児童ポルノ提供で、起訴猶予になった事件の処分意見書

タナー法で年齢立証が出てくる事件だと、捜査段階でもこういう主張を展開します。 

1 児童ポルノ提供行為について、児童性の根拠は弱く、被疑者も児童ポルノの認識に薄いこと
 撮影された者とは関係がないから、児童性の認識は画像の見た目によるしかない(いわゆるタナー法)。
 画像に見える陰毛と乳房の発達状況から年齢が推定できるというのである。
医学書院「小児科学」初版(1977年)p19



 しかし、このような年齢推定は、タナー博士自身から「misuse」として批判された。
   資料1
Misuse of Tanner puberty stages to estimate chronologic age
A L Rosenbloom, J M Tanner
PMID: 9882230 DOI: 10.1542/peds.102.6.1494



 翻訳文は吉井教授によって公刊されている。
資料1 吉井匠 児童ポルノ事件における児童性の認定方法に関
する考察( p 359 ~ 360 )


 即ち、そもそもタナー法という年齢推定方法自体が存在せず、信用性に欠けることが判明した。
 それでも日本国内では、まだ使われているところ、東京地裁h28.3.15*1とその控訴審判決で、かなり信用性が限定されたところである。
 タナー法の信用性を否定する無罪判決も複数(佐賀地裁r02*2、大阪地裁r06.4.26*3)出ている。
 そこで城祐一郎元検事は、タナー2度以下は児童であるが、4度だと児童であるとの主張には慎重であるべきであると提唱されている。
資料3 城祐一郎「性犯罪捜査全書」p769

 そうすると、本件で提供罪を疑われる画像の児童性についても、相当疑わしい。
 しかも、被疑者は児童性判断の特殊技能を有するわけではないから、児童性の認識は否定されるべきである。
 かくして、児童ポルノ提供罪は成立しない。