児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪・映像送信要求罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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「正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて」「衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れる」行為(東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例5条1項1号)

 東京都の条例なので、東京都の解説書が参考になります。

https://www.bengo4.com/c_1009/n_17901/
●故意ならば「迷惑防止条例違反」になるおそれも
——他の罪はどうでしょうか
次に、東京都内での行為ということで、いわゆる「卑わいな行為」(東京都迷惑防止条例5条1項1号)が検討されます。東京都の迷惑防止条例は次のような規定になっています。
第5条 1 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1)公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

 いわゆる「卑わいな言動」ですが、今の東京都条例は「卑わいな言動」という用語を使いません。

東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例5条1項1号
第5条
1 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

古い解説

東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の実務と解説h07警視庁
「婦女」とは、成年、未成年を問わない。
しかし、本項の婦女は卑わい行為の客体であるから、その行為を卑わいなものとして感じ、かつ、しゅう恥または不安を覚えうる能力を有するものであることを要する。「婦女に対し」とは、行為の対象が婦女であることを要する意味であるが、その婦女が行為の内容を理解できない者、例えば幼女等であっても、それを解しうる能力のある他の婦女が存在し、かつ、当該行為を認識しうる状態にあれば、「婦女に対し」なされたものと解される。
したがって、著しくしゅう恥しまたは、不安を覚えるべき婦女は、必ずしも行為の直接対象となった婦女に限らず、間接的な対象者も著しくしゅう恥し、または不安を覚えるような場合は、ここでいう「婦女に対し」に当たる。
「著しく」の程度は具体的にどの程度と明示することは非常に困難であるが、一般の人が考えて「ひどい」と思われる程度のものであれば足りる。
「しゅう恥させ」とは、性的はじらいを感知させるということである。
「不安」とは、卑わいな言動によって、身体に対する危険を覚えさせ、あるいは心理的圧感を与えることをいう。
なお、この不安を覚えさせる行為は、客観的に不安を覚えさせるに足るものであることを要する
「卑わいな言動」とは、いやらしくみだらな言語、動作で、普通人の性的しゅう恥心を害し、嫌悪感を催させ、又は不安を覚えさせるに足る言語、又は動作をいう。

最近の解説

条例解説(h24)警視庁
2解説
改正前の条例は、「公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」として卑わいな言動を規制していたが、改正条例は、これを3態様に分類して規定するものである。
それぞれの態様は、第1号が身体に触れる行為、第2号が盗撮、第3号が第1号と第2号以外の卑わいな言動である。
規制場所は、第2号の盗撮のみ拡大となり、第1号と第3号は、改正前の条例と同様で「公共の場所又は公共の乗物」である。
(1)柱書き関係
改正条例は、卑わいな言動を3態様に分類しているものの、いずれも「人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」であることが要件である。
「正当な理由なく」とは、健全な社会常識から判断して認められる行為が規制の対象外であることを明確にするために規定したもので、住居侵入罪における「正当な理由がないのに」と同義である。
正当な理由に当たるかどうかは、具体的事案に即して社会通念により決せられる。
※「正当な理由」の具体例
第1号は、恋人同士が抱き合う行為や救急隊等の傷病人に対する救護措置等、
第2号は、温泉番組の撮影や入浴シーンの映画撮影等がこれに当たる。
(2)第1号関係
本号は、人の身体に触れる行為(いわゆる痴漢行為)を規制するもので、規制場所は、公共の場所又は公共の乗物である。
アその他の身に着ける物
「その他の身に着ける物」とは、膝掛け、肩掛け、スカーフ、海水浴などの時に羽織るバスタオル等、衣服とはいえないものの、使用方法によっては身体と密着するもののことをいう(鞄、眼鏡等はこれに当たらない。)。
これらの上から身体に触れる場合は、衣服の上から触れるのと同一視できるため、第1号違反に当たる。
イ身体
「身体」とは、胸部、臀部、下腹部、大腿部等が一般的であるが、人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為である限り、身体の部位に関わらずこれに当たる。
ウ触れる
「触れる」とは、手で触れるのが一般的であるが、人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で触れる限り、手以外の部位で触れる場合もこれに当たる。
したがって、服を着た状態で自己の陰部を相手の啓部等に押し当てる行為もこれに含まれる。
なお、傘の柄等を使用して相手の身体に触れる場合については、本項第3号の「卑わいな言動」に該当するか否かを問擬する。