児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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強制口腔性交罪とひそかに製造罪を観念的競合としながら、強制わいせつ罪と製造罪は併合罪とした裁判例(東京地裁R4.8.30)

強制口腔性交罪とひそかに製造罪を観念的競合としながら、強制わいせつ罪と製造罪は併合罪とした裁判例東京地裁R4.8.30)
 理由齟齬ですね。
 あちこちで逮捕起訴されて、最後に東京で判決したので、罪数処理がマチマチになっています。

東京地方裁判所(第一審)令和 4年 8月30日
第16
4 同年11月7日午後10時25分頃から同日午後10時40分頃までの間、前記P方において、同人(当時6歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、ひそかにPの陰茎を露出させる姿態、被告人がPの陰茎を手で弄ぶなどの姿態及び被告人がPの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を前記スマートフォンで動画撮影し、その動画データ5点を同スマートフォンに装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をするとともに、児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、又は衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
第18 Rが13歳未満の者であることを知りながら、同月8日午後11時38分頃から同月9日午前0時3分頃までの間、東京都内の同人知人方において、R(当時7歳)に対し、そのズボンを下げさせて陰茎を露出させた上、就寝中の同人の顔面に射精するなどし、陰茎を露出する姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影し、その動画データ1点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をするとともに、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し、


(法令の適用)
罰条
判示第1の1ないし4、第2及び第3の各行為
いずれも平成29年法律第72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
判示第1の5、第4の2ないし5、第5の1、第6の1ないし3、5、8、9、第7の1、第9の1、第10の1、第12、第13の1、第14の1、第16の2、第17の1及び第20の各行為
いずれも刑法177条後段
判示第4の1、6、第8の1、第11の1、第15の1、第16の1及び第19の各行為
いずれも刑法176条後段
判示第4の7及び第16の3の各行為
いずれも包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、5項、2条3項1号、2号
判示第5の2、第6の7及び第10の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項1号
判示第6の4、6、11及び第9の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項1号、2号
判示第6の10、第7の2、第13の2及び第14の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項1号、2号、3号
判示第8の2及び第15の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項2号
判示第11の2の行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項2号
判示第15の3の行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項3号
判示第16の4の行為
強制性交等の点 刑法177条後段
児童ポルノ製造の点 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項1号、2号、3号
判示第17の2の行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項1号
判示第18の行為
強制わいせつの点 刑法176条後段
児童ポルノ製造の点 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項3号
科刑上一罪の処理
判示第16の4の罪
刑法54条1項前段(1個の行為が2個の罪名に触れる。)、10条(1罪として重い強制性交等の罪の刑で処断)
判示第18の罪
刑法54条1項前段(1個の行為が2個の罪名に触れる。)、10条(1罪として重い強制わいせつの罪の刑で処断)
刑種の選択
判示第4の7、第5の2、第6の4、6、7、10、11、第7の2、第8の2、第9の2、第10の2、第11の2、第13の2、第14の2、第15の2、3、第16の3及び第17の2の各罪
いずれも所定刑中懲役刑を選択
併合罪の処理
刑法45条前段、47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い判示第14の1の罪の刑に法定の加重)

「就寝中児童Dに対し、被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影した動画データ4点並びにひそかに被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を動画撮影し」という罪となるべき事実について、7条4項の製造罪と5項の製造罪を成立するとした事例(東京地裁r4.8.30)

「就寝中児童Dに対し、被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影した動画データ4点並びにひそかに被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を動画撮影し」という罪となるべき事実について、7条4項の製造罪と5項の製造罪を成立するとした事例(東京地裁r4.8.30)

 姿態をとらせて製造罪(4項)のみですね。
 罪数処理では、強制性交罪と製造罪が観念的競合になってたりして、奥村並みのバカですね。

lex/db【文献番号】25593703
東京地方裁判所令和4年8月30日刑事第1部判決
第4 Dが13歳未満の者であることを知りながら、
1 Dにわいせつな行為をしようと考え、同年8月11日午後0時54分頃から同日午後0時56分頃までの間,静岡県内から東京都内までの間を走行中の普通乗用自動車内において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その着衣の中に手を差入れて同人の陰茎を手で弄ぶなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
2 Dと口腔性交をしようと考え、同月18日午前1時53分頃から同日午前1時59分頃までの間、東京都内の児童施設内において、同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
3 Dと口腔性交をしようと考え、同年9月3日午前1時57分頃から同日午前2時57分頃までの間、前記児童施設内において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
4 Dと口腔性交をしようと考え、同月6日午前2時2分頃から同日午前2時10分頃までの間、前記児童施設内において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
5 Dと口腔性交をしようと考え、同年10月5日午後5時32分頃から同日午後5時39分頃までの間、東京都内の多目的トイレ内において、同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
6 Dにわいせつな行為をしようと考え、同月18日午前3時5分頃から同日午前3時14分頃までの間、前記児童施設内において、同人(当時7歳)に対し、その陰茎を手で弄ぶなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
7 前記1ないし6記載の日時場所において、Dに対し、被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影した動画データ4点並びにひそかに被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を動画撮影した動画データ6点を、平成30年12月17日午後5時35分頃から同日午後5時37分頃までの間、東京都大田区α×丁目××番×号bマンション×××号室当時の被告人方において、パーソナルコンピューターに接続された外付けハードディスク(令和4年東地領第108号符号1)に記録させて保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、又は他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
法令適用
判示第4の7及び第16の3の各行為
いずれも包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、5項、2条3項1号、2号
令和4年8月30日
東京地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 古玉正紀 裁判官 水越壮夫 裁判官 竹内瑞希

「自慰行為をさせた上、その様子を同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、さらに、その画像等のデータを被告人が使用する携帯電話機に送信させ、もって、強いてわいせつな行為をした」という送信型強制わいせつ罪(東京地裁R4.8.19)

「自慰行為をさせた上、その様子を同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、さらに、その画像等のデータを被告人が使用する携帯電話機に送信させ、もって、強いてわいせつな行為をした」という送信型強制わいせつ罪(東京地裁R4.8.19)

 東京高裁h28.2.19・広島高裁岡山支部H22.12.15によれば、「その画像等のデータを被告人が使用する携帯電話機に送信させ、」はわいせつ行為ではなく、そこまで認定すると、「撮影させ」以降の行為が全部強制わいせつ罪ではなくなることになります。

東京地裁R4.8.19
前記aにこれを閲読させて脅迫して
その反抗を著しく困難にした上、
同人に陰部等を露出する姿態を取らせるとともに、自慰行為をさせた上、その様子を同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、さらに、その画像等のデータを被告人が使用する携帯電話機に送信させ、
もって、強いてわいせつな行為をしたものである
罪名罰条
強制わいせつ罪 刑法176条前段

裁判年月日 平成28年 2月19日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平27(う)1766号
事件名 強要,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判結果 控訴棄却 上訴等 上告 文献番号 2016WLJPCA02197003

要旨 / 新判例体系
強要罪と平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
裁判経過
第一審 平成27年 8月25日 新潟地裁高田支部 判決 平27(わ)35号
出典
東高刑時報 67巻1頁
判タ 1432号134頁 
参照条文
裁判官
藤井敏明、 福士利博、 山田裕文
理由

 弁護人奥村徹の控訴趣意は,訴訟手続の法令違反,法令適用の誤り及び量刑不当の主張であり,検察官の答弁は,控訴趣意にはいずれも理由がない,というものである。
 1 法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張について
 論旨は,要するに,原判決が強要罪に該当するとして認定した事実は,それだけでも強制わいせつ罪を構成するから,強要罪が成立することはないにもかかわらず,これを強要罪であるとして刑法223条を適用して有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり,また,原判決が平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項の罪(以下「3項製造罪」という。)に該当するとして認定した事実も,実質的には強制わいせつ罪に当たり,以上の実質的に強制わいせつ罪に該当する各事実について,告訴がないまま起訴することは,親告罪の趣旨を潜脱し,違法であるから,公訴棄却とすべきであるのに,実体判断を行った原審には,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反がある,というものであると解される。
 (1)強要罪が成立しないとの主張について
 記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション「LINE」を使用して送信するよう要求し,畏怖した被害者にその撮影をさせた上,「LINE」を使用して画像データの送信をさせ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録し,もって被害者に義務のないことを行わせるとともに,児童ポルノを製造した,というものである。
 すなわち,原判決が認定した事実には,被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。
 弁護人は,①被害者(女子児童)の裸の写真を撮る場合,わいせつな意図で行われるのが通常であるから,格別に性的意図が記されていなくても,その要件に欠けるところはない,②原判決は,量刑の理由の部分で性的意図を認定している,③被害者をして撮影させた乳房,性器等の画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させる行為もわいせつな行為に当たる,などと主張する。
 しかしながら,①については,本件起訴状に記載された罪名及び罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。
 また,②については,量刑の理由は,犯罪事実の認定ではなく,弁護人の主張は失当である。
 そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。
 以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関係にはないから,法条競合により強要罪は成立しないとの弁護人の主張は失当である。
 (2)公訴棄却にすべきとの主張について
 以上のとおり,本件は,強要罪に該当するとみるほかない事実につき公訴提起され,そのとおり認定されたもので,強制わいせつ罪に包摂される事実が強要罪として公訴提起され,認定されたものではない。
 また,原判決の認定に係る事実は,前記(1)のとおり,強制わいせつ罪の構成要件を充足しないものである上,被害者撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機で受信・記録するというわいせつな行為に当たらない行為を含んだものとして構成され,これにより3項製造罪の犯罪構成要件を充足しているもので,強制わいせつ罪に包摂されるとはいえないし,実質的に同罪に当たるともいえない。
 以上のとおり,本件は,強要罪および3項製造罪に該当し,親告罪たる強制わいせつ罪には形式的にも実質的にも該当しない事実が起訴され,起訴された事実と同旨の事実が認定されたものであるところ,このような事実の起訴,実体判断に当たって,告訴を必要とすべき理由はなく,本件につき,公訴棄却にすべきであるとの弁護人の主張は,理由がない。
 (3)小括以上の次第で,法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反をいう論旨には,理由がない。

広島高裁岡山支部H22.12.15*56(一審判決 岡山地裁H22.8.13*57)

 そして,強制わいせつ罪が個人の性的自由を保護法益とするのに対し,児童ポルノ法7条3項,1項,2条3項3号に該当する罪(以下「3項製造罪」という。)は,当該児童の人格権を第一次的な保護法益としつつ,抽象的な児童の人格権をも保護法益としており,両者が一致するものではない。しかも,原判示各事実は,前記のとおり,原判示第1及び第2の各事実については,各被害者に児童ポルノ法2条3項3号所定の姿態をとらせるに際し,脅迫又は暴行によった旨認定していないし,上記各事実と同旨の各公訴事実も同様に脅迫又は暴行によった旨訴因として掲げていない上,原判示各事実及びこれらと同旨の各公訴事実についても,それぞれ,各被害者をして撮影させた画像データを被告人の使用するパーソナルコンピューターに送信させてこれらを受信し,さらに,上記コンピューターに内蔵されたハードディスクに記録して蔵置した各行為を含んでいるところ,上記各行為はいずれも3項製造罪の実行行為(原の事実については強要罪の実行行為の一部でもある。)であって,強制わいせつ罪の構成要件該当事実には含まれない事実である。

撮影送信させる強制わいせつ罪裁判例25件

 最近は大都市圏でもわいせつ行為とされていますね。
 東京高裁h28.2.19 や広島高裁岡山支部H22.12.15等、強制わいせつ罪にならないという高裁判例もあるので、抵抗してみてください。
 わいせつの範囲は撮影まで(被告人に到達した事実は含まない)としつつ、性的意味合いの強度の理由としては、被告人が受け取って性的満足したというのが欲しいので、そこをごまかすのに一苦労です。


 

            児童ポルノ製造を伴う場合の罪数処理
  東京 地裁   H18.3.24 撮影送信させ受信して 観念的競合
  大分 地裁   H23.5.11 撮影送信させ 併合罪
  東京 地裁   H27.12.15 撮影送信させ 併合罪
  高松 地裁   H28.6.2 撮影送信させ 併合罪
  横浜 地裁   H28.11.10 撮影送信させ  
  松山 地裁 西条 H29.1.16 撮影送信させ  
  高松 地裁 丸亀 H29.5.2 撮影させ  
  高松 地裁 丸亀 H29.5.2 撮影させ  
判例DB 岡山 地裁   H29.7.25 撮影送信させ 併合罪
  札幌 地裁   H29.8.15 撮影させ 併合罪
  札幌 地裁   H30.3.8 撮影させ 併合罪
  東京 地裁   H31.1.31 撮影させ 併合罪
判例DB 長崎 地裁   R1.9.17 生中継で送信させ  
  高松 地裁 丸亀 R2.9.18 撮影させ 併合罪
  熊本 地裁   R3.1.13 撮影させ 併合罪
  京都 地裁   R3.1.21 撮影させ 観念的競合
  京都 地裁   R3.1.21 撮影させ 併合罪
  京都 地裁   R3.2.3 撮影させ 併合罪
判決速報 大阪 高裁   R3.7.14 撮影させ 観念的競合
  京都 地裁   R3.7.28 撮影させ 併合罪
  大阪 高裁   R4.1.20 撮影させ 観念的競合
  札幌 地裁 小樽 R4.3.2 自慰行為等+撮影させ 成人
  東京 地裁   R4.3.10 撮影させ 併合罪
  札幌 地裁   R4.9.14 撮影させ 観念的競合

 


3 撮影までならわいせつ行為となりうるのだが、送信・記録させる行為に及ぶと全体としてわいせつ行為とは評価できなくなるという判例(東京高裁h28.2.19 広島高裁岡山支部H22.12.15)。
   送信・記録行為は、わいせつ行為ではない上、それを記載していまうと、撮影させ~送信・記録までの全体が、わいせつ行為と評価できなくなる。
   これが送らせる行為のわいせつ性についての高裁判例である。

          東京高裁h28.2.19 (一審新潟地裁高田支部H27.8.25)
          判例タイムズ1432号134頁
           (1) 強要罪が成立しないとの主張について
           記録によれば,原判決は,公訴事実と同旨の事実を認定したが,その要旨は,被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら,同女に対し,要求に応じなければその名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して,乳房,性器等を撮影してその画像データをインターネットアプリケーション「LINE」を使用して送信するよう要求し,畏怖した被害者にその撮影をさせた上,「LINE」を使用して画像データの送信をさせ,被告人使用の携帯電話機でこれを受信・記録し,もって被害者に義務のないことを行わせるとともに,児童ポルノを製造した,というものである。
           すなわち,原判決が認定した事実には,被害者に対し,その名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨脅迫して同女を畏怖させ,同女をして,その乳房,性器等を撮影させるという,強制わいせつ罪の構成要件の一部となり得る事実を含むものの,その成立に必要な性的意図は含まれておらず,さらに,撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させるという,それ自体はわいせつな行為に当たらない行為までを含んだものとして構成されており,強要罪に該当する事実とみるほかないものである。
           弁護人は,①被害者(女子児童)の裸の写真を撮る場合,わいせつな意図で行われるのが通常であるから,格別に性的意図が記されていなくても,その要件に欠けるところはない,②原判決は,量刑の理由の部分で性的意図を認定している,③被害者をして撮影させた乳房,性器等の画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させる行為もわいせつな行為に当たる,などと主張する。
           しかしながら,①については,本件起訴状に記載された罪名および罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。
           また,②については,量刑の理由は,犯罪事実の認定ではなく,弁護人の主張は失当である。
           そして,③については,画像データを送信させる行為をもって,わいせつな行為とすることはできない。
           以上のとおり,原判決が認定した事実は,強制わいせつ罪の成立要件を欠くものである上,わいせつな行為に当たらず強要行為に該当するとみるほかない行為をも含む事実で構成されており,強制わいせつ罪に包摂されて別途強要罪が成立しないというような関係にはないから,法条競合により強要罪は成立しないとの弁護人の主張は失当である。
           (2) 公訴棄却にすべきとの主張について
           以上のとおり,本件は,強要罪に該当するとみるほかない事実につき公訴提起され,そのとおり認定されたもので,強制わいせつ罪に包摂される事実が強要罪として公訴提起され,認定されたものではない。
           また,原判決の認定に係る事実は,前記(1)のとおり,強制わいせつ罪の構成要件を充足しないものである上,被害者撮影に係る画像データを被告人使用の携帯電話機で受信・記録するというわいせつな行為に当たらない行為を含んだものとして構成され,これにより3項製造罪の犯罪構成要件を充足しているもので,強制わいせつ罪に包摂されるとはいえないし,実質的に同罪に当たるともいえない。
           以上のとおり,本件は,強要罪および3項製造罪に該当し,親告罪たる強制わいせつ罪には形式的にも実質的にも該当しない事実が起訴され,起訴された事実と同旨の事実が認定されたものであるところ,このような事実の起訴,実体判断に当たって,告訴を必要とすべき理由はなく,本件につき,公訴棄却にすべきであるとの弁護人の主張は,理由がない。
  
   岡山支部でもそんなこと言われたことがある。
 
        広島高裁岡山支部H22.12.15*56(一審判決 岡山地裁H22.8.13*57)
           そして,強制わいせつ罪が個人の性的自由を保護法益とするのに対し,児童ポルノ法7条3項,1項,2条3項3号に該当する罪(以下「3項製造罪」という。)は,当該児童の人格権を第一次的な保護法益としつつ,抽象的な児童の人格権をも保護法益としており,両者が一致するものではない。しかも,原判示各事実は,前記のとおり,原判示第1及び第2の各事実については,各被害者に児童ポルノ法2条3項3号所定の姿態をとらせるに際し,脅迫又は暴行によった旨認定していないし,上記各事実と同旨の各公訴事実も同様に脅迫又は暴行によった旨訴因として掲げていない上,原判示各事実及びこれらと同旨の各公訴事実についても,それぞれ,各被害者をして撮影させた画像データを被告人の使用するパーソナルコンピューターに送信させてこれらを受信し,さらに,上記コンピューターに内蔵されたハードディスクに記録して蔵置した各行為を含んでいるところ,上記各行為はいずれも3項製造罪の実行行為(原の事実については強要罪の実行行為の一部でもある。)であって,強制わいせつ罪の構成要件該当事実には含まれない事実である。
          
   昔は、「強制わいせつ罪の成立には性的意図が必要」とされていたが、昔も今も、わいせつ行為に当たるか否かには性的意図は関係ないから、上記東京高裁・岡山支部判決の「わいせつ行為に当たらない」という判示は、性的意図不要であるとしても、結論に影響しない。
  

児童ポルノを手元に置くのを所持罪、オンラインストレージに置くのを保管罪というのに、「児童の裸を撮影した児童ポルノを同市内の自宅で保管したとして、同禁止法違反(保管)で追起訴した」事例(松江地裁R04.11.28)

児童ポルノを手元に置くのを所持罪、オンラインストレージに置くのを保管罪というのに、「児童の裸を撮影した児童ポルノを同市内の自宅で保管したとして、同禁止法違反(保管)で追起訴した」事例(松江地裁R04.11.28)
 立法者の解説と名古屋高裁判例があって、保管罪不成立で、所持罪になるんだ。

元小学校教諭追起訴 児童ポルノ法違反=島根
2022.09.22 読売新聞
 元小学校教諭が勤務先で女児の裸を盗撮したとされる事件で、地検は21日、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(盗撮製造)と県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為の禁止)で起訴された被告について、他の女性にも盗撮を繰り返していたとして、同条例違反の「常習」を加える訴因変更を地裁に請求した。
 また、昨年6月頃、児童の裸を撮影した児童ポルノを同市内の自宅で保管したとして、同禁止法違反(保管)で追起訴した。16日付。

名古屋高等裁判所平成31年3月4日宣告 
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法)違反,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
平成30年11月5日名古屋地方裁判所宣告判決。被告人控訴
判    決
主    文
 原判決を破棄する。
理    由
 第1 控訴趣意は控訴趣意書,控訴趣意補充書(弁護人作成)のとおり。論旨は理由不備,訴訟手続の法令違反,法令適用の誤り,事実誤認,量刑不当(原判決懲役2年4年猶予付保護観察)
 第2 職権判断
 1 原判示第2に係る(訴因変更後の)公訴事実は要旨不特定多数の者に有償で頒布提供する目的で,平成30年2月20日,被告人方において,記録媒体である外付けハードディスクに,児童ポルノである電磁的記録2点及び児童ポルノであり,かつ,わいせつな画像データを記録した電磁的記録4点を保管した(児童ポルノ禁止法違反,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管)。
 原判示第2は要旨前記目的で,前記年月日,前記場所において,前記ハードディスクに「児童ポルノであり,かつ,わいせつな画像データを記録した電磁的記録2点及び児童ポルノであり,かつ,わいせつな画像データを記録した電磁的記録4点を保管した」旨
 2 原判決は検察官がわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管で処罰を求めず,児童ポルノ禁止法違反のみで処罰を求めた電磁的記録2点につき前者の罪も成立するとした。審判の請求を受けない事件について判決をした。破棄を免れない(刑訴法397条1項,378条3号後段,400条ただし書適用)。
 第3 自判
(原判示罪となるべき事実第2に代えて当裁判所が新たに認定した事実)
 第2 被告人は,不特定多数の者に提供有償頒布目的で,平成30年2月20日,原判示第1被告人方において,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した画像データ2点に係る電磁的記録及び前同様の画像データであり,かつ,女児の性器を露骨に撮影した画像データ4点に係る電磁的記録に係る児童ポルノであり(前記画像データ2点及び4点関係),かつ,わいせつ物である(前記画像データ4点関係)記録媒体たる外付けハードディスク1台を所持した(事実[訴因変更後の]公訴事実同旨。第1は原判示第1のとおり)。
~~~~
 2 判示第2
 (1) 同事実(被告人弁護人も争わない)は児童ポルノ禁止法7条7項,刑法175条2項の「所持」罪該当(検察官はこれらの「保管」罪該当をいうけれども,被告人は電磁的記録に係る記録媒体を所持したから「所持」該当。「保管」不該当。訴因変更不要)
 (2) 弁護人は(訴因変更後の)公訴事実は電磁的記録(「画像」)のうちどれが児童ポルノでどれがわいせつか分からず訴因不特定という。検察官は各画像の女性の推定年齢を小児科医の供述(甲39)で立証しているところ,同医師の検察官調書添付の画像を起訴していること明らか。その画像から児童ポルノ画像(陰部を露骨に撮影したとまではいえない。甲39添付資料2-1,2-3)と児童ポルノかつわいせつ画像(陰部を露骨に撮影。同2-2,2-4から2-6まで)を区別可。訴因不特定といえない。
(法令の適用)
 1 罰条
 (1) 判示第1 各児童ごとに刑法60条,児童ポルノ禁止法7条5項,2項,2条3項3号(原判決は単純[又は包括]1罪。訂正)
 (2) 判示第2のうち児童ポルノ所持の点は同法7条7項前段,6項,2条3項3号。わいせつ物所持の点は刑法175条2項
 2 科刑上1罪の処理(判示第1,第2につき)
 いずれも刑法54条1項前段,10条(判示第1は1個の行為が5個の罪名に触れる場合。1罪として犯情の最も重い甲39添付資料1-1の女児に係る罪の刑で処断。判示第2は1個の行為が2個の罪名に触れる場合。1罪として重い児童ポルノ所持罪の刑で処断)
 3 刑種の選択 いずれも懲役刑
 4 併合罪加重 刑法45前段,47条本文,10条(重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
 5 刑の執行猶予 刑法25条1項
 6 保護観察 刑法25条の2第1項前段
 7 訴訟費用(原審)の処理 刑訴法181条1項ただし書(不負担)
  平成31年3月4日
    名古屋高等裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 山口裕之
裁判官 出口博章
裁判官 山田順子


こういう控訴理由でした。

法令適用の誤り~被告人が自宅で所持しているポータブルHDD内の児童ポルノ画像については、「保管罪」は成立しないこと
1 原判決
 原判決は、被告人方におけるポータブルHDD内の児童ポルノ画像について児童ポルノ法7条7項後段の「電磁的記録保管罪」を適用した。

原判決
第2 不特定多数の者に有償で頒布提供する目的で,平成年月日,前記被告人方において,記録媒体である外付けハードディスクに,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノであり,かつ,女児の性器を露骨に撮影したわいせつな画像データを記録した電磁的記録2点及び同児童ポルノであり,かつ女児の性器を露骨に撮影したわいせつな画像データを記録した電磁的記録4点を保管したものである。
(法令の適用)
罰条
 判示第1の事実につき 刑法60条,児童ポルノ法7条5項,2項,2条3項3号
 判示第2の事実中
  児童ポルノ電磁的記録頒布目的保管の点につき
  児童ポルノ法7条7項後段,6項,2条3項3号

法文
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 しかし、被告人の実力支配下にあるHDDの画像については、有体物としての児童ポルノの提供目的所持罪が成立して、電磁的記録記録としての保管罪は成立しない。

 原判決にはこの点で、法令適用の誤りがあるから、原判決は破棄を免れない。

2 児童ポルノ法における「保管」とはリモートストレージ等被告人の現実支配が及ばない支配状態をいうこと
(1)児童ポルノ法H16改正時の解説
 目的保管罪というのは、H16改正で設けられた罪名なので、当時の解説を見ておく。
 刑法のわいせつ図画罪とは特別関係であるから、刑法の解釈の影響を受けない。

①森山野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」p98
 議員立法だが、担当した議員の解説である。

電磁的記録の「保管」とは、当該電磁的記録を自己の実力支配内に置いておくことをいいます。具体的には、当該電磁的記録をコンピュータのレンタル・サーバに保存したり、自己が自由にダウンロードすることができるリモート(プロパイダーのメールボックスに入れられたメールを閲覧できる機能)の記録媒体に保存する行為がこれに当たります。
なお、自己の所持する記憶媒体に電磁的記録を保存している場合は、当該記憶媒体の「所持」 罪が成立するため、記録媒体を所持していないが、前記の方法により電磁的記録を保管している場合にのみ本罪が成立することになります。

②島戸純「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」警察学論集57-08 p95
 島戸さんは裁判官である。

ウ 後段で規定する行為
電磁的記録の「保管」とは、当該電磁的記録を自己の実力支配内に置いておくことをいう。具体的には、当該電磁的記録をコンビュータのレンタル・サーバに保存する行為がこれに当たる。
前記のとおり 、記録媒体に記録されている電磁的記録については、当該 自己の所有する記憶媒体に電磁的記録を保存している場合は、当該記憶媒体の「所持」罪が成立するため、記録媒体を所持していないが、電磁的記録を保管している場合にのみ本罪が成立することになる。

③大橋充直検事「検証ハイテク犯罪の捜査 第41回特集 児童買春・児童ポルノ禁止法の改正」捜査研究 第640号

(2)児童ポルノ法H26改正時の解説
 単純所持罪(7条1項)が設けられた際に、再度、所持と保管の区別が再確認され、周知されている。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

警察庁少年課課長補佐友永光則警察公論2014年10月号p12

警察庁少年課課長補佐友永光則警察公論2014年10月号p12
イ「所持」及び「保管」の意義
児童ポルノの「所持」とは,有体物(写真, DVD,ハードディスク(記録媒体)等)である児童ポルノを,自己の事実上の支配下に置くことをいう。
これに対し電磁的記録の「保管」とは,電磁的記録を自己の実力支配内に置くことをいう。
具体的には,当該電磁的記録をコンピュータのレンタル・サーバに保存したり,自己が自由にダウンロードすることができるリモートの記録媒体に保存する行為が該当する。これに対し,自己の所持するパソコンのハードディスクに保存している場合は,ハードディスク(有体物)の所持罪に該当する。

②江口寛章ら「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部改正」警察学論集第67巻第10号p97.





③坪井麻友美検事「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」捜査研究 第63巻第9号(2014年9月号)
 坪井検事は、現行法の目的所持罪と保管罪の区別についても、リモートが保管罪と説明している。

4 まとめ
 にもかかわらず、児童ポルノ保管罪を認めた原判決には、法令適用の誤りがあるから、原判決は破棄を免れない。
 児童ポルノ法は刑法175条とは特別法の関係にあって、刑法と比較すると、児童ポルノの悪質性に鑑みて

①製造罪・運搬罪・特定少数への提供罪など刑法にはない罪があること
②刑法の「頒布罪」の類似行為として「児童ポルノ提供罪」があるが、提供罪は頒布罪に比べると既遂時期が早いこと

という特徴がある。
 手元に電磁的記録を持っている場合に、刑法が「保管」っていうんだから、児童ポルノ法も「保管」にしてしまうという解釈はとれない。

追記2022/11/28
 保管罪で判決されたもよう。

更衣室で着替えする女子児童を盗撮、元小学校教諭に判決 裁判官「酌量の余地などみじんもない」と糾弾
11/28(月) 18:26配信山陰中央新報
 勤務先の小学校で児童を盗撮したなどとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造・電磁的記録保管)と島根県迷惑行為防止条例違反(卑わいな行為)の罪に問われた元小学校教諭の被告(30)=松江市=の判決公判が28日、松江地裁であり、畑口泰成裁判官は懲役2年、保護観察付きの執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。

姿態をとらせてひそかに撮影した行為を、ひそかに製造罪とした裁判例

 奥村が見つけただけで18個もあって、そういう解釈(ひそかに製造罪説)というのもあるのかなと思っちゃいそうですが、ハメ撮りの盗撮行為は、「5前二項に規定するもののほか、ひそかに」という法文から、ひそかに製造罪ではなく、姿態をとらせて製造罪になるというのは、素人でもわかる解釈です。
 実刑事案もあり、成立しない罪で服役されたのは気の毒だと思います。
>>
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
<<

        並行性犯罪
神戸 地裁 尼崎 H28.9.7

無し(同児童を上半身裸にして乳房を露出させ ひそかに)

 

東京 地裁   H28.10.19 準強制わいせつ罪
新潟 地裁   H28.11.4 青少年淫行罪
奈良 地裁 葛城 H29.3.16 児童買春罪
東京 高裁   H29.3.16 準強制わいせつ罪
熊本 地裁   H29.10.20 児童買春罪
福島 地裁 会津若松 H30.12.21 無し(就寝中)
名古屋 地裁   R1.8.21 強制わいせつ罪(176条後段)
東京 地裁   R2.3.2 児童淫行罪
福岡 地裁   R2.3.3 準強制わいせつ罪
福岡 地裁   R3.5.19 準強制わいせつ罪
熊本 地裁 八代 R3.6.4 強制わいせつ罪(176条後段)
福岡 地裁   R3.6.9 無し(就寝中)
宇都宮 地裁   R3.6.16 青少年淫行罪
横浜 地裁   R3.6.22 児童買春罪
京都 地裁   R3.11.26 強制わいせつ罪(176条後段)
静岡 地裁 浜松 R3.12.17 強制わいせつ罪(176条後段)
奈良 地裁   R4.7.14 強制わいせつ罪(176条後段)

 

追記2022/12/02
 いうてるそばから新しいのきた。
 被告人がなんかした姿態というのは姿態をとらせて製造罪なので、ひそかに製造罪にはなりません。

>>
lex・db【文献番号】25593703  
東京地方裁判所
令和4年8月30日刑事第1部判決

       判   決

職業 無職 a 平成3年○月○日生
 上記の者に対する強制性交等、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官杉本尚子及び私選弁護人楠洋一郎各出席の上審理し、次のとおり判決する。


       主   文

被告人を懲役20年に処する。
未決勾留日数中830日をその刑に算入する。
東京地方検察庁で保管中のハードディスク1台(令和4年東地領第108号符号1)及びマイクロSDカード1枚(令和2年東地領第2828号符号4)を没収する。 


       理   由

【本件の秘匿情報等は別紙「呼称一覧」のとおりであり、判決中の表記は別紙の呼称による。】
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第4 Dが13歳未満の者であることを知りながら、
1 Dにわいせつな行為をしようと考え、同年8月11日午後0時54分頃から同日午後0時56分頃までの間,静岡県内から東京都内までの間を走行中の普通乗用自動車内において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その着衣の中に手を差入れて同人の陰茎を手で弄ぶなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
2 Dと口腔性交をしようと考え、同月18日午前1時53分頃から同日午前1時59分頃までの間、東京都内の児童施設内において、同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
3 Dと口腔性交をしようと考え、同年9月3日午前1時57分頃から同日午前2時57分頃までの間、前記児童施設内において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
4 Dと口腔性交をしようと考え、同月6日午前2時2分頃から同日午前2時10分頃までの間、前記児童施設内において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
5 Dと口腔性交をしようと考え、同年10月5日午後5時32分頃から同日午後5時39分頃までの間、東京都内の多目的トイレ内において、同人(当時7歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
6 Dにわいせつな行為をしようと考え、同月18日午前3時5分頃から同日午前3時14分頃までの間、前記児童施設内において、同人(当時7歳)に対し、その陰茎を手で弄ぶなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
7 前記1ないし6記載の日時場所において、Dに対し、被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影した動画データ4点並びにひそかに被告人がDの陰茎を手で触るなどの姿態及び被告人がDの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を動画撮影した動画データ6点を、平成30年12月17日午後5時35分頃から同日午後5時37分頃までの間、東京都大田区α×丁目××番×号bマンション×××号室当時の被告人方において、パーソナルコンピューターに接続された外付けハードディスク(令和4年東地領第108号符号1)に記録させて保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、又は他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、

第11
1 Kが13歳未満の者であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、同年7月26日午前0時36分頃から同日午前2時25分頃までの間、山梨県内のキャンプ場において、就寝中の同人(当時7歳)に対し、その陰茎を手で弄び、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
2 前記1記載の日時場所において、Kに対し、ひそかに被告人がKの陰茎を手で触るなどの姿態をデジタル機器で動画撮影し、その頃から同年8月24日午後11時18分頃までの間に、山梨県内、東京都内又はその周辺において、その動画データ2点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
第12 Lが13歳未満の者であることを知りながら、同人と口腔性交をしようと考え、同月7日午前3時16分頃から同日午前3時26分頃までの間、川崎市内の多目的トイレ内において、同人(当時8歳)に対し、その陰茎を自己の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
第13
1 Mが13歳未満の者であることを知りながら、同人と口腔性交をしようと考え、同月20日頃から同月23日頃までの間に、静岡県内のキャンプ場トイレ内において、同人(当時10歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
2 前記1記載の日時場所において、Mに対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどの姿態、被告人がMの陰茎を触るなどの姿態及びMの陰茎を露出させる姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影するなどし、その頃から令和2年1月8日までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ4点を前記外付けハードディスクに記録させて保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
第14
1 Nが13歳未満の者であることを知りながら、同人と口腔性交をしようと考え、令和元年8月20日頃から同月23日頃までの間に、前記静岡県内のキャンプ場トイレ内において、同人(当時11歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れ、さらに被告人の陰茎をNの口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
2 前記1記載の日時場所において、Nに対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れ、また被告人の陰茎をNの口腔内に入れるなどの姿態、Nの陰茎を被告人が手で触るなどの姿態及びNの陰茎を露出させる姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影するなどし、その頃から令和2年1月8日までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ3点を前記外付けハードディスクに記録させて保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
第15
1 Oが13歳未満の者であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、令和元年9月11日午後5時7分頃から同日午後5時11分までの間、東京都内の同人方において、同人(当時8歳)に対し、その陰茎を手で弄び、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
2 前記1記載の日時場所において、Oに対し、被告人がOの陰茎を手で弄ぶなどの姿態をとらせ、これをデジタル機器で動画撮影し、その頃から同年11月16日午前0時2分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ2点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
3 同年10月23日午後6時46分頃、前記O方において、同人(当時9歳)に対し、ひそかに同人が全裸で四つん這いになり、陰茎が露出した姿態をデジタル機器で動画撮影し、その頃から同月24日午前2時28分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ1点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
第16 Pが13歳未満の者であることを知りながら、
1 Pにわいせつな行為をしようと考え、同年9月20日午後8時頃、東京都内の同人方において、同人(当時5歳)に対し、その陰茎を手で弄び、その状況をスマートフォンで動画撮影し、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をし、
2 Pと口腔性交をしようと考え、同日午後10時10分頃から同日午後10時25分頃までの間、前記同人方において、同人に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
3 前記1及び2記載の日時場所において、Pに対し、被告人がPの陰茎を手で弄ぶなどの姿態をとらせ、これを前記スマートフォンで動画撮影した動画データ1点及びひそかに被告人がPの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を同スマートフォンで動画撮影した動画データ4点を、同月22日午後1時6分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、同スマートフォンに装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、又は他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
4 同年11月7日午後10時25分頃から同日午後10時40分頃までの間、前記P方において、同人(当時6歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、ひそかにPの陰茎を露出させる姿態、被告人がPの陰茎を手で弄ぶなどの姿態及び被告人がPの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態を前記スマートフォンで動画撮影し、その動画データ5点を同スマートフォンに装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をするとともに、児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、又は衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
第17
1 Qが13歳未満の者であることを知りながら、同人と口腔性交をしようと考え、同年9月27日午後10時21分頃から同日午後10時24分頃までの間、東京都内の同人方において、就寝中の同人(当時6歳)に対し、その陰茎を被告人の口腔内に入れるなどし、もって13歳未満の者に対し、口腔性交をし、
2 前記1記載の日時場所において、Qに対し、ひそかに被告人がQの陰茎を口腔内に入れるなどの姿態をデジタル機器で動画撮影し、その頃から同年11月16日午前0時2分頃までの間に、東京都内又はその周辺において、その動画データ1点を同デジタル機器に装着された前記マイクロSDカードに記録して保存し、もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る児童ポルノを製造し、
(法令の適用)
罰条
判示第1の1ないし4、第2及び第3の各行為
いずれも平成29年法律第72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
判示第1の5、第4の2ないし5、第5の1、第6の1ないし3、5、8、9、第7の1、第9の1、第10の1、第12、第13の1、第14の1、第16の2、第17の1及び第20の各行為
いずれも刑法177条後段
判示第4の1、6、第8の1、第11の1、第15の1、第16の1及び第19の各行為
いずれも刑法176条後段
判示第4の7及び第16の3の各行為
いずれも包括して児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、5項、2条3項1号、2号
判示第5の2、第6の7及び第10の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項1号
判示第6の4、6、11及び第9の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項1号、2号
判示第6の10、第7の2、第13の2及び第14の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項1号、2号、3号
判示第8の2及び第15の2の各行為
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項2号
判示第11の2の行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項2号
判示第15の3の行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項3号
判示第16の4の行為
強制性交等の点 刑法177条後段
児童ポルノ製造の点 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項1号、2号、3号
判示第17の2の行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項1号
判示第18の行為
強制わいせつの点 刑法176条後段
児童ポルノ製造の点 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2条3項3号
科刑上一罪の処理
判示第16の4の罪
刑法54条1項前段(1個の行為が2個の罪名に触れる。)、10条(1罪として重い強制性交等の罪の刑で処断)
判示第18の罪
刑法54条1項前段(1個の行為が2個の罪名に触れる。)、10条(1罪として重い強制わいせつの罪の刑で処断)
刑種の選択
判示第4の7、第5の2、第6の4、6、7、10、11、第7の2、第8の2、第9の2、第10の2、第11の2、第13の2、第14の2、第15の2、3、第16の3及び第17の2の各罪
いずれも所定刑中懲役刑を選択
併合罪の処理
刑法45条前段、47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い判示第14の1の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
没収
ハードディスク1台(令和4年東地領第108号符号1)につき刑法19条1項2号、2項本文(判示第4の7、第5の2、第6の4、6、7、10、第7の2、第8の2、第9の2、第13の2及び第14の2の各犯罪行為の用に供した物で被告人以外の者に属しない物)
マイクロSDカード1枚(令和2年東地領第2828号符号4)につき刑法19条1項2号、2項本文(判示第6の11、第10の2、第11の2、第15の2、3、第16の3、4、第17の2及び第18の各犯罪行為の用に供した物で被告人以外の者に属しない物)
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
令和4年8月30日
東京地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 古玉正紀 裁判官 水越壮夫 裁判官 竹内瑞希

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就寝中のわいせつ行為を撮影した行為を、ひそかに製造罪とした判決(N地裁r04.7.14)と、姿態をとらせて製造罪とした判決(N地裁H29.11.27)

就寝中のわいせつ行為を撮影した行為を、ひそかに製造罪とした判決(N地裁r04.7.14)と、姿態をとらせて製造罪とした判決(N地裁H29.11.27)

 製造罪の法文は

児童ポルノ・児童買春法7条
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

となっているので、わいせつ行為や児童買春行為などで、姿態を取らせた場合には、ひそかに製造罪は適用されないはずです。
 しかし、ひそかに製造罪で挑んでくる警察・検察があって、裁判所もひそかに製造罪で判決を書いてしまう。結構長期の実刑事案

N地裁r04.7.14
第1 C(当時9歳)が13歳に満たない児童であることを知りながら、Cにわいせつな行為をしようと考え、同年11月13日午前2時44分頃から同日午前2時45分頃までの間、被告人方において、就寝中のCに対し、下着をずらした上、直接その陰茎を手指で触り、もって13歳未満の児童に対し、わいせつな行為をし、
(刑法176条後段)
第2 判示第1記載の日時場所において、Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、Cに対し、ひそかに、被告人がCの陰茎を露出させる姿態、被告人がCの陰茎を手指で触る姿態を被告人の動画撮影機能付き携帯電話機で動画として撮影し、その動画データ2点を同機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを、それぞれ視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
児童ポルノ法7条5項

 しかし、当職が、長年集積している裁判例を見ると、就寝中わいせつの撮影は、N地裁でも姿態をとらせて製造罪で処理されていて、大阪高裁も追認していることがわかりました。 理屈をこねなくても、これだけでN地裁R04は罪名を間違っていることを説明できます。

N地裁H29.11.27
第1
b(7)に わいせつ行為しようと企て
令和4年11月16日 2358~2359までの間に
大阪市■■■■■■■■■■■■■■■■において
bが13歳未満の者と知りながら
同人が睡眠中のために抗拒不能に乗じて パンツめくり、陰部に手指を挿入し
もって、13歳未満の者にわいせつ行為をした。
刑法176条後段
第2
前記第2の日時場所において、
b(7)が児童であることを知りながら
同児童に前記2記載のわいせつ行為にかかる姿態をとらせて
これを写真撮影機能付き携帯電話で撮影して、その電磁的記録を同携帯電話内臓の記録装置に記録させて保存して
もって、他人が児童の性器等を触る行為にかかる児童の姿態であって、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により、描写した児童ポルノを製造したものである
(7条4項)
※ 大阪高裁H30.4.13は2項破棄して、破棄自判して、原判決の法令適用を追認しています。

被害児童が「13歳」と特定されている児童ポルノ提供事件

 被害児童側からの相談を受けて捜査が始まるとこうなります。
 製造犯を除けば、児童の認識が微妙なやつです。
 否認すると、「13歳なんだから、13歳にしか見えない」という追及がありますが、弁護人は「刑事さんは『13歳』って聞いてるからそういうけど、タナー法では見かけ上は『13歳』って決められないでしょう」って反論してください。

タナー法(小児科学 医学書院1977)

 販売者が検挙されるたびに「この件で購入者が検挙されるか?」という相談が来ますが、わかりません。最近は提供と単純所持はセットでやられることがよくあるので。

https://www.pref.aichi.jp/police/news/news.html
児童ポルノ禁止法違反被疑者の逮捕【少年課、中川警察署、生活安全特別捜査隊】
6月上旬から中旬までの間、アダルト動画販売サイトを利用して、児童ポルノ動画データを不特定の男性に有償で送信し、電気通信回線を通じて児童ポルノを不特定又は多数の者に提供したとして男2人(いずれも23歳)及び女(22歳)を逮捕しまし
た。
・・・
わいせつ動画販売疑い=愛知
2022.11.11 読売新聞
 発表によると、3人は6月8~16日頃、動画販売サイトを通じて、女子中学生(13)らのわいせつな姿が撮影された動画データ2点を男性3人に販売した疑い。容疑者は容疑を否認し、残る2人は認めているという。
 県警に情報提供があり、捜査を進めていた。県警によると、3人は昨年5月以降、こうした児童ポルノの動画販売などで約500万円を売り上げていたとみられる。

監護者わいせつ罪で一審で実刑判決となったが、高額の慰謝料等を行い、控訴審で執行猶予となった事例(東京高裁R3.3.12)を下敷きにして、同様の情状弁護をしたら、実刑判決が破棄されて、執行猶予になった。(大阪高裁)

 監護者わいせつ罪は福祉犯罪的要素があって、量刑理由で悪影響懸念とか言われることもありますが、基本は性的自由なので、金銭賠償すると、減軽されます。
 こういう裁判例を紹介しておけば良いだろう。
 監護者わいせつ罪で一審で実刑判決となったが、高額の慰謝料等を行い、控訴審で執行猶予となった事例がある。
>>
横浜地裁 支部R2*1(懲役1年6月実刑
東京高裁R3.3.12 *2(原判決破棄 懲役1年6月執行猶予4年)
量刑不当の控訴理由について
当審における事実取調の結果によれば、被告人は、原判決後に、本件犯行の被害に関して1000万円の慰謝料を支払うことで、被害者と示談して、それとは別に母親との離婚や被害者との離縁に伴い、被害者に慰謝料1000万円 財産分与として914万円を支払う協議を成立させて、これらの金銭を現実に支払った。原判決後 精神科治療に実際に取り組んでおり、反省を深めつつある
これらの事情を併せて考えると、現時点においては被告人を実刑に処した原判決の量刑は重きに失するにいたり、執行猶予を付すのが相当となった

性犯罪民事 強制わいせつ罪(176条後段)3回で330万円認容(立川支部r04.10.19)

性犯罪民事 強制わいせつ罪(176条後段)3回で330万円認容(立川支部r04.10.19)
 報道された事案の判決を貰ってきました。

https://digital.asahi.com/articles/ASQBM5WN0QBMUTIL01N.html
東京都稲城市立小学校の3年生だった時に担任教諭からわいせつな行為をされ、精神的な苦痛を受けたとして、児童と両親が同市に550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁立川支部であった。西森政一裁判長はわいせつ行為を認定し、市に330万円の支払いを命じた。
 判決によると、担任の男性教諭は2018~19年、休み時間や放課後に教室で3回にわたり、児童の下着の中に手を入れるなどして下半身を触った。児童は19年にPTSD心的外傷後ストレス障害)と診断された。

立川支部r04.10.19
主文
1被告は、原告に対し、330万円及びこれに対する平成31年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを5分し、その2を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
第2事案の概要等
1 事案の概要
本件は、被告が設置する小学校(以下「本件小学校」という。)に在籍していた原告が、本件小学校に教諭として勤務していた補助参加人から平成30年9月頃、平成31年1月中旬頃及び同月22日の3回にわたってわいせつ行為を受けて心的外傷後ストレス障害となるなど精神的損害を被った旨を主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金550万円及びこれに対する不法行為の日(3回目のわいせつ行為が行われた日)である平成31年1月22頂から支払済みまで民法所定の年5分(平成29年法律第44号による改正前の民法404条所定の利率。以下同じ。)の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

児童を脅迫するなどして裸画像を撮影・送信等させた場合の、強制わいせつ罪とされた範囲と、児童ポルノ製造罪との罪数処理

強制わいせつ罪となるのは、「撮影させ」まで。
罪数処理は、併合罪が圧倒的ですが、高裁レベルでは観念的競合に戻ってきてるようです。

            児童ポルノ製造を伴う場合の罪数処理
  東京 地裁   H18.3.24 撮影送信させ受信して 観念的競合
  大分 地裁   H23.5.11 撮影送信させ 併合罪
  東京 地裁   H27.12.15 撮影送信させ 併合罪
  高松 地裁   H28.6.2 撮影送信させ 併合罪
  横浜 地裁   H28.11.10 撮影送信させ  
  松山 地裁 西条 H29.1.16 撮影送信させ  
  高松 地裁 丸亀 H29.5.2 撮影させ  
             
判例DB 岡山 地裁   H29.7.25 撮影送信させ 併合罪
  札幌 地裁   H29.8.15 撮影させ 併合罪
  札幌 地裁   H30.3.8 撮影させ 併合罪
  東京 地裁   H31.1.31 撮影させ 併合罪
判例DB 長崎 地裁   R1.9.17 生中継で送信させ  
  高松 地裁 丸亀 R2.9.18 撮影させ 併合罪
  熊本 地裁   R3.1.13 撮影させ 併合罪
  京都 地裁   R3.1.21 撮影させ 観念的競合
  京都 地裁   R3.1.21 撮影させ 併合罪
  京都 地裁   R3.2.3 撮影させ 併合罪
判決速報 大阪 高裁   R3.7.14 撮影させ 観念的競合
  京都 地裁   R3.7.28 撮影させ 併合罪
  大阪 高裁   R4.1.20 撮影させ 観念的競合
  東京 地裁   R4.3.10 撮影させ 併合罪
  札幌 地裁   R4.9.14 撮影させ 観念的競合
             

 

長崎地方裁判所
平成30年(わ)第248号/平成31年(わ)第12号
令和01年09月17日
理由
以下、匿名表記した被害者氏名は別紙のとおりである。
(犯罪事実)
第1 被告人は、A(当時16歳)から入手した同人の画像データ等を利用して強いてわいせつな行為をしようと考え、平成30年10月26日午後10時6分頃から同月27日午前2時21分頃までの間に、D市内又はその周辺において、自己の携帯電話機及びタブレットから、同人が使用する携帯電話機に、アプリケーションソフト「E」の通話機能及びビデオ通話機能を利用して通信し、D市内にいた同人に対し、「写真を援助交際サイトに載せる。」「学校や家の近くに何人かの人が来る。」「連れていかれたことがある。」などと脅迫し、もしこの要求に応じなければAの自由や名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨畏怖させ、その反抗を著しく困難にし、ビデオ通話機能を通じて、同人に胸や陰部を露出した姿態及び陰部を指で触るなどした姿態をとるよう指示し、同人にそれをさせた上、その姿態の映像を前記ビデオ通話機能を用いて被告人の携帯電話機に送信させ、もって強いてわいせつな行為をした。
第2 被告人は、平成30年12月2日、D市(以下略)「ホテルF」(省略)号室において、C(当時15歳)が18歳に満たない少年であることを知りながら、もっぱら自己の性的欲望を満足させる目的で同人と性交し、もって少年に対し、みだらな性行為をした。
(証拠の標目)(各証拠書類等に付記した番号は、検察官請求の証拠番号である。)
(事実認定の補足説明)
1 弁護人は、被告人が、Aに写真を援助交際サイトに載せる旨などを言った事実はあるが、Bの代わりに交渉役として登場したAにBに対する怒りをぶつけたに過ぎず、Aにわいせつ行為をする目的で発したものではない旨主張し、被告人も、「最初は怒りに任せていろいろ言っていたと思うが、その後はAと仲良くなれたという感じだった。」などと弁護人の主張に沿う供述をしているが、裁判所は前記のとおりに認定をしたので、補足して説明をする。
2 Aの公判供述について
 (1) Aは、概ね以下のとおりに述べている。
  「被告人と電話で話を始めた時、被告人は怒っているように見えて、『Bの写真を援助交際サイトに載せる。』『援助交際サイトに載せると、何人かの人が来て、連れていかれたこともある。』という話をした。その後、落ち着いて雑談をするようになったが、被告人が怖かった。被告人から自分の写真を送るよう言われたので、3枚送った。自分の写真を送った直後に、被告人からそれを援助交際サイトに載せる旨言われたことはない。」
  「被告人との電話を早く切りたかったので終わらせようとしたが、被告人から『終わらせたら載せる。』と言われた。被告人からビデオ通話に応じるように言われ、応じないと『じゃ、切るね。』と言われた。被告人から胸を見せるよう言われたときは断っていたが、『もう切るから。』と言われたので見せた。陰部を見せた際に言われた言葉は覚えていないが拒否した覚えはある。勝手に通話を終了すると、写真を拡散されると思っていた。」
 (2) Aの公判供述の信用性について
  Aの公判供述は、その内容に覚えていない部分が多いなどあいまいな部分があることは否定できないものの、Aが虚偽の供述をしていることを窺わせるような不自然、不合理な点はない。供述内容があいまいな点については、Aの証人尋問が実施されたのは既に本件から9か月近く経過した時点であったことを考えると、時間の経過による記憶の劣化があったとしても何ら不自然ではないから、そのことが直ちにその供述内容の信用性に影響を及ぼすようなものではない。また、被告人がAが自己の要求に応じないと、連絡を絶つ旨をAに申し向けてAを困惑させ、自己の要求に従わせるという手法は、本件以後にEアプリで被告人がAに対し会うことを求める際の手口と全く同じであり、前記の供述内容は、本件より後のAと被告人のEアプリを通じた会話内容に非常に整合している。
  次に、前記のとおり時間の経過によりAの記憶が劣化していることは否めないことから、Aの記憶が変容し事実と異なる供述をしている可能性について検討すると、本件の出来事は日常的な出来事ではなく、当時16歳のAにとって非常に衝撃的な出来事であったと考えられるから、前記公判供述のような出来事がなかったにもかかわらずあるものと記憶が変容するということはおよそ考え難いし、他の事実と混同するようなこともない。前記のとおりの客観的事実関係との整合性も考え合わせると、Aの供述内容にはあいまいな部分こそあるものの、その述べている限りの内容については記憶違いにより事実と異なる供述をしている可能性はないといえる。
 (3) 弁護人の主張について
  弁護人は、〈1〉Aは、被告人が写真を援助交際サイトに載せると言っているのを直接聞いておらず、Bから聞いたに過ぎないということを前提として、Aの供述は、Bから聞いた印象だけで被告人から脅されたと言っているに過ぎない旨、〈2〉Aは、被告人に顔写真を送った理由について「怖かった。」と述べているが、被告人のBに対する怒りがおさまった後、雑談をしている際に写真を送付しているのであるから「怖かった。」というのは信用性に乏しい旨主張している。しかし、〈1〉の点については、Aは「ビデオ通話をする前に、写真を援助交際サイトに載せる旨言われた。」旨明確に答える(A証人尋問調書203項)など、被告人がAに対し写真を援助交際サイトに載せる旨を言ったことを明言しているのであるから、弁護人の主張はその前提を欠くものである。また、〈2〉の点についても、前記(1)のとおり、Aは、被告人と電話で会話を始めた時点で、被告人がAに対し「Bの写真を援助交際サイトに載せる。」「援助交際サイトに載せると、何人かの人が来て、連れていかれたこともある。」旨述べているのであり、当時16歳で社会経験も乏しいAの立場になれば、見も知らない被告人がそのようなことを語り、自身の親友であるBが同様の事態になるかもしれないというだけで、被告人に対し恐怖を感じるのは自然なことである。被告人とAが雑談を始め、被告人の会話内容が落ち着いてきていたのだとしても、Aが被告人に対し恐怖感を持っていたというのは非常に自然であり、この点の弁護人の主張も理由がない。
3 被告人供述について
  被告人は、「Bに対しては腹を立てていたが、Aがいい子そうだったので仲良くなりたいと思い、その旨をAに言うと『いいですよ。』と言ったので、雑談を始めた。その後、会って食事をするという話になったが、会うのをやめるという話になったので、Aの胸を見せてくれるという約束でビデオ通話をするようになり、ビデオ通話の中でAの胸や陰部の画像を送信してもらった。」旨述べている。
  しかし、被告人の公判供述の内容は、明らかに被害者の供述内容に整合しないし、本件より後のAと被告人のEアプリを通じた会話内容にも整合しない。また、当初、Bに対し腹を立て、Bの代わりに話をするようになったAに対しても30分くらいその怒りを示すなどしていたのに、被告人がAに仲良くなりたいというとそれをAがいきなり受け入れるというのは、被告人とAがそれまで全く面識がなかったことを考えるとあまりに唐突過ぎ、不自然である。また、被告人が述べるところによれば、Aが被告人と会うことを渋ったために会うのをやめてビデオ通話をすることになったというのであるが、被告人と会うことを渋ったAがビデオ通話に応じるようになった合理的な説明ができていないし、被告人と会うことを渋ったというAが、特に被告人がAを脅すこともなく、Aに金銭的な対価を示したわけでもないのに、これまで全く面識もない被告人に胸を見せる前提でビデオ通話に応じるというのもおよそ信じ難い。
  以上のとおりであるから、被告人の公判供述は信用できない。
4 結論
  関係証拠により認められる事実及び信用できるAの公判供述により認定できる事実によれば、判示の事実は優に認定できる。なお、弁護人は、「写真を援助交際サイトに載せる。」などという文言を言っていたとしても、被害者に対しわいせつ行為をする目的で発せられたものではない旨主張するが、一連の経過に照らせば、「写真を援助交際サイトに載せる。」などと言って、Aの恐怖をあおる理由はAに本件のようなわいせつ画像の送信を含む何らかの自己の性欲を満たす行為を求める以外に考えられないのであり、被告人が電話でAに対して、「Bの写真を援助交際サイトに載せる。」旨述べた時点から、被告人にはそのように述べることによりAを困惑させて何らかの自己の性欲を満たす行為を求める目的があったと推認でき、この時点が実行の着手といえる。
2 証拠
(法令の適用)
 罰条
  被告人の判示第1の行為は刑法176条前段に該当する。
  被告人の判示第2の行為は長崎県少年保護育成条例22条1項1号、16条1項に該当する。
 刑種の選択
  判示第2の罪につき、所定刑中懲役刑を選択する。
 累犯加重
  前記の各前科があるので刑法56条1項、57条により判示各罪の刑につきいずれも再犯の加重をする。
 併合罪の処理
  判示各罪は刑法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をする。
 宣告刑の決定
  以上のとおり加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年6か月に処する。
 未決勾留日数の算入
  刑法21条を適用して未決勾留日数中190日をその刑に算入する。
 訴訟費用の処理
  訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。
(量刑の理由)
刑事部
 (裁判官 小松本卓)

 

 

 

 

 

 

裁判年月日 平成29年 7月25日 裁判所名 岡山地裁 裁判区分 判決
事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
理由

 (罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 A関係
 1(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったA(当時11歳。以下「A」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成26年9月13日頃から同月21日頃までの間に,大阪市〈以下省略〉被告人方において,Aに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,5)からAが使用するスマートフォンにアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「B」を名乗る第三者を装い,Aが「C」を名乗る被告人を怒らせた旨及び「あなたが天誅リストに載っています。」「学校や家にあることないこと言われる。」「実際に学校にも来られる。」「その結果,学校に行けなくなる。」等のメッセージを送信し,さらに「C」を名乗り,「今頃きてなにいってんねんな」「天罰な」「後悔すればいいわ」「おまえがエッチ以外は何でもするって言ったんやろ」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンに送信するよう要求し,同年9月21日頃から同年10月17日頃までの間に,20回にわたり,●●●内のA方において,Aに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Aが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表1記載のとおり,同年9月21日から同年10月17日までの間に,16回にわたり,その画像データ合計20点をAが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成26年9月21日頃から同年10月17日頃までの間に,20回にわたり,A方において,Aに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Aが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表1記載のとおり,同年9月21日から同年10月17日までの間に,16回にわたり,その画像データ合計20点をAが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を使用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,

 

 3(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第3)
 第1の1の犯行によりAが反抗困難な状態であることに乗じ,更にAに強いてわいせつな行為をしようと考え,平成26年10月4日頃から同月8日頃までの間に,被告人方において,Aに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3)からAが使用するスマートフォンに「LINE」を通じて,「C」を名乗り,「いいわけばっかりやな」「ないならもう終わりな」「でいつなん?いい加減にしろよ」等のメッセージを送信して更に脅迫した上,同月18日午後4時35分頃から同日午後5時15分頃までの間に,大阪市〈以下省略〉b駐車場に駐車中の自動車内において,Aに対し,その乳房及び陰部を舐め,自己の陰茎を口淫させるなどし,もって,強いてわいせつな行為をし,
 4(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第4)
 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成26年10月18日午後4時35分頃から同日午後5時15分頃までの間に,第1の3の自動車内において,Aに,被告人の陰茎を口淫するなどの姿態をとらせ,ビデオカメラでその姿態を動画撮影した上,同月21日午前3時58分頃から同日午前4時1分頃までの間に,2回にわたり,被告人方において,その動画データ2点を同所に設置したパーソナルコンピュータ(平成29年岡地領第188号符号18)にマイクロSDカードを介して記録・蔵置し,もって,児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識できる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
 5(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第5)
 第1の1,3の各犯行によりAが反抗困難な状態にあることに乗じ,更にAに強いてわいせつな行為をしようと考え,平成26年10月19日頃から同月31日頃までの間に,被告人方において,Aに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3)からAが使用するスマートフォンに「LINE」を通じて,「C」を名乗り,「次いつ会える?」「なるべく早くで」「先週の約束から今週になったのにそれは話しが違う」等のメッセージを送信して更に脅迫した上,同年11月2日午後0時45分頃から同日午後1時5分頃までの間に,前記b駐車場に駐車中の自動車内及び大阪市〈以下省略〉c駐車場に駐車中の自動車内において,Aに対し,その乳房を舐め,陰部を触わり,自己の陰茎を口淫させるなどし,もって,強いてわいせつな行為をし,
 6(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第6)
 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成26年11月2日午後0時45分頃から同日午後1時5分頃までの間に,前記b駐車場に駐車中の自動車内及びc駐車場に駐車中の自動車内において,Aに被告人の陰茎を口淫するなどの姿態をとらせ,ビデオカメラでその姿態を動画撮影した上,同日午後4時13分頃,被告人方において,その動画データ1点を同所に設置したパーソナルコンピュータ(平成29年岡地領第188号符号18)にマイクロSDカードを介して記録・蔵置し,もって,児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識できる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第2 D関係
 1(平成28年11月2日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったD(当時●●●歳ないし●●●歳。以下「D」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成26年11月17日頃から同月19日頃までの間,被告人方において,Dに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,10)からDが使用するスマートフォンにアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「C」を名乗る第三者を装い,「E」を名乗る被告人がDの個人情報をインターネット上で漏洩させている旨及び「情報収集したら2ちゃんでスレッド立てられて,知らない人から何人も写メ撮られてたりして」「●●●の行動24時間2ちゃんで晒されることになると思う」等のメッセージを送信し,さらに,「E」を名乗り,「何いまごろきてんねん」「しね」「なら俺が言う写メ撮るか?」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンでその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,同月18日頃から同年12月11日頃までの間に,57回にわたり,●●●内のD方において,Dに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Dが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表2記載のとおり,57回にわたり,その画像データ合計55点及び動画データ合計2点をDが使用するスマートフォン端末から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年11月2日付け追起訴状記載の公訴事実第2)
 Dが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成26年11月18日頃から同年12月11日頃までの間に,57回にわたり,D方において,Dに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Dが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表2記載のとおり,57回にわたり,その画像データ合計55点及び動画データ合計2点をDが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,同年11月19日頃から同年12月15日頃までの間に,被告人方において,同画像データ合計55点及び動画データ合計2点を被告人が使用するスマートフォンで受信した上,さらに被告人が使用するパーソナルコンピュータから「LINE」に接続して同画像データ及び動画データをダウンロードしてそのパーソナルコンピュータ(平成29年岡地領第188号符号18)に記録・蔵置し,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第3 F関係
 1(平成29年2月1日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったF(当時●●●歳。以下「F」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成27年2月19日頃から同月28日頃までの間に,被告人方において,Fに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,5,11,12)からFが使用するスマートフォンにアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「G」等を名乗る第三者を装い,Fが「C」を名乗る被告人を怒らせた旨及び「あなたの個人情報が天誅リストに載っている。」「許してもらわなければ24時間監視されて,あなたの写真が2ちゃんねるに載せられる。」「学校にばれて退学になったり,家に住めなくなる。」「何があっても21時までに許してもらわないと一生後悔します。」等のメッセージを送信し,さらに,「C」を名乗り,「今頃なんやねん」「とりあえず顔出して胸出して撮って」「もうお前終わりだな」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンでその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,同月20日頃から同月28日頃までの間に,17回にわたり,●●●内のF方において,Fに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Fが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表3記載のとおり,6回にわたり,その画像データ合計17点をFが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成29年2月1日付け追起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Fが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成27年2月20日頃から同月28日頃までの間に,17回にわたり,F方において,Fに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Fが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表3記載のとおり,6回にわたり,その画像データ合計17点をFが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第4 H関係
 1(平成28年12月8日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったH(当時●●●歳。以下「H」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成27年6月29日,被告人方において,Hに対し,被告人が使用するスマートフォンからHが使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号10)にアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「I」を名乗る第三者を装い,Hが「E」を名乗る被告人を怒らせた旨及び「天誅リストに載っています。」「Eって人は2ちゃんねるとかニコ生であなたの情報収集します。」「必死に謝れば許して頂けると思います。」「でないと、あなたの嫌がらせイベントが始まります。」「私なんか、家とか学校にイタズラされて,万引きしてるとか、援助交際してるとか何十人も言われて,停学になりました。」等のメッセージを送信し,さらに,「E」を名乗り,「いまさらなんやねん」「小学生ちゃうねんからごめんなさいでゆるすわけないやろ」「なら顔出して胸だして写メとって」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンでその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,4回にわたり,●●●内のH方において,Hに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Hが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,同日午後11時56分頃,その画像データ合計4点をHが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年12月8日付け追起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Hが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成27年6月29日,4回にわたり,H方において,Hに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Hが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,同日午後11時56分頃,その画像データ合計4点をHが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第5 J関係
 1(平成28年10月17日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったJ(当時●●●歳。以下「J」という)が13歳未満であることを知りながら,Jに強いてわいせつな行為をしようと考え,平成27年9月6日,被告人方において,Jに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,5,10)からLが使用するスマートフォンにアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「B」を名乗る第三者を装い,「C」及び「E」を名乗る被告人がJの個人情報をインターネット上で漏洩させている旨及び「このままだと学校や家とかに知らない人が大勢あなたの写メ撮って,スレッドにあなたの行動24時間写メ付きで書き込んでストーカーのイベントするからね」等のメッセージを送信し,さらに,「E」を名乗り,「どっちにしろ詐欺師やろおまえ」「小学生ちゃうねんからご免なさいでゆるすわけないやろ」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンでその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,平成27年9月7日頃から平成28年1月10日頃までの間に,38回にわたり,●●●内のJ方において,Jに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Jが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表4記載のとおり,24回にわたり,その画像データ合計38点をJが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,13歳未満の女子に強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年10月17日付け追起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Jが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成27年9月7日頃から平成28年1月10日頃までの間に,38回にわたり,J方において,Jに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Lが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表4記載のとおり,24回にわたり,その画像データ合計38点をJが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第6 K関係
 1(平成29年2月1日付け追起訴状記載の公訴事実第3)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったK(当時●●●歳。以下「K」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成27年9月29日頃から同月30日頃までの間に,被告人方において,Kに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号5,10)からKが使用するタブレット端末にアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「B」を名乗る第三者を装い,「E」を名乗る被告人がKに対し嫌がらせをしようとしている旨及び「天誅リストに晒されてますよ」「Eって人知ってますか?」「もし知り合いなら嫌がらせのイベントされてましたよ」「あいつ2ちゃんねるとかニコ生で情報収集して、情報収集したらスレッド立てて、何十人知らない人が写メ撮ってきて、写メ付きでずっと行動を書き込むストーカーのイベントするんです。」等のメッセージを送信し,さらに,「E」を名乗り,「お前詐欺師やろ」「いまさらなんやねん」「なら今から顔出して胸出して全身の写メとって」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,タブレット端末でその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,35回にわたり,●●●内のK方において,Kに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Kが使用するタブレット端末付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表5記載のとおり,26回にわたり,その画像データ合計35点をFが使用するタブレット端末から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成29年2月1日付け追起訴状記載の公訴事実第4(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Kが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成27年9月29日頃から同月30日頃までの間に,35回にわたり,K方において,Kに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Kが使用するタブレット端末付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表5記載のとおり,26回にわたり,その画像データ合計35点をKが使用するタブレット端末から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第7 L関係
 1(平成28年9月21日付け追起訴状記載の公訴事実第1及び第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったL(当時●●●歳。以下「L」という)が13歳未満であることを知りながら,Lに強いてわいせつな行為をしようと考え,平成27年10月28日,被告人方において,Lに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,5)からLが使用するタブレット端末にアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「B」を名乗る第三者を装い,「C」を名乗る被告人がLの個人情報をインターネット上で漏洩させている旨及び「無視するならしらないよ」「街中の人が付け狙い,家に押しかけたり,いたずら電話がかかってきて,引っ越しを繰り返さなければならなくなる」等のメッセージを送信し,さらに,「C」を名乗り,「今頃なんやねん」「こうかいしろ」「小学生ちゃうねんからごめんなさいで許すわけないやろ」「なら胸出して顔出して写メとれ」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,タブレット端末でその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,
  (1)同日午後8時9分頃から同日午後10時33分頃までの間に,21回にわたり,●●●内のL方において,Lに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Lが使用するタブレット端末付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表6記載のとおり,9回にわたり,その画像データ合計21点をLが使用するタブレット端末から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,
  (2)同日午後10時36分頃から同日午後10時45分頃までの間に,被告人方において,被告人が使用するパーソナルコンピュータとLが使用するタブレット端末を「LINE」のビデオ通話機能により接続した状態で,ビデオ通話機能を使用し,同タブレット端末付属のカメラの前で衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開いた姿態をとるよう要求し,その頃,L方において,Lに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Lが使用するタブレット端末から被告人が使用するパーソナルコンピュータにビデオ通話機能を使用して動画配信させ,
 もって,13歳未満の女子に強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年9月21日付け追起訴状記載の公訴事実第3及び第4(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Lが18歳に満たない児童であることを知りながら,
  (1)平成27年10月28日午後8時9分頃から同日午後10時33分頃までの間に,21回にわたり,L方において,Lに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Lが使用するタブレット端末付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表6記載のとおり,9回にわたり,その画像データ合計21点をLが使用するタブレット端末から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,
  (2)同日午後10時36分頃から同日午後10時45分頃までの間に,L方において,Lに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Lが使用するタブレット端末から「LINE」のビデオ通話機能を使用して,被告人が使用するパーソナルコンピュータに動画配信させ,その頃,被告人方において,ビデオキャプチャーソフトの録画機能を利用して動画データ1点を作成し,被告人が使用するパーソナルコンピュータ(平成29年岡地領第188号符号18)に記録・蔵置し,
 もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第8 M関係
 1(平成29年2月1日付け追起訴状記載の公訴事実第5及び第6(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったM(当時●●●歳。以下「M」という)が13歳未満であることを知りながら,Mに強いてわいせつな行為をしようと考え,平成28年2月9日頃から同月14日頃までの間に,被告人方において,Mに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号10,11)からMが使用する携帯型デジタル音楽プレーヤー「iPod」にアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「N」を名乗る第三者を装い,「E」を名乗る被告人がMの個人情報を漏洩させている旨及び「天誅リストにさらされてるよ」「あいつ2ちゃんねるとかニコニコとかで情報収集するの」「情報収集したらスレッド立てて嫌がらせのイベントするよ」「ただストーカーのイベントされるよ」「知らない人が多勢学校や家とかに待ち伏せして写真撮る」「何時何分になにしたとか晒されるの」等のメッセージを送信し,さらに,「E」を名乗り,「お前なにうそついてんねん」「嘘つきだれがゆるすねん」「なら胸出して顔かくさんといて写メ撮ってみろ」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,Mが使用する「iPod」でその姿態を撮影して被告人が使用するスマートフォンに送信するよう要求し,
  (1)同月9日頃から同月14日頃までの間に,38回にわたり,●●●内のM方において,Mに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Mが使用する「iPod」付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表7記載のとおり,19回にわたり,その画像データ合計38点をMが使用する「iPod」から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,
  (2)同月14日,被告人方において,Mに,被告人が使用するパーソナルコンピュータとMが使用する「iPod」を「LINE」のビデオ通話機能により接続した状態で,ビデオ通話機能を使用し,「iPod」付属のカメラの前で衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸でその陰部を指で開くなどした姿態をとるよう要求し,同月15日午後8時13分頃から同日午後8時23分頃までの間に,2回にわたり,M方において,Mに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Mが使用する「iPod」から被告人が使用するパーソナルコンピュータにビデオ通話機能を使用して動画配信させ,
 もって,13歳未満の女子に強いてわいせつな行為をし,
 2(平成29年2月1日付け追起訴状記載の公訴事実第7及び第8(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Mが18歳に満たない児童であることを知りながら,
  (1)平成28年2月9日頃から同月14日頃までの間に,38回にわたり,M方において,Mに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Mが使用する「iPod」付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表7記載のとおり,19回にわたり,その画像データ合計38点をMが使用する「iPod」から被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,
  (2)同月15日午後8時13分頃から同日午後8時23分頃までの間に,M方において,Mに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Mが使用する「iPod」から「LINE」のビデオ通話機能を使用して,被告人が使用するパーソナルコンピュータに動画配信させ,その頃,被告人方において,ビデオキャプチャーソフトの録画機能を利用して動画データ2点を作成し,被告人が使用するパーソナルコンピュータ(平成29年岡地領第188号符号18)に記録・蔵置し,
 もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
第9 O関係(平成28年8月5日付け起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 O(当時●●●歳。以下「O」という)が18歳に満たない児童であることを知りながら,平成28年2月7日午前6時35分頃,●●●内のO方において,Oにその乳房を露出させる姿態をとらせ,これをOのスマートフォン又は携帯電話機付属のカメラにより静止画として撮影させた上,同画像データ1点を,Oのスマートフォンから被告人使用のスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号10)にアプリケーションソフト「LINE」を利用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 罰条 第1の1,3,5,第2の1,第3の1,第4の1,第6の1の各所為
 いずれも刑法176条前段(第1の3,5を除き,包括して)
 第1の2,第2の2,第3の2,第4の2,第5の2,第6の2,第7の2,第8の2,第9の各所為
 いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」という)7条4項,2項,2条3項3号(第9を除き,包括して)
 第1の4,6の各所為
 いずれも児童ポルノ処罰法7条4項,2項,2条3項1号(第1の4は包括して)
 第5の1,第7の1,第8の1の各所為
 いずれも包括して刑法176条
 第10の各所為
 別表番号ごとに,いずれも児童ポルノ処罰法7条6項後段,前段,2条3項3号
 第11の所為
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織犯罪処罰法」という)10条1項前段
 刑種の選択 第1ないし第9につき,いずれも懲役刑
 第10,第11につき,いずれも懲役刑及び罰金刑
 併合罪の処理 刑法45条前段
 懲役刑につき,刑法47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第1の5の罪の刑に加重)
 罰金刑につき,刑法48条1項,2項
 未決勾留日数の算入 刑法21条(懲役刑に算入)
 労役場留置 刑法18条
 没収 刑法19条1項2号,2項本文(平成29年岡地領第188号符号3,5は第1の1の,符号10は第2の1の,符号11,12は第3の1の,符号18は第1の4の,いずれも犯行供用物件)
 追徴 組織犯罪処罰法16条1項本文(第11の罪に係る同法13条1項5号の犯罪収益等に該当するが,既に費消して没収できない)
 訴訟費用の不負担 刑訴法181条1項ただし書
 (強制わいせつ罪の成否と児童ポルノ製造罪との罪数関係)
第1 弁護人の主張
 弁護人及び被告人は,①被害女児が自らの陰部等を撮影して被告人に送信してきた,いわゆる自撮り行為(第1の1,第2の1,第3の1,第4の1,第5の1,第6の1,第7の1(1),第8の1(1))は,わいせつ行為には当たらず,強制わいせつ罪は成立しない,②仮に強制わいせつ罪が成立するとしても,その他の強制わいせつ罪(第1の3,5,第7の1(2),第8の1(2))も含め,各児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあり,一罪であると主張する。
第2 強制わいせつ罪の成否
 1 関係証拠によると,被告人は,インターネット上で知り合った11歳ないし14歳の被害女児に,第三者を装って天誅リストに載っているから被告人に謝った方がいいなどと言うとともに,謝ってきた被害女児にごめんなさいで許すわけがない,胸と顔を出した写メを送れなどと言って脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,被告人のスマートフォンに送信するよう要求し,被害女児の自宅において,衣服を脱いで乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,被害女児のスマートフォン等付属のカメラでその姿態を撮影させ,その画像データや動画データを被告人が使用するスマートフォンに送信させるなどしたことが認められる。
 2 一般に,被害者を裸にして写真を撮影する行為は,被害者に直接触れていなくとも,わいせつ行為に当たると解されているところ,本件において,被害女児らは,被告人の要求に従い,衣服を脱いで乳房や陰部等を露出したり陰部を指で開いたりする姿態をとり,それをスマートフォン等で自ら撮影して被告人に送信しているのであって,被害女児は被告人と全く面識がないこと,被害女児が撮影して送信した写真や動画は容易に複製や頒布が可能な拡散可能性の高いデータであったことなども考慮すると,被害女児らの性的羞恥心は著しく害されているといえ,被害女児らの性的な自由の侵害という点からみて,撮影者が被告人であるか被害者であるかに質的な違いは見出し難い。
 確かに,女性が密室において一人で自らの陰部等を撮影する行為が,直ちにわいせつ行為といえるかには疑問もある。しかし,本件において,被害女児らは,被告人から衣服を脱いで乳房や陰部等を露出したり陰部を指で開いたりしている写真等を自ら撮影して被告人に送信するよう要求されて,その要求どおりに撮影しているのであって,被害女児らが自らの陰部等を撮影した行為は,被告人に送信することのみを目的として行われたものである。
 また,本件においてわいせつ行為に当たるか否かが問題となっているのは,被害女児らのいわゆる自撮り行為のみではなく,自撮り行為により撮影した写真や動画を被告人のスマートフォンに送信したことまでを含めた一連の行為であって,その一連の行為は被告人も予定していたものであり,被告人は自撮り行為が行われた状況をリアルタイムで認識していないとはいえ,自撮り行為により撮影された写真や動画を予定どおり自撮り行為後間もなく認識している。
 弁護人は,このような行為がわいせつ行為に当たるとすると,子どもが自発的に撮った写真を率先して送信したのでない限り,ほぼ全ての児童ポルノ製造行為が強制わいせつ行為となると指摘するが,強制わいせつ罪の成立には,被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行脅迫が立証される必要があることなどに照らすと,その指摘は当たらない。
 また,弁護人は,同様の事案において強要罪児童ポルノ製造罪の成立を認めた裁判例(東京高判平成28年2月19日判例タイムズ1432号134頁)の存在を指摘するが,強制わいせつ罪ではなく強要罪として起訴された事案における判断であり,本件とは事案が異なる。
 3 以上によると,本件においては,被害女児らが陰部等を自ら撮影して被告人に送信するなどした行為はわいせつ行為に当たるというべきであり,強制わいせつ罪が成立する。
第3 強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数
 本件において罪数が問題となっている強制わいせつ罪は,被告人が,被害女児を脅迫してその反抗を著しく困難にした上,被害女児に自らの陰部等を撮影させて被告人に送信させたり,被害女児に被告人の陰茎を口淫させたり,ビデオ通話機能で接続した状態で被害女児に陰部等を露出させて動画配信させたりしたというものである。他方,児童ポルノ製造罪は,被告人が,被害女児に陰部等を撮影させた写真を送信させてそれをa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させたり,被害女児が被告人の陰茎を口淫するなどの姿態を動画で撮影して被告人のパーソナルコンピュータに記録・蔵置したり,ビデオ通話機能で接続した状態で被害女児に陰部等を露出させた動画配信を録画機能を利用して被告人のパーソナルコンピュータに記録・蔵置したりしたというものである。
 これらに照らすと,本件のような場合,強制わいせつ罪の行為と児童ポルノ製造の行為とは,一部重なり合う部分があり,特に,被害女児に陰部等を自ら撮影の上送信させて児童ポルノを製造した場合には,相当部分が重なり合うともいえる。しかし,本件強制わいせつ行為の中核部分は,脅迫により反抗が著しく困難な状態となった被害女児に,陰部等を撮影させて送信させたり,口淫させたり,陰部等を露出させて動画配信させたりしたわいせつ行為にある一方,本件児童ポルノ製造行為の中核部分は,それらをコンピュータに保存・蔵置した製造行為にあるのであって,前記の両行為が,通常伴う関係にあるとはいえず,また,行為に同時性があるとしても,社会的事実として強い一体性・同質性までは認められない。
 そうすると,本件において,強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,社会的見解上別個のものといえるから,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にあるというべきである。
 (量刑の理由)
 岡山地方裁判所第1刑事部
 (裁判官 後藤有己)

 

 

児童に触って撮った場合の、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪が併合罪になるという高裁判例の理由付け

 観念的競合にした判決を論難することになったので、集計しています。

 法的性格が違うとかいわれるんですが、罪名が違うので当たり前ですよね

 観念的競合の高裁判決は7つくらいあって、送信型強制わいせつ罪だと2件全部観念的競合です。 判例違反の上告理由たつんじゃないか。

 

広島高裁 H22.1.26 判例秘書【判例番号】L06520085 そこで,検討すると,(1)については,本件においては,被告人は,被害児童にその陰部を露出させる姿態をとらせるなどしてその姿態をデジタルビデオカメラで撮影しながら,被害児童の陰部を手指で弄び,舐め回すなどし,画像データをデジタルビデオカメラ内に設置されたDVD-RWに記憶させた上,その後,その画像データをパーソナルコンピュータ内蔵のハードディスクに記憶・蔵置させ,児童ポルノであるハードディスク1台を製造しているのであり,原判示第1のわいせつ行為と原判示第2の3項製造行為とは,一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえないことや,両行為の性質等にかんがみると,それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえるから,両罪は,刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく,同法45条前段の併合罪の関係にあるというべきである。なお,弁護人は,事実取調べの結果に基づく弁論において,被害児童に陰部を露出させる姿態をとらせ,これを撮影する行為は,わいせつ行為であるとともに,3項製造罪の実行行為でもあり,とりわけ,撮影行為がなければ,その点の強制わいせつ罪も成立せず,3項製造罪も成立しないという表裏一体・不可分一体の関係にあり,1個の行為といわざるを得ず,また,社会的見解上1個か否かの判断において,3項製造罪の「姿態をとらせ」という行為も考慮に入れるのであれば,原判示第2の「上記のとおり,その陰部を露出させる姿態をとらせ」という3項製造罪に該当する事実も,原判示第1の「同女の陰部を手指で弄び,舐め回すなどし」という強制わいせつ罪の事実と重なり合うと評価されるべきことになり,この部分についても社会的見解上1個の行為と評価すべきであると主張する。しかし,被害児童に陰部を露出させる姿態をとらせてこれをデジタルビデオカメラで撮影する行為は,刑法176条後段に触れる行為であるとともに,児童ポルノ法7条3項に触れる行為でもあるが,社会的見解上,わいせつ行為に伴い,これを撮影するのが通常であるとはいえないことに加え,本件において,被告人は,原判示第1のとおり,被害児童の陰部を手指で弄び,舐め回すなどのわいせつ行為にも及んでいるところ,これらの行為は原判示第2の3項製造罪の実行行為ではなく,他方,原判示第2の児童ポルノであるハードディスク1台を製造した行為が,原判示第1のわいせつ行為と社会的,自然的事象として同一のものでないことも明らかであることからすると,両者が観念的競合の関係に立つということはできず,両者を併合罪として処理した原判決に法令適用の誤りはなく,もとより理由不備の違法もない。
東京高裁 H22.12.7 公刊物未掲載 3 なお、原判示第1の強制わいせつ罪と3項製造罪の罪数関係について、原判決は、「法令の適用」の項において、「デジタルカメラで撮影した画像が瞬時に電磁的記録媒体であるSDカードに記録・保存されることにも照らせば、下着姿を引き下げ、陰部を露出させる姿態をとらせて、その姿態をデジタルカメラで撮影するという本件わいせつ行為が本件児童ポルノの製造行為とほぼ完全に重なり合っていると認められ、1個の行為が2個の罪名に触れる場合に当たる」と説示して、刑法54条1項前段の観念的競合になるとする。
 しかし、強制わいせつ罪は、わいせつ行為をしたことを構成要件要素とするのに対し、3項製造罪は、児童に児童ポルノに該当するような姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより児童ポルノを製造したことを構成要件要素とするものである。わいせつ行為に伴ってこれを撮影するのが通常であるとはいえないし、撮影に当たってわいせつ行為が必ず必要というわけでもないのであって(児童ポルノには、その定義上、刑法のわいせつには該当しないものも含みうるから、児童ポルノに該当するような姿態をとらせることが常にわいせつ行為に該当するわけではない。)、両行為は通常伴う関係にあるとはいえない。また、両行為の性質を見ても、わいせつ行為は、その場の行為で終了するのに対し、児童ポルノ製造は、その後の編集、現像等のいわば第二次、第三次製造も製造罪を構成し、行為者に犯意の継続性があれば包括一罪と解されるのであって(最3小決平成18年2月20日・刑集60巻2号216頁参照)、時間的、行為的な広がりを有する性質の行為である。これらの点にかんがみると、強制わいせつ罪と3項製造罪は、たまたま行為が重なるように見えても、それぞれにおける行為者の動態は社会見解上別個のものというべきであり、両罪は、刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく、同法45条前段の併合罪の関係にあると解するのが相当である(最1小決平成21年10月21日・刑集63巻8号1070頁参照)。
 そうすると、原判決には、原判示第1の強制わいせつ罪と3項製造罪との関係を観念的競合に当たるとし、両罪についての併合罪処理等を行っていない点で法令適用の誤りが認められる。しかし、正当な処断刑の範囲は6月以上30年以下の懲役であるところ、
東京高裁 H24.11.1  高刑集65巻2号18頁
別冊ジュリスト平成25年重要判例p168
 イ 強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について
     所論は,原判示の各強制わいせつ罪と各児童ポルノ製造罪について,いずれも,①被告人が,被害児童に陰部を露出させる姿態等をとらせ,これらを撮影した行為は,撮影行為も含めて全体として,児童ポルノ法7条3項に触れる行為であるとともに刑法176条後段にも触れる行為であり,行為の全部が重なり合う上,わいせつ行為として同質であるから観念的競合の関係にある,②仮に,観念的競合の関係にはないとしても包括一罪である旨主張する。
     そこでまず①の点について検討すると,その事実の概要は,被告人が,13歳未満の被害児童に対し,そのパンティ等を下ろして陰部を手指で触り,舐めるなどした上,自己の陰茎を握らせるなどする(以下,これらの行為を「直接的なわいせつ行為」という。)際に,性的欲求又はその関心を満足させるために,これらの姿態をとらせてその一部(原判示第2,第3の場合)又はそのほとんど(原判示第5,第6の場合)を携帯電話で撮影して児童ポルノを製造したというものである。
     確かに,所論のいうとおり,一般に上記撮影行為自体も刑法176条後段の強制わいせつ罪を構成すると解されている上,直接的なわいせつ行為の姿態をとらせる行為が児童ポルノ法7条3項の構成要件的行為であることからすると,本件において,刑法176条後段に触れる行為と児童ポルノ法7条3項に触れる行為とは重なり合いがあるといえる。しかし,本件では,被告人は,撮影行為自体を手段としてわいせつ行為を遂げようとしたものではないから,撮影行為の重なり合いを重視するのは適当でない。また,直接的なわいせつ行為の姿態をとらせる行為は,上記のとおり構成要件的行為ではあるが,児童ポルノ製造罪の構成要件的行為の中核は撮影行為(製造行為)にあるのであって,同罪の処罰範囲を限定する趣旨で「姿態をとらせ」という要件が構成要件に規定されたことに鑑みると,そのような姿態をとらせる行為をとらえて,刑法176条後段に触れる行為と児童ポルノ法7条3項に触れる行為とが行為の主要な部分において重なり合うといえるかはなお検討の余地がある。
     そして,直接的なわいせつ行為と,これを撮影,記録する行為は,共に被告人の性的欲求又はその関心を満足させるという点では共通するものの,社会的評価においては,前者はわいせつ行為そのものであるのに対し,後者が本来意味するところは撮影行為により児童ポルノを製造することにあるから,各行為の意味合いは全く異なるし,それぞれ別個の意思の発現としての行為であるというべきである。そうすると,両行為が被告人によって同時に行われていても,それぞれが性質を異にする行為であって,社会的に一体の行為とみるのは相当でない。
     また,児童ポルノ製造罪は,複製行為も犯罪を構成し得る(最高裁平成18年2月20日第三小法廷決定・刑集60巻2号216頁)ため,時間的に広がりを持って行われることが想定されるのに対し,強制わいせつ罪は,通常,一時点において行われるものであるから,刑法176条後段に触れる行為と児童ポルノ法7条3項に触れる行為が同時性を甚だしく欠く場合が想定される。したがって,両罪が観念的競合の関係にあるとすると,例えば,複製行為による児童ポルノ製造罪の有罪判決が確定したときに,撮影の際に犯した強制わいせつ罪に一事不再理効が及ぶ事態など,妥当性を欠く事態が十分生じ得る。一方で,こうした事態を避けるため,両罪について,複製行為がない場合は観念的競合の関係にあるが,複製行為が行われれば併合罪の関係にあるとすることは,複製行為の性質上,必ずしもその有無が明らかになるとは限らない上,同じ撮影行為であるにもかかわらず,後日なされた複製行為の有無により撮影行為自体の評価が変わることになり,相当な解釈とは言い難い。
     以上のとおり,本件において,被告人の刑法176条後段に触れる行為と児童ポルノ法7条3項に触れる行為は,その行為の重なり合いについて上記のような問題がある上,社会的評価において,直接的なわいせつ行為とこれを撮影する行為は,別個の意思に基づく相当性質の異なる行為であり,一罪として扱うことを妥当とするだけの社会的一体性は認められず,それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえるから,両罪は観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にあると解するのが相当である。
     次に,②の点については,強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の保護法益の相違や,上記のとおり両行為の性質が相当異なることなどからすると,包括一罪にはならないというべきである。
高松高裁 H26.6.3 公刊物未掲載 2 原判示第8の罪数について
 論旨は,原判示第8の1の強制わいせつ致傷罪と同2の児童ポルノ製造罪の罪数については,観念的競合とすべきであるのに,これを併合罪とした原判決には,法令適用の誤りがあり,これが判決に影響を及ぼすことは明らかである,というものである。
 しかし,原判決がこれを併合罪であると判断したのは正当である。所論は,原判示第8の1におけるわいせつ行為は,胸部を露出させてその状況を撮影する行為に限られるから,強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為との実行行為は重なり合っている,また,原判決は,強制わいせつ致傷罪の関係では,わいせつ行為と逃げるための暴行行為とを一体の行為とみて単純一罪とし,一個の行為とみているのであるから,児童ポルノ製造罪との関係でも一個の行為とみるべきである,というのである。
 そこで検討するに,前記のとおり,原判示第8の1のわいせつ行為には,被害者の胸部を露出させた上で撮影する行為だけでなく,着衣の上から胸や陰部を触るという行為も含まれるのであり,強制わいせつ致傷罪と児童ポルノ製造罪とは,その行為の一部に重なる点があるに過ぎない。また,胸部を露出させてその状況を撮影し,さらに着衣の上から胸や陰部を触るなどのわいせつ行為をし,逃げるために暴行を加えて傷害を負わせたという一連の行為について,原判決が強制わいせつ致傷一罪を構成すると評価したのは正当であり,構成要件的観点からは一体として強制わいせつ致傷一罪を構成するが,その観点を捨象した自然的観察の下においては,そのうちの一部の行為が児童ポルノ製造罪に触れる関係にあるというに過ぎず,それぞれにおける被告人の動態は社会的見解上別個のものといえるのであり,両罪を併合罪とした原判決の判断は正当である。所論は採用できず,論旨は理由がない。
福岡高裁 H26.10.15 公刊物未掲載 ②については,本件の各強制わいせつ罪におけるわいせつ行為の概要は,被告人「が,単独で,又は共犯者と共謀の上,被害児童が13歳未満であることを知りながら,被害児童に対し,その衣服を脱がせて陰部等を露出する姿態をとらせ,これをカメラ機能付き携帯電話機で撮影した,というものであるのに対し,各3項製造罪における製造行為の概要は,被告人が,単独で,又は共犯者と共謀の上,被害児童が13歳未満であることを知りながら,被害児童に対し,その衣服を脱がせて陰部等を露出する姿態をとらせ,これをカメラ機能付き携帯電話機で撮影し,その画像データを同携帯電話機に内蔵された記録装置に記録させた,というものであり,両行為には同時性ないし重なり合いが認められる。
しかしながらわいせつ行為と児童ポルノの製造行為とは,共に性的欲求ないし関心を満足させるという点では共通する面があるものの,それぞれの行為の性質が相当に異なっているから,本件において各構成要件該当行為として摘示された事実に限ってみたときに,たまたま,上記のような同時性ないし重なり合いが認められるとしても,その聞に社会的事実としての強い一体性があるとはいえず,そうすると,本件における被告人の動態を社会的見解上1個のものと評価することはできないから上記の両罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にあると解するのが相当である。
阪高 H28.10.26 公刊物未掲載 4第7,第8,第10,第12及び第13の各1と各2における法令適用の誤りの主張について。
論旨は,上記の各1のそれぞれの強制わいせつ罪と,各2のそれらに対応する各児童ポルノ製造罪に該当する行為とは,不可分一体の関係にあり,同一の機会に行われた社会的見解上1個の行為であるから,観念的競合若しくは包括一罪となるのに,それぞれ併合罪であるとした原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
確かに,原判示第7,第8,第10,第12及び第13の各1と,それらのそれぞれの2の行為のうち,直接接触して姿態を取らせる行為や撮影 する行為は,強制わいせつ罪の実行行為でありつつ児童ポルノ製造罪の実行行為でもあって,構成要件的に重なり合いがあるといえる。
しかしながら,本件において,社会的な評価における中核となるものは,前者がわいせつ行為そのものであるのに対し,後者は児童ポルノを製造することにある。
中核となるべき行為が異なり,重なる部分がそれぞれの罪において持つ意味合いも異なるし,また,別個の意思が発現されたものとみることができる。
そうすると,両行為が被告人によって同時に行われても,両罪の中核的行為が異なる以上,法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で社会的一体性は認められず,その動態が社会的見解上一個のものとの評価を受けるとみるのは相当ではない。
また包括一罪でもない。
なお,この両罪を一罪として扱うと,一事不再理効の範囲が拡大し過ぎるという不都合も生じ得る。
結局,原判示第7,第8,第10,第12及び第13の各1の罪とそれぞれに対応する2の各罪とは併合罪になると解すべきである。
したがって,原判決に法令適用の誤りはない。
阪高 H28.10.27 最高裁判所刑事判例集71巻9号524頁
高等裁判所刑事判例集69巻2号1頁
      
第4 法令適用の誤りをいう論旨(控訴趣意書の控訴理由第4)について
 1 論旨は,原判示第1の1の強制わいせつ罪と原判示第1の2の提供目的児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあると認められ,あるいは包括一罪として処理されるべきであるのに,両罪を併合罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある,というものである。
 2 そこで検討するに,原判示第1の1の強制わいせつ罪及び原判示第1の2の提供目的児童ポルノ製造罪をそれぞれ構成する行為の内容は,既に説示したとおりであるから,両行為には同時性が認められる。また,本件提供目的児童ポルノ製造罪における撮影行為は,本件強制わいせつ罪の訴因に含まれていないとはいえ,強制わいせつ罪のわいせつな行為と評価され得るものであるから,その意味では両行為には一部重なり合いもみられる。
 しかしながら,強制わいせつ罪における行為者の動態(第三者の目に見えるような身体の動静)は,被害者に対して本件において行われたようなわいせつな行為を行うことであるのに対し,児童ポルノ製造罪における行為者の動態は,児童ポルノ法2条3項各号に該当する児童の姿態を撮影,記録して児童ポルノを製造することであるから,両行為は,その性質が相当異なっており,社会的事実として強い一体性があるとはいえない。また,児童ポルノの複製行為も児童ポルノ製造罪を構成し得ることからすると,児童ポルノ製造罪が時間的な広がりをもって行われて,強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪のそれぞれを構成する行為の同時性が甚だしく欠ける場合も想定される。さらに,強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪とでは,それぞれを構成する行為が必然的あるいは通常伴う関係にあるとはいえず,それぞれ別個の意思の発現によって犯される罪であるとみることができる。以上によれば,行為の同時性や一部重なり合いの存在を考慮しても,強制わいせつ罪及び児童ポルノ製造罪における行為者の動態は社会的見解上,別個のものと評価すべきであって,これを一個のものとみることはできない。
 本件強制わいせつ罪と本件提供目的児童ポルノ製造罪についても,上記のように考えるのが相当であるから,両罪は観念的競合の関係にはなく,もとより罪質上,包括して一罪と評価すべきものともいえず,結局,両罪は併合罪の関係にあると解するのが相当である。
 所論は,強制わいせつ罪のわいせつな行為には撮影行為が含まれることから,本件では行為の重なり合いがある上,被告人に性的意図はなく,金を得るという動機で一連の行為に及んだものであるから,別個の意思の発現とはいえず,行為の一体性が明らかであり,一個の犯意に包摂された一個の行為である,などと主張する。
 しかしながら,本件において,わいせつな行為の中核をなすものは,被告人が被害女児に被告人の陰茎を触らせ,口にくわえさせ,被害女児の陰部を触るなどした行為であるのに対し,児童ポルノを製造した行為の中核をなすものは,前記のような被害女児の姿態を撮影,記録した行為である。そうすると,本件強制わいせつ罪と本件提供目的児童ポルノ製造罪をそれぞれ構成する行為は,別個の行為とみるのが相当である。また,被告人が性的意図ではなく金を得るという動機で一連の行為に及んだことは,所論指摘のとおりである。しかしながら,そもそも強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪との罪数関係について,強制わいせつ罪における性的意図の有無により別異に解することは相当でない上,被告人には性的意図が認められないとはいえ,被告人は,被害女児の性的自由を客観的に侵害する行為を行う意思と,被害女児を描写した児童ポルノを製造する行為を行う意思を併存的に持ち,各意思を実現させるため,別個の意思の発現として性質が相当異なる各行為に及んだものと評価することができる。所論は採用の限りではない。
 その他,この点に関して縷々主張する所論は,いずれも採用することができない。
 3 したがって,原判示第1の1の強制わいせつ罪と原判示第1の2の提供目的児童ポルノ製造罪を併合罪とした原判決に,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りはない。この点の法令適用の誤りをいう論旨も理由がない。
東京高裁 H30.1.30 高等裁判所刑事裁判速報集平成30年80頁 3 強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について
  (1) 論旨は,原判決は,同一機会の犯行に係る強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を併合罪としたり観念的競合としたりしており,罪数処理に関する理由齟齬がある,また,上記の両罪は,撮影による強制わいせつと児童ポルノ製造の行為に係るものであり,もともと1個の行為に2個の罪名を付けているだけであるから,いずれも観念的競合とすべきであるのに,併合罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
  (2) 原判決は,同一機会の犯行に係る強制わいせつ(致傷)罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について,以下のように判断している。
   ア 観念的競合としたもの
    ・原判示第7の強制わいせつ致傷の行為と児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
    ・原判示第9から第11までの各強制わいせつの行為と各児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
   イ 併合罪としたもの
    ・原判示第2の1の強制わいせつの行為と同第1(別表1番号2)の児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
    ・原判示第2の2,4の各強制わいせつの行為と同第2の3,5の各児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
    ・原判示第3の強制わいせつの行為と同第1(別表1番号3)の児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
    ・原判示第4の強制わいせつの行為と同第1(別表1番号4)の児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
    ・原判示第5の1,3,5の各強制わいせつの行為と同第5の2,4,6の各児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
    ・原判示第6の強制わいせつの行為と同第1(別表1番号7)の児童ポルノ製造(撮影,保存)の行為
  (3) 原判決は,上記罪数判断の理由を明示していないものの,基本的には,被害児童に姿態をとらせてデジタルカメラまたはスマートフォン(付属のカメラを含む。)等で撮影した行為が強制わいせつ(致傷)罪に該当する場合に,撮影すると同時に又は撮影した頃に当該撮影機器内蔵の又は同機器に装着した電磁的記録媒体に保存した行為(この保存行為を「一次保存」という。)を児童ポルノ製造罪とする場合には,これらを観念的競合とし(原判示第7,第9から第11まで),一次保存をした画像を更に電磁的記録媒体であるノートパソコンのハードディスク内に保存した行為(この保存行為を「二次保存」という。)を児童ポルノ製造罪とする場合には,併合罪としているものと解される(なお,原判決が併合罪としたもののうち,原判示第2の1,第5の3,5,第6の各強制わいせつ行為では,被害児童に対し緊縛する暴行を加えており,これらについては,このことも根拠として併合罪とし,観念的競合としたもののうち,原判示第7の強制わいせつ行為では,被害児童に対し暴行を加えているが,その暴行態様は,緊縛を含まず,おむつを引き下げて陰茎を露出させた上,その包皮をむくなどしたというものであって,姿態をとらせる行為と重なり合う程度が高いとみたとも考えられ,原判決は,罪数判断に当たり,強制わいせつの態様(暴行の有無,内容)をも併せ考慮していると考えられる。)。いずれにせよ,わいせつな姿態をとらせて撮影することによる強制わいせつ行為と当該撮影及びその画像データの撮影機器に内蔵又は付属された記録媒体への保存行為を内容とする児童ポルノ製造行為は,ほぼ同時に行われ,行為も重なり合うから,自然的観察の下で社会的見解上一個のものと評価し得るが,撮影画像データを撮影機器とは異なる記録媒体であるパソコンに複製して保存する二次保存が日時を異にして行われた場合には,両行為が同時に行われたとはいえず,重なり合わない部分も含まれること,そもそも強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,前者が被害者の性的自由を害することを内容とするのに対し,後者が被害者のわいせつな姿態を記録することによりその心身の成長を害することを主たる内容とするものであって,基本的に併合罪の関係にあることに照らすと,画像の複製行為を含む児童ポルノ製造行為を強制わいせつとは別罪になるとすることは合理性を有する。原判決の罪数判断は,合理性のある基準を適用した一貫したものとみることができ,理由齟齬はなく,具体的な行為に応じて観念的競合又は併合罪とした判断自体も不合理なものとはいえない。
 所論はいずれも採用できず,論旨は理由がない。
仙台高裁 H30.2.8 lex/db【文献番号】25549608 3 法令適用の誤りの主張について
 論旨は,要するに,〔1〕同一の被害児童に対する2ないし3回の強制わいせつ罪を併合罪とする原判決は誤っており,包括一罪と解すべきである,〔2〕同一の被害児童に対する2ないし3回の児童ポルノ製造罪を併合罪とする原判決は誤っており,包括一罪と解すべきである,〔3〕同一機会に行われた強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を併合罪とする原判決は誤っており,観念的競合と解すべきである,したがって,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかしながら,〔1〕及び〔2〕については,被害児童が同じとはいえ,犯行日は短くても20日以上,長いと10か月以上も時期が離れていて機会を完全に異にしており,異なる機会ごとに新たな犯意が形成されたとみるべきものであるから,一罪として1回の処罰によるべき事案とはいえないのであって,包括一罪として評価するのは相当ではない。なお,〔2〕について,所論が指摘する裁判例は事案を異にし本件には適切ではない。〔3〕については,同一の被害児童に対する強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,一部重なる点はあるものの,両行為が通常伴う関係にあるとはいえないことや両行為の性質等に鑑みると,それぞれにおける行為者の動態は社会的見解上別個のものといえるから,併合罪の関係に立つと解するのが相当である(最高裁平成21年10月21日決定参照)。
東京高裁 H30.7.25 lex/db 文献番号】25561382  第1 法令適用の誤りの主張について
 その骨子は,原判示第1の各強制わいせつと原判示第2の各児童ポルノ製造は,重なり合うものであり,社会的見解上1個の行為と評価すべきであるから,刑法54条1項前段の観念的競合の関係に立つのに,刑法45条前段の併合罪の関係にあるとした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというものである。
 しかし,本件のように幼児の陰部を触るなどのわいせつな行為をするとともに,その行為等を撮影して児童ポルノを製造した場合,わいせつな行為と児童ポルノを製造した行為とは,かなりの部分で重なり合っていることもあるが,通常伴う関係にあるとはいえない上,強制わいせつ罪では幼児の陰部を触るなどのわいせつな行為を行ったという側面から犯罪とされているのに対し,児童ポルノ製造罪ではそのような幼児の姿態を撮影して記録・保存する行為を行ったという側面から犯罪とされているのであって,それぞれの行為は社会的評価としても別個のものといえる。同趣旨の判断をして,原判示第1の各強制わいせつ罪とそれらの各犯行に対応する原判示第2の各児童ポルノ製造罪について,いずれも併合罪とした原判決の法令適用に誤りはない。
仙台高裁 R1.8.20 判例秘書【判例番号】L07420418号

2 法令適用の誤りの論旨について
 論旨は,要するに,原判決は,第3の強制わいせつ行為(平成29年4月8日,被害者Aに対するもの)と第4の児童ポルノ製造行為(同一日時場所,Aの姿態を撮影,保存したもの)との関係について,観念的競合による一罪ではなく,数罪であるとした。第5・第6,第7・第8,第9・第10,第11・第12,第13・第14,第15・第16,第17・第18,第21・第22,第23・第24,第25・第26の各関係についても同様である。強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,それぞれ行為の全部が完全に重なっており,いずれも観念的競合の関係にあると解すべきであるから,原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。 
 そこで検討すると,被害児の陰部等を手指で弄び,その陰部に自己の陰茎を押し当てるなどのわいせつ行為とそれらの行為等に係る被害児の姿態をスマホ等で撮影して保存する行為について,両者が同一の機会に行われ,時間と場所が重なり合うことがあったとしても,両者は通常伴う関係にあるとはいえないし,それぞれの行為の意味合いは相当異なり,社会通念上別個のものというべきであるから,両者は観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にあると解するのが相当である。
 本件において,上記各罪の関係について,いずれも併合罪であるとした原判決の法令の適用は正当であり,論旨は理由がない。

 

「男子全員が上半身裸」という運動会写真の児童ポルノ性

「男子全員が上半身裸」という運動会写真の児童ポルノ

 福岡地裁h260602では、福岡県警が「被害児童(男)がTシャツをめくりあげ、乳首をあらわにしている画像」を「明らかに性欲を興奮させ又は刺激するものに該当するものであり、前記静止画データについては実在する18歳未満の児童の衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したものであることから、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第2条第3項第3号に規定された3号児童ポルノと認めた。」として3号ポルノで立件したことがありますよね。
 控訴審では検察官が「それは起訴していない」と釈明してましたが、検察官請求証拠上では、児童ポルノとされていました。
 興奮する人が少しいれば、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の認定も可能です。

乳首は重要だという裁判例もあります。
https://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/20150627/1435304062


https://news.yahoo.co.jp/pickup/6441594
男子全員が上半身裸で体操、厳しい応援指導…高校生が投稿「やめてほしい」
10/14(金) 10:17配信
西日本新聞
投稿が寄せられた福岡県内の高校の運動会。男子生徒が上半身裸で体操する種目がある
 「上半身裸で体操させられる」「応援団から厳しい指導を受ける」。福岡県内の高校の運動会を巡り、現役高校生から「伝統の種目や演目が時代遅れに感じる。嫌な生徒も多いので、やめてほしい」との投稿が、西日本新聞「あなたの特命取材班」に寄せられた。学校を取材すると、生徒間でも意見が割れていた。見直しか、それとも伝統重視か-。

【写真】「時代遅れに感じる」上半身裸で体操する運動会

 福岡県北部にある公立高校の運動会では、男子全員が上半身裸になって体操する種目がある。