強制わいせつ罪の序列としては、「陰部に手指を挿入し」というのは悪質な方になります。
裁判所から「性犯罪者処遇プログラムの受講等を通じて、認知のゆがみの改善を図ること」という注文が付くので、情状立証としても有効ということになります。
青森地方裁判所
平成30年09月05日
上記の者に対する強制わいせつ被告事件について、当裁判所は、検察官佐藤慎也出席の上審理し、次のとおり判決する。主文
被告人を懲役2年6月に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。理由
(罪となるべき事実)
被告人は、●●●(当時24歳)に強いてわいせつな行為をしようと考え、
第1 平成30年3月11日午後10時頃から同月12日午前1時頃までの間、広島県(以下略)A地区B岸壁に係留中の護衛艦●●●信号員待機所において、同人に対し、その背後から抱き付き、同人の下着内に手を差し入れて陰部を触り、さらに、その膣内に手指を挿入して弄ぶなどし、
第2 同日午後9時頃から同日午後9時55分頃までの間、前記護衛艦●●●艦橋情報機器室において、同人に対し、その背後から、その両胸を着衣の上から両手で揉むなどし、
もってそれぞれ強いてわいせつな行為をした。
(証拠の標目)
・「事件発生時の護衛艦●●●停泊地の住所等について報告」と題する書面(甲2)
(法令の適用)
・罰条
第1及び第2の事実 それぞれ刑法176条前段
・併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の重い第1の罪に対する刑に法定の加重)
・執行猶予 刑法25条1項
・保護観察 刑法25条の2第1項前段
(量刑の判断)
被告人は、被害者の膣内に手指を挿入して弄ぶなど相当強度のわいせつ行為に及んだ上、翌日にもわいせつ行為を繰り返したものであり、暴行の程度自体が強くはないことなど弁護人が指摘する点を考慮しても、犯行態様は悪質である。
もっとも、上記の犯情に加え、前科はないことをも考え併せれば、今回に限り社会内での更生の機会を与えることが許容され、反省していると認められることなどに照らし、主文の刑に処した上で、その執行を猶予するのが相当である。その上で、性犯罪者処遇プログラムの受講等を通じて、認知のゆがみの改善を図ることが再犯防止のために有用であるので、被告人を保護観察に付することとし、主文のとおり量刑した。
(求刑 懲役2年6月)
刑事部
(裁判官 木口麻衣)