18日,浜松市α区β×××番地の×所在の被告人方において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データを記録した児童ポルノであるDVD14枚を所持した。
【証拠の標目】《略》
3〔2〕判示第2の事実における〔ア〕DVD1枚の児童ポルノ該当性について
 弁護人は,判示第2の事実における各DVD(以下,単に「各DVD」という。)のうち,「○○○○○○○○○○」と印字されたラベルが貼られたケースに入っているもの(以下「本件DVD」という。)については,写っている女性(以下「本件女性」という。)が18歳未満ではない疑いがあるとして,児童ポルノ該当性を争うため,以下検討する。
(1)本件DVDを含む複数のDVDに写っている女性の年齢判断をした,当時国立大学法人a大学の法医学講座の助教授であったP2医師(以下「本件医師」という。)の供述の概要は,次のとおりである。
 私は,約13年間の法医実務経験を有しており,その間,法医解剖数約605件,行政解剖数約53件,検案数約281件を経験し,幼児から第二次性徴期である8歳くらいから18歳くらいまでの少女の解剖,検案も多数担当している。これらの経験や医学文献に基づき,女子の陰毛,乳房及び外陰の発育度並びに骨盤の増大度等を総合考慮し,約27年間の法医実務経験を有する同講座の教授と共に判断する。18歳未満の可能性が高いが,18歳未満とは完全に言い切れない者を除外し,ほぼ18歳未満として間違いない者について,18歳未満と判断する。
 本件DVDの映像は,モザイク等がなく性器が鮮明に写されたものである。本件女性は,流行のシャギーカット,ほっぺたがポッチャリしており,足は中くらいの太さであるが棒状であること,ませた顔でニキビがないこと,小陰唇が発達し,外陰部の色素沈着が認められること,胸はAカップかBカップくらいである程度あるが平坦であり,乳首は小さめであることなどから,15歳から17歳程度と認められる。
(2)以上の本件医師の供述は,豊富な実務経験を有する専門的な立場からの合理的なものとして信用できる。
 この点,弁護人は,本件医師の前記供述の信用性に関し,本件医師は,子供の成長には個人差が大きく,外見を観ての年齢判断は困難であり,まして,映像を観ての判断で正確性は劣らざるを得ないとの留保を付しており,年齢判断の正確性には限界があるほか,本件医師が本件女性の年齢判断の根拠とする事情は,いずれも,女性の成長度合いや体型に関する個人差として常識的に考えられる幅を考慮すれば,成人女性についても該当する可能性のあるものであると主張する。
 しかし,本件医師は,弁護人が指摘する留保を付しつつも,自身の経験等に基づいて判断するとしているのであって,この留保をもって,直ちに本件医師の年齢判断の正確性が否定されることにはならない。本件医師は,本件DVDの映像は性器が鮮明に写されたものであるとした上で,具体的な事情を根拠にあげて,本件女性の年齢判断をしているものである。確かに,本件医師が本件女性の年齢判断の根拠とする事情は,個別にみれば,いずれも成人女性についても該当する可能性のあるものではあるが,本件医師は,これらを総合考慮の上,自身の豊富な経験や文献に基づき,同じく豊富な経験を有する教授と共に,本件女性の年齢を15歳から17歳程度と判断しているのであって,その正確性については十分信用できる。
 したがって,弁護人の前記各主張は,本件医師の前記供述の信用性を揺るがすものとはいえない。
(3)以上のとおり,信用できる本件医師の前記供述によれば,本件女性の年齢は,15歳から17歳程度と認められるとされている。この点について,弁護人は,15歳から17歳程度との表現からすれば,本件女性が18歳に達している可能性を排斥していない旨主張するが,本件医師は,18歳未満の可能性が高いが,18歳未満とは完全に言い切れない者を除外し,ほぼ18歳未満として間違いない者について,18歳未満と判断するとしているのであって,15歳から17歳程度との供述は,18歳に達している可能性を排斥しているものと考えるべきである。
(4)したがって,本件女性の年齢は18歳未満であると認められ,他の証拠もあわせ鑑みれば,本件DVDは,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)2条3項にいう「児童ポルノ」に当たるといえる。
4〔2〕判示第2の事実における〔イ〕自己の性的好奇心を満たす目的の有無について
 弁護人は,判示第2の行為日である平成30年7月18日時点において,被告人は,各DVDへの興味・関心を失っていたとして,各DVDの所持につき,児童ポルノ法7条1項にいう「自己の性的好奇心を満たす目的」を争うため,以下検討する。
(1)関係証拠によれば,各DVDは,本件DVDを含め,児童ポルノ法2条3項にいう「児童ポルノ」に当たるといえ,また,被告人は,自己の性的好奇心を満たす目的で,各DVDを入手したことが認められる。このように,自己の性的好奇心を満たす目的でポルノの所持を開始した場合,特段の事情がない限り,その後の所持についても,自己の性的好奇心を満たす目的であると推認するのが合理的である。
(2)本件において,被告人が,平成30年7月18日を基準として,10年以上,各DVDを視聴していなかった可能性は否定されない。もっとも,各DVDは,被告人方の書斎の本棚に保管されていたのであり,被告人が視聴しようと思えばいつでも視聴できたものである。同書斎には,明らかに不要なものも保管されており,廃棄されていないからといって,直ちに被告人が各DVDへの興味・関心を有していたことにはならないものの,少なくとも,各DVDは,一見してポルノと分かる外観ではなく,廃棄することが困難であったといった事情は見当たらない。各DVDは,同日時点で存在する他のポルノに比べれば,画質等が劣るものであるが,性的好奇心が向けられるには十分なものである。そして,前記2で説示したとおり,被告人は,同日頃において,女子児童に性的興味を有していたと認められるところである。
 以上のとおり,被告人は,各DVDを視聴しようと思えば容易に視聴でき,かつ,それによって,自己の性的好奇心を満たすことができたものといえるのであって,前記特段の事情は認められない。結局,同日時点において被告人は各DVDへの興味・関心を失っていたとの弁護人の前記主張は,単に被告人が各DVDへの具体的な興味を失っていたとの主張に過ぎず,児童ポルノ法7条1項にいう「自己の性的好奇心を満たす目的」を否定するものではない。
(3)したがって,被告人は,判示第2の行為日である平成30年7月18日時点において,自己の性的好奇心を満たす目的で,各DVDを所持していたと認められる。
【法令の適用】
罰条
判示第2の行為 包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段,2条3項1号,2号,3号
刑種の選択
判示第2の罪 懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情が最も重い判示第1の1の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
刑の執行猶予 刑法25条1項
【量刑の理由】
令和2年2月21日
静岡地方裁判所浜松支部刑事部
裁判長裁判官 山田直之 裁判官 横江麻里子 裁判官 宮田裕平

「単に自己の性欲を満たす目的で同女の耳や陰部を舐め,同女の陰部を手で触り,同女に自己の陰茎を口淫させた上,同女と性交し,もって青少年に対して,わいせつな行為及びみだらな性行為をした」という罪となるべき事実(岐阜地裁r2.1.24)


 「同女の耳や陰部を舐め,同女の陰部を手で触り,同女に自己の陰茎を口淫させた上,同女と性交し」というのは「みだらな性行為」にも「わいせつな行為」にも該当するように見えます。

 岐阜県条例は、性交・性交類似行為・わいせつ行為という区分ではなく、
①「みだらな性行為」=健全な常識ある一般社会人からみて、結婚を前提としない欲望を満たすためのみ行う不純とされる性行為」
②「わいせつな行為」=いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し、性的にしゅう恥嫌悪の情をおこさせる行為
という区別のようです。この解説はS55の条例解説から不変で、最大判S60.10.23福岡県青少年条例違反事件大法廷判決を受けても変更がありません。性行為についても、わいせつな行為については、再定義求める必要があります。

岐阜県青少年健全育成条例の解説h22
(みだらな性行為等の禁止)
第23
1 条何人も、青少年に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、文は見せてはならない。
【解説】
1 本条は、何人も、青少年に対してみだらな性行為若しくはわいせつな行為をし、又はそれらの行為を教えたり、見せたりするなど、青少年の福祉を限害する背徳行為を禁じようとするものである。
( 1) 「みだらな性行為」とは、健全な常識ある一般社会人からみて、結婚を前提としない欲望を満たすためのみ行う不純とされる性行為をいう。
(2) 「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し、性的にしゅう恥嫌悪の情をおこさせる行為をいうものである。
2 本条は、何人も、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならないので、あって、相手となる青少年が承諾したかどうかは問わないc
3 「何人」とは、県民はもとより、旅行者、滞在者も含み、現に本県内にいるすべての人をさし、成人であると未成年者であると問わない。

岐阜地方裁判所
令和2年1月24日刑事部判決
       理   由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成30年3月29日午後1時22分頃から同日午後3時頃までの間に,岐阜県大垣市α××××番地×b公園駐車場に駐車中の自動車内において,別紙記載のA(当時15歳)が18歳未満の青少年であることを知りながら,単に自己の性欲を満たす目的で同女の耳や陰部を舐め,同女の陰部を手で触り,同女に自己の陰茎を口淫させた上,同女と性交し,もって青少年に対して,わいせつな行為及びみだらな性行為をした。
(証拠の標目)《略》
(争点に対する判断)
1 争点
 本件の争点は,被告人が,Aに対し,その耳や陰部を舐め,陰部を手で触り,自己の陰茎を口淫させ,性交するという行為をしたか否かであり,その判断に当たっては,A供述の信用性が問題になる。
 当裁判所は,A供述のうち判示事実に関係する部分は信用でき,被告人が判示行為を行ったものと認定したので,以下その理由を説明する。
・・・・
(法令の適用)
 被告人の判示所為は,岐阜県青少年健全育成条例48条,23条1項に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役1年に処し,情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予することとし,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
 被告人は,中学校教諭の立場にありながら,元生徒の被害者に対し判示行為に及んだもので,本件は,青少年の健全育成を期する条例の趣旨に著しく反する悪質な犯行である。これに加えて,被告人には前科はないことなども考慮し,主文の刑が相当と判断した。
(求刑 懲役1年)
令和2年1月30日
岐阜地方裁判所刑事部
裁判長裁判官 菅原暁 裁判官 小川結加 裁判官 馬場梨代

8回の児童ポルノ提供行為を、2項提供罪8罪としたもの(徳島地裁R01.10.24)

 8人に送信したら、「多数の者」だから6項提供罪ですよね。

7条
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

判例番号】 L07451224

       児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,わいせつ電磁的記録記録媒体陳列被告事件
【事件番号】 徳島地方裁判所判決
【判決日付】 令和元年10月24日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載
       理   由

(罪となるべき事実)
 当裁判所の認定した罪となるべき事実は,平成31年4月5日付け及び同月26日付け各起訴状に記載された公訴事実と同一であるから,これを引用する。ただし,平成31年4月26日付け起訴状に記載された公訴事実中第9の「前記有限会社J又はその周辺において」とあるのを「前記被告人方又はその周辺において」と訂正する。
(証拠の標目)略
(法令の適用)略
(量刑の理由)
 被告人は,男子児童のわいせつ動画を得る目的で,インターネット上の掲示板に被告人自身が女子児童であると偽って投稿し,連絡をしてきた9名の男子児童のうち8名に,女児の児童ポルノ画像を送信して児童ポルノの提供8件を敢行し,これと引き換えなどとして9名の男子児童に児童自身の裸の動画を撮影させて被告人に送信させ,児童ポルノ製造9件を敢行し,また,このうち男児3名の画像を動画共有サイトにアップロードする方法で,3回にわたり児童ポルノでありかつわいせつな動画を公然と陳列した。
(求刑-懲役1年6月)
  徳島地方裁判所刑事部 裁判官 藤原美弥子


       起訴状
                   平成31年4月26日
徳島地方裁判所 殿
                徳島地方検察庁
                  検察官 検事 平良優実
 下記被告事件につき公訴を提起する。
         記
       公訴事実
  被告人は
 第1 平成30年9月18日午前8時58分頃,市(以下略)被告人方又はその周辺において,Bに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ1点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Bが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第2 同月19日午前5時39分頃,同市内又はその周辺において,Cに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ1点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Cが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第3 同月20日午後7時31分頃及び同日午後7時33分頃,同市内又はその周辺において,Dに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ2点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Dが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第4 同月29日午後0時17分頃及び同日午後0時50分頃,同市(以下略)有限会社J又はその周辺において,Eに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ等2点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Eが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第5 同年10月4日午後1時8分頃から同日午後1時22分頃までの間,3回にわたり,前記有限会社J又はその周辺において,Fに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ3点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Fが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第6 同月14日午前10時22分頃,前記被告人方又はその周辺において,Gに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ1点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Gが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第7 同日午前10時24分頃及び同日午前10時28分頃,前記被告人方又はその周辺において,Hに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ2点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Hが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
 第8 同年11月8日午後8時18分頃及び同日午後8時21分頃,前記被告人方又はその周辺において,Iに対し,衣服の一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録である画像データ2点を,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,自己が使用する携帯電話機から電気通信回線を通じて前記Iが使用する携帯電話機に送信し,その頃,同携帯電話機に受信させ,もって児童ポルノを提供し
       罪名及び罰条
第1ないし第8
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反 同法律7条2項,2条3項3号

「撮影行為は②の類型」「あまりに特殊な性的嗜好であり,社会通念上は性的性質が認められない行為については, やはり、行為者の性的意図だけを理由に性的意味を肯定することはできない」薄井真由子

「撮影行為は②の類型」「あまりに特殊な性的嗜好であり,社会通念上は性的性質が認められない行為については, やはり、行為者の性的意図だけを理由に性的意味を肯定することはできない」薄井真由子「強制わいせつ罪における「性的意図」(最大判平29・11 ・29刑集71 ・9 ・467)植村立郎「刑事事実認定重要判決50選 上 《第3版》」2020
 大法廷h29.11.29がわいせつの定義しなかったので、大混乱じゃん。
 裸体撮影行為はわいせつ性弱いと主張します。

薄井真由子「強制わいせつ罪における「性的意図」(最大判平29・11 ・29刑集71 ・9 ・467)植村立郎「刑事事実認定重要判決50選 上 《第3版》」2020

イ具体的判断方法
第2に,具体的判断方法としては, まず,
①行為そのものが持つ性的性質が明確で,直ちにわいせつな行為と評価できる行為と,
②当該行為が行われた際の具体的状況等をも考盧に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどううかが評価し難いような行為
があるとした。
そして,②の行為については, 当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,④その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断するものとした。その上で, そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考盧すべき場合があるというのである。

ウその他の性的部位への直接の接触行為
性器・肛門・口腔以外の性的部位としては。胸と霄部があげられることが多い。胸と霄部は性を象徴する典型的な部位といえるから、被害者の胸や臂部を直接触ったり揉んだりする行為, あるいは行為者の胸や臂部を直接被害者に触らせる行為は, 瞬問的な接触や狭い範囲の接触でなければ,性的性質が強く,①の場合に当たるのではないかと思われる'2)。
もっとも,接触の具体的態様を考慮することにはなろう。
なお, 男性や児童の胸が女性の胸と性的性質が同じかどうかは議論のあるところだが, 強制性交等罪において男女の別がなくなり,今日では性的な被害については男性や児童も女性と同じであると一般的に受け止められていることからすれば, 男性や児童の胸の性的性質について女性の胸と区別する解釈は基本的に採り得ないものである13)。
エその他の行為
性器あるいは性的部位への着衣の上からの接触や,接触を伴わず,被害者の性器あるいは性的部位を見たり撮影したりする行為については, 直接の接触よりは性的侵襲度が低いといえるから,①の場合ではなく、②の場合として,行為が行われた際の具体的状況等を踏まえて「わいせつな行為」といえるかを判断するのが相当と解される。
(3) 行為が行われた際の具体的状況等を考慮した判断について
ア 行為そのものの性的性質を検討したときに, 当該行為が行われた際の具体的状況等をも考盧に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為(②の場合)については, 次に, 当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考盧し,
アその行為に性的な意味があるといえるか否かや,
イその性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断することになる。
諸般の事情としては。行為者と相手との関係場所や時間帯、行為に至る経緯前後の行動等があげられるだろう。
②の場合に当たる行為としては。肌を撫でる行為,着衣を脱がせる行為,着衣を付けない状態で写真を撮影する行為など,性的意味とは別の意味でなされることもある行為があげられる。例えば, 福祉サービスとしての入浴介助で相手の着衣を全て脱がせる行為には性的意味は認められないが,夜間に二人きりの部屋で相手の着衣を全て脱がせる行為については性的意味が認められることが通常だろう。これは, 当該行為が行われた際の具体的状況等により, その行為が性的意味を持つものなのか, それとも別の意味でなされた
ものなのかを判断しているのである。また, 前記(2)エのように性的部位に関わるものの性的侵襲度が比較的低い行為については,性的意味があること自体は明らかであるが, 当該行為が行われた際の具体的状況等を踏まえ, その意味合いの強度を判断することになる。
そして,上記の判断に当たっては,行為者の目的等の主観的事情を判断要素の一つとすることもあり得るというのであるが,具体的に,行為者の主観的事情が,行為の性的意味の有無やその意味合いの強度にと奪う影響するのだろうか。なお, ここで考慮対象とされるべき主観的事情には,行為者自身の性欲を満たす性的意図に限られず,相手に対して性的屈辱感を覚えさせることによって復讐等を果たす目的や, 第三者らの性欲を満たすため性産業に提供する目的等も含まれる14)。
イ性的意味の有無への影響について
上記のように,性的意味からなされることも, 別の意味からなされることもある行為については、 まずは当該行為が行われた際の具体的状況に関する客観的事情から、その行為の意味を考えるべきである15)が, さらに行為者の主観的事情を一要素として考盧することにより, 当該行為が性的意味から行われたと判断されることはあり得る。とはいっても, ほとんどの場合は,客観的事情から性的意味を肯定できるかどうか判断されるものと思われる。
例えば,知り合いの児童を抱きすくめて臂部を含む身体を撫でる行為については,物陰に連れて行っているとか,児童が嫌がっているのにやめなかったなどの客観的事情から,親愛の情ゆえの行為ではなく性的意味が肯定できるのであって,行為者の主観的事情は,客観的事情を踏まえても両様の解釈が成り立ち得るときに, いわば補充的に機能するにすぎないと考えられる。
これに対し、客観的にみて性的意味が認められない行為については,行為者が性的意図をもって行っていたとしても,行為者の主観的事情だけで性的意味を肯定することはできないというべきである。この点に関し,行為者の主観的事情との関係で取り上げられることの多い治療行為と行為者の特殊な性的嗜好(フェテイシズム)に基づく行為について検討しておく。
(ア) 治療行為
・・・・・・・・
(イ) 行為者の特殊な性的嗜好フェティシズム)に基づく行為
行為者の特殊な性的嗜好(フェテイシズム)に基づく行為についても,性的意味の有無の判断と行為者の主観的事情の関係が問題となる。こうした行為は,一見性的意味を持つようには思われない行為であっても,行為者は性的意図を有して行っているからである。この点、あまりに特殊な性的嗜好であり,社会通念上は性的性質が認められない行為については, やはり、行為者の性的意図だけを理由に性的意味を肯定することはできないというべきである。例えば,女性が汗を流す姿を見ることに性的興奮を覚える者が, その姿を見たいがために無理やり運動場を走らせたとしても,社会通念上当該行為に性的意味は認められないから,行為者の主観的事情だけで性的意味があることにはならない。もっとも、社会通念上もフェテイシズムに基づく行為として認知されているような行為であれば, そのことから性的意味を肯定できることもあるだろう。
・・・・・・・・・・
4 おわりに
本判決は、強制わいせつ罪の解釈を明確化したものとして重要な意義を有する。もっとも、刑法176条の「わいせつな行為」該当性の判断や, そこに行為者の主観的事情がどのように影響するのかについては,残された課題であり,今後の事例集積とそれを踏まえた更なる分析が望まれる。

準強姦の逆転有罪判決(福岡高裁R02.2.5)

準強姦被告事件
福岡高等裁判所
令和2年2月5日第1刑事部判決
       判   決
原判決 福岡地方裁判所久留米支部 平成31年3月12日宣告
控訴申立人 検察官
       主   文
原判決を破棄する。
被告人を懲役4年に処する。
原審における訴訟費用は被告人の負担とする。
       理   由

 本件控訴の趣意は,検察官大竹純作成の控訴趣意書記載のとおりであり,これに対する答弁は弁護人共同作成の答弁書記載のとおりであるから,これらを引用する。論旨は,関係証拠によれば,被害者が抗拒不能の状態にあり,被告人が被害者の抗拒不能状態を認識し,その状態に乗じて被害者と性交をしたと認定できるから,被告人に無罪を言い渡した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるというのである。
 そこで,以下,記録を調査して検討する(なお,当審で被告人質問を実施したが,被告人は終始黙秘したため,当審で取り調べた実質的証拠は存在しない)。
第1 事案の概要等
1 公訴事実
 本件公訴事実は,「被告人は,平成29年2月5日,□□□(以下「本件飲食店」という)店内において,被害者X(以下,被害者の氏名等は別紙呼称一覧表のとおり)が飲酒酩酊のため抗拒不能であるのに乗じ,同人と性交をした」というものである。
2 審理経
 原審は,公判前整理手続に付して争点と証拠を整理した。その結果,被告人が上記の日に本件飲食店で被害者と性交をした事実には争いがなく,争点は,〔1〕当時,被害者が抗拒不能の状態にあったか否か(争点1),〔2〕仮に被害者が抗拒不能の状態にあったとして,被告人がそれを認識していたか否か(争点2)の2点であると確認された。そして,第6回公判期日までの間に,同意された検察官請求証拠が取り調べられたほか,被害者を含め本件飲食店に居合わせた男女8名の証人尋問及び被告人質問が実施された。
第2 原判決の検討
1 原判決の要旨
 原判決は,争点1について,被害者は,被告人に対して抵抗することが著しく困難であり,抗拒不能の状態にあったと認定したが,争点2について,被告人が,被害者の抗拒不能状態を認識していたと認めるには合理的な疑いが残ると判断して,被告人を無罪としている。その理由の要旨は次のとおりである。
(1)争点1(被害者が抗拒不能の状態にあったか否か)について
ア 被害者は,本件飲食店で催された■■■■■■■■■■サークルの懇親会に前日午後11時頃から参加したが,当日午前4時15分頃までの数時間の間に多量のアルコールを短時間のうちに摂取し,店内北側のカウンター席で眠ったまま嘔吐するような状態に陥り,嘔吐後他の者に運ばれて店内南側のソファフロアに移動させられても,周囲の問い掛けに応じずに眠り込むような状態であった。そして,当日午前5時41分頃にはスカートの下にストッキングやパンツを履かずに横になり,添い寝する被告人から抱きつかれ,身体を触られたりしたが,それらの様子を写真撮影されても気付かず,その後,被告人と性交をしている。したがって,被害者は,嘔吐した時点で飲酒酩酊のため眠り込んだ状態であったと考えられ,ソファフロアに移動した後の様子からも,状況を認識して思うように体を動かすことができる状態ではなかったといえる。
イ 被害者は,帰宅後,■■■■■■■■■■サークルから退会し,産婦人科医院を受診して避妊薬の処方を受け,これを服用しているから,上記のような状況で性交をすることを許容していたとは考えられず,性交時において,状況を認識して思うように体を動かすことができる状態にはなかったといえる。
ウ したがって,被害者は,性交時,被告人に対して抵抗することが著しく困難であり,抗拒不能の状態にあったと認められる。
(2)争点2(被告人が被害者の抗拒不能状態を認識していたか否か)について
ア 被害者は,被告人と性交をした際,飲酒酩酊によって抗拒不能の状態にあったが,目を開けたり,大きくない声で何度か声を発したりすることができる状態にあり,それからあまり時間が経たないうちに被告人とは別の者から胸を触られた際,大きな声で「やめて」と言い,その手を振り払って抵抗できた。したがって,被害者は,性交時,飲酒による酩酊から覚めつつある状態にあり,意識があるかのように見える状態にあった。
イ 被告人は,原審公判において,犯行前,Dから「被告人のことが良いと言っているよ」と言われ,ソファフロアに案内された旨供述するところ,その供述が信用できないとはいえない。また,当日の懇親会や別の日の■■■■■■■■■■サークルのイベントにおいて,わいせつな行為がしばしば行われ,被告人も,以前に本件飲食店で被害者とは別の女性と性交に及んだことがあったなどと供述し,当日の懇親会において,女性に対して安易に性的行動に及ぶことができると考えていたことがうかがわれる。これらに加えて,被害者が,犯行時,被告人に対して明確な拒絶の意思を示していなかったことも併せると,被告人は,被害者が性交を許容していると誤信する状況にあったということができる。
ウ ソファフロアは,中央フロアと可動式の仕切扉によって区分されていたが,両フロアは行き来が可能であり,中央フロアにいた多数の者の中には,被告人と初対面の者がおり,犯行時,被告人は,ソファフロアに被害者以外にも女性が寝ていたことを認識している。したがって,被告人は,飲食店にいた他の者から警察等に通報されたり,被害者に事実を告げられたりするなどの危険があることを認識していたから,そのような中,被害者の同意がないとか,被害者が抵抗できない状態にあるなどといった認識の下で性交をするとは考え難い。
エ したがって,被害者が抗拒不能の状態にあったことを認識していなかった旨を述べる被告人の供述の信用性を否定することができない。
2 原判決の不合理性
 しかし,被告人は,飲酒酩酊のために眠り込んで抗拒不能の状態にあった被害者を直接見て性交をしているから,被害者の抗拒不能状態を認識していたと推論するのが当然であるのに,原判決が,争点2に関して,上記推論を妨げるものとして掲げる各事実は,いずれも認定することができないか,推論を妨げるとはいえないものであり,争点2に関する原判決の上記説示は,論理則,経験則に反しているといわざるを得ない。以下,補足して説明する。
(1)被害者が飲酒酩酊から覚めつつあり,意識があるかのように見える状態にあったと認定した点について
 所論が指摘するとおり,原判決は,被害者が飲酒酩酊による抗拒不能の状態であったと認定しているから,一時的に意識があるかのような反応をしたからといって,直ちに飲酒酩酊から覚めつつある状態にあるとはいえない。しかも,性交時に被害者の意識があったかのようにいう被告人の原審供述は,後記のとおり信用できない。原判決の認定には飛躍がある。
(2)被害者が性交を許容していると誤信するような状況にあったと認定した点について
 まず,原判決が指摘するDの発言については,単に被害者が被告人のことが良いと言っているというものにすぎず,仮にそのような発言があったとしても,所論が指摘するとおり,性交に同意していることを推認させるような具体性がない。また,原判決は,当日,女性に対して安易に性的行動に及ぶことができると考えていたという被告人の原審供述を誤信の根拠としているが,そもそもそのような非常識な発想を誤信の根拠とすること自体が不合理である上,被告人がそのように考えた根拠となる事情は,いずれも被害者とは無関係であるから,所論が指摘するとおり,男女間における性的関係に対する同意という極めて個人的な事柄を推論する際に用いることは相当ではない。仮に当日の懇親会に安易に性的行動に及ぶことができる雰囲気があったとしても,被害者は,初めて参加し,一気飲みをさせられて酔い潰れていたのであるから,そのような雰囲気を積極的に許容し,まして被告人との性交にまで同意したと考えるには,何段階もの飛躍がある。さらに,所論が指摘するとおり,原判決は,被害者が飲酒酩酊のため抗拒不能の状態にあったと認定しているから,被害者が明確な拒絶の意思を示すことができないのは当然であり,その点を被告人が誤信した根拠とするのは不合理である。
 このように,原判決が指摘する諸点は,いずれも被告人にとって,被害者が性交を許容していると誤信するような状況であったことを裏付ける事情とはいえない。原判決の推論は,論理則,経験則に反する不合理なものというほかない。
(3)ソファフロアの状況からすれば,被害者の同意がないとか,被害者が抵抗できない状態にあるなどといった認識の下で性交をしたとは考え難いと認定した点について
 原判決は,被告人が,他の参加者から目撃される可能性があることを認識していたことを指摘する。しかし,所論が指摘するとおり,通常はそのような状況で性交に同意する女性はいないから,むしろ被告人は被害者が同意しないことを認識して性交をしたと推認するのが合理的である。
 また,原判決は,目撃者から通報される危険性を指摘する。しかし,所論が指摘するとおり,当時,本件飲食店内は雑然とし,各参加者の行動を周囲が逐一把握していた状況にはないから,そのような危険性があったとは必ずしもいえない。
 そもそも,被告人は,自ら被害者がソファフロアのソファの上で下着等を露出したまま眠っている様子を写真撮影し,他の参加者から,被害者のスカート内側に手を入れるなどした姿を写真撮影されているが,被告人のこれらの行為を制止したり,通報しようとしたりする者はいなかった。また,被告人は,□□□と一緒にソファフロアに入った上で,被害者の近くに別の女性がもう1人寝ていることを認識しつつ被害者と性交をしている。これらの飲食店内の状況や被告人の行動からすれば,被告人は,被害者との性交を他人に見られて通報されることを不安に思うような状況にはなく,そのようなことを意に介さずに被害者が飲酒酩酊のため抗拒不能状態にあることに乗じて性交をしたとみるのが自然である。この点に関する原判決の判断も,論理則,経験則に反する不合理なものである。
第3 争点2に関する当裁判所の判断
1 はじめに
 そこで,改めて争点2に関する当裁判所の判断を示すと,被害者,A,B及びEの各原審供述を始めとする原審で取り調べられた関係証拠によれば,被告人は,犯行時,被害者の抗拒不能状態を認識していたものと優に認めることができ,それを否定する被告人の原審供述は,その認定に合理的疑いを生じさせるものとはいえない。以下,その理由を説明する。
2 被害者の原審供述について
(1)被害者の原審供述の概要
 被害者は,原審公判において,酩酊状況や被害状況等について,次のとおり供述する。すなわち,被害者は,前日午後11時半頃,Bとともに懇親会に参加したが,罰ゲームとしてテキーラを一気飲みさせられるなどして,いつもと比べて強い酒を速いペースで飲み,風邪からの病み上がりだったこともあって,酔っ払って眠ってしまい,カウンター席で嘔吐したことやソファフロアに運ばれたことを覚えていない。ところが,膣に異物が入ってきた痛みを感じて目を覚まし,被告人から性交をされていることが分かったが,飲酒酩酊の影響により抵抗することができず,再び眠ってしまった。その後,ソファフロアで目が覚めたときには被告人がいなくなっていたが,寝ている間に全然知らない人から無理やり性交をされたことが分かって声を出して泣いた,というのである。
(2)被害者の原審供述の信用性の検討
ア 飲酒酩酊して眠ってしまったという点について
 この点は,Bの原審供述によって裏付けられている。すなわち,Bは,被害者が一気飲みさせられるなどした末にカウンター席に座ったまま突っ伏した体勢で寝てしまい,おもちゃの剣を髪の毛に刺されるなどのいたずらをされても起きず,その体勢のまま吐いても起きず,男性から後ろ向きに引きずられて仕切り扉の向こう側にあるソファフロアに連れて行かれた。その後,Bは,ソファに横になる被害者に「大丈夫」と声を掛けたが,被害者は,きつそうで眠たそうな口調で「寝たら大丈夫」と答え,そのまま眠った,というのである。そして,■■■■■■■■■■サークルの主催者Fの携帯電話機には,当日午前4時15分に上記のとおりにいたずらされてもカウンター席に突っ伏して眠る被害者の写真(原審甲49)が保存され,被告人の携帯電話機には,当日午前4時22分にソファでスカートがまくり上げられ,下着等露出した状態で横になる被害者の写真(原審甲50)が保存されていた。これらの写真は,被害者及びBの各原審供述を客観的に裏付けているから,被害者は,午前4時22分頃にはソファで飲酒酩酊のため眠り込んでいたということができる。
イ 酩酊して眠っている最中に被告人から性交をされたという点について
 この点は,第1に,A及びEの各目撃供述によって裏付けられている。すなわち,両名とも,原審公判において,店内中央の仕切り扉の隙間からソファフロアをのぞいたところ,被告人がソファの上で被害者を正常位の体勢で性交をし,腰ないし体を前後に動かしているのが見えたが,その際,被害者は自らの意思で体を動かしているようには見えなかった,と供述している。両名の各原審供述は,いずれも具体的で臨場感があり,供述の信用性を疑わせるような不自然,不合理な点は見当たらず,見た場面と見なかった場面を区別するなど供述態度も真摯であり,相互に信用性を補強し合うものとして十分信用することができる。
 第2に,その後の被害者の言動とも整合する。すなわち,関係証拠によれば,被害者は,ソファフロアで目覚めた後に泣き出し,帰宅途中の車中でも泣き続け,■■■■■■■■■■サークルに入会して1週間程度しか経っておらず,■■■■■■■■■■ツアーに参加したこともなかったのに帰宅したその日のうちに突然退会し,翌日には産婦人科医院を受診し,避妊薬の処方を受けて服用している。このような被害者の言動は,被害者が,眠っている間に全然知らない人から無理やり性交をされたことが分かって悲しい気持ちになり,■■■■■■■■■■サークルと関わりたくないと思ったと供述する心理状態をよく表している。また,被告人が,被害者の太腿かその辺りに射精したと供述しているのに,被害者が,原審公判において,どこに射精されたかも分からないし,避妊具を使用していたかも分からなかったから産婦人科医院を受診したと供述するところも,被害者が性交をされた状況を十分に認識できていないことと整合している。
 第3に,被害申告の経緯も,被害者の原審供述の信用性を高めるものである。すなわち,Cの原審供述によれば,Cは,懇親会で初めて被害者やBと会ったが,2人が■■■■■■■■■■ツアーをすごく楽しみにしていたのに懇親会が終わった当日に突然■■■■■■■■■■サークルから退会したことを知って非常に疑問に思ったが,1,2週間後に催された■■■■■■■■■■ツアーに参加した際,寝ている間に主催者のFから体を触られるなどしたため,Bから連絡先を聞いて被害者に直接連絡したところ,被告人から被害に遭ったことを聞いた,というのである。そして,被害者は,Bとは別の友人から,警察に相談すると根掘り葉掘り聞かれて大変だと聞き,また,酔いすぎた自分にも非があると思うとともに,インターネット等で調べた結果,被害に遭ったその日に警察に相談に行かないと犯人のDNAが採取できないことが分かったので,警察に被害届は出さず,相談もしないつもりでいたが,Cから,自分も警察に相談しているから,勇気を持って警察に相談してみないかと進められ,心が痛むことを承知の上で警察署に相談に行った,というのである。このような被害申告に至るまでの被害者の消極的態度は,申告した被害内容が作為的なものではないことを示すものである。また,被害者が,Cに答えた内容は,当初から被害状況に関する供述が具体性を持って一貫していることを示している。これらの点は,被害者の原審供述の信用性を高めるものである。
3 事実認定等
(1)事実認定及び争点2に対する判断
 そうすると,信用できる被害者の原審供述に加えて,関係証拠によれば,被害者が被告人から性交をされた状況は,次のとおりであったと認めることができる。すなわち,被害者は,当日午前4時15分頃には本件飲食店内で飲酒酩酊してカウンター席で座ったまま眠り込んで嘔吐し,男性に引きずられてソファフロアに連れて行かれ,午前4時22分頃にはソファで眠りこんだ。そして,被害者は,当日午前5時41分頃には眠ったまま,被告人から陰部を触られるなどした末に性交をされ,陰部に痛みを感じて目を覚ましたが,飲酒酩酊の影響により抵抗することができずに再び眠り込んだ,というのである。
 このように,被告人は,被害者が飲酒酩酊のため眠り込んでいる状態に乗じて性交をしているから,被害者が抗拒不能の状態にあることを認識していたことは明らかである。
(2)被告人の原審供述等について
 これに対し,被告人は原審公判において,次のとおり,被害者が性交に同意していたかのように供述する。すなわち,被告人は,Dから,被害者が,被告人のことが良いと言っているよと呼ばれてソファフロアに行ったところ,被害者は横になってパンツをはいてなかった。被告人は,被害者に抱きついて口にキスをしたが,被害者は眠っておらず,胸や陰部を触っても嫌がらなかったので,「いい」と尋ねたところ,被害者は,戸惑ったように「えっ」と言っただけで,明確に拒否しなかったので受入れられたと思って正常位で性交をし,その最中,被害者から「ゴムは」みたいなことを聞かれたが,「ゴムはないよ」と答えた。被害者は,少し気持ちよさそうにあえぎ,声を出して普通に性交に応じている様子であり,やめてとか,痛い痛いとか,そういう発言はなかった,というのである。そして,原判決は,Bの原審供述に照らし,Dから上記のとおり言われた旨の被告人の原審供述が信用できないとはいえないとか,上記の被害者とのやり取りも不自然ではない,などと認定している。
 しかし,Bは,原審公判において,被告人がDから手招きされてDと一緒にソファフロアに入るのを見たと供述するが,Dの被告人に対する上記発言を聞いたとは供述していない。また,被害者が飲酒酩酊して眠ったまま嘔吐するなどしてソファフロアに連れて行かれた経緯や,被害者が被告人とは初対面であり、2人が当日意気投合したような状況がなく,Dが被害者の気持ちを代弁する立場にもないことからすると,Dが上記発言をしたかは疑問があり,この点に関する被告人の原審供述は不自然である。しかも,被告人は,原審公判において,被害者は眠っておらず,意識は全然普通にあるように感じたと供述するが,あいまいで具体性も臨場感もない内容に終始している上,前記A及びEの各目撃供述とも整合しない。そもそも,被害者は,被告人とはほとんど面識がなく,意識を失うほど泥酔して眠り込み,目覚めた後は被害に気付いて泣き続けていたから,被告人との性交の最中に「ゴムは」などという問い掛けをするはずがなく,まして明確な意識を持った状態で性交に応じたとは到底考えられない。仮に被害者が,被告人との性交の最中に,被告人からの刺激に対し,無意識な反応を多少示したことがあったとしても,それが被害者の明確な意識に基づく行動ではないことは容易に理解することができたはずであり,被告人が,被害者のそのような意識朦朧とした状態を直接見て認識していたことは明らかである。したがって,被告人の原審供述は全体的に信用性が低く,これをもって前記認定に合理的疑いを生じさせるものとはいえない。
 また,被告人の上記供述に沿うGの原審供述については,当時Gが被告人と不貞関係にあり,起訴前に実施された期日前証人尋問において,被告人をかばう虚偽の供述をしていたことからすると,信用性は低いというほかない。 
第4 破棄自判
 以上からすると,論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。
 そこで,刑訴法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書により更に判決をする。
(罪となるべき事実)
 第1の1に記載した本件公訴事実と同じである。
(証拠の標目)《略》
(法令の適用)
 被告人の判示所為は平成29年法律第72号附則2条により同法による改正前の刑法178条2項,177条前段に該当するので,その所定刑期の範囲内で被告人を懲役4年に処し,原審における訴訟費用については,刑訴法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
(量刑の理由)
(原審における検察官の求刑 懲役4年)
検察官山本佐吉子 公判出席
令和2年2月5日
福岡高等裁判所第1刑事部
裁判長裁判官 鬼澤友直 裁判官 平島正道 裁判官 三芳純平