児童ポルノ製造罪(7条4項)の罪数は、撮影回数で決まる(名古屋高裁)のか、媒体の数で決まる(東京高裁)のか
撮影自体が性的虐待だし、データの段階で流布の危険が現実化するから、媒体数によるのはおかしいと思いますね。
名古屋高裁H22.3.4
論旨は,原判示第2の2,第3の2, 第6の2' 第7の2及び第8の2の各事実について,児童ポルノ製造罪の罪数は生成された物の個数で決まるところ,これらの所為による画像は1個のSDカードに記録されているから,包括一罪であるのに,上記各児童ポルノ製造罪を併合罪(5罪)とした原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
しかしながら,児童に児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写をした時点で既遂に達するものであり,たとえ同一の記録媒体に児童の姿態が写った複数の画像が記録されたとしても,機会を異にして上記の描写をすれば,各別に児童ポルノ製造罪が成立すると解すべきである。原判決が認定した事実関係によれば,原判示第2の2,第3の2, 第6の2,第7の2及び第8の2はそれぞれ別機会の児童ポルノの製造と認められるから,上記各所為は包括一罪ではなく,併合罪の関係にあるというべき
である。これと同旨の原判決の法令適用に誤りはなく,論旨は理由がない。
東京高裁R06.11.19
3 原判決の罪数判断の当否等(法令適用の誤りの論旨について)
(1)前記のとおり、原判決は、原判示第2の1について、前記別表1の番号ごとに15個の児童ポルノ製造罪が成立し、これらが併合罪となるとの判断をしたものと解される。
しかし、児童ポルノ製造罪が成立するためには、児童ポルノの製造行為として、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写する行為が必要であるところ、記録媒体等に描写する行為が一つなのであれば、そこに成立する児童ポルノ製造罪の罪数は、一罪と考えるのが相当である。原判示第2の1における記録媒体等に描写する行為は、-前記のとおり、最終的にハードディスクに保存するまでの一連の行為一つであるから、この場合に成立する児童ポルノ製造罪は一罪である。
したがって、原判示第2の1に係る原判決の罪数判断及び法令の適用には誤りがあるといわざるを得ない
別表1
番号
1 R6.4.3 7:29
2 R6.4.3 9:26
3 R6.4.3 9:32
4 R6.4.4 11:25
5 R6.4.5 0:07
6 R6.4.5 0:13
7 R6.4.5 4:01
8 R6.4.5 4:04
9 R6.4.5 10:12
10 R6.4.5 10:21
11 R6.4.6 1:22
12 R6.4.6 1:32
13 R6.4.6 1:35
14 R6.4.6 4:33
15 R6.4.6 10:58