児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影行為を強姦罪の犯罪事実とした裁判例

 児童を強姦して撮影する行為の擬律問題です。
 撮影行為をわいせつ行為とすれば包括一罪となるだろうし、併行して行われる点では、観念的競合になる可能性もある。
 撮影行為を強姦罪の犯罪事実とする裁判例は多数あるので、これら強姦罪の犯罪事実にみられる撮影行為を3項製造罪と評価したところで併合罪になるわけがない。

?大阪地裁H20.5.8
第26(平成18年3月6日付公訴事実の分)
 被告人は,金品を強取するとともに強いて女子を姦淫しようと企て,平成18年1月31日午前3時ころ,奈良県内の当時のA26方に,無施錠の玄関ドアから侵入し,同人(当時20歳)に対し,同人方台所にあった文化包丁(刃体の長さ約14.5センチメートル)を同人の顔付近に突き付け,「うつ伏せになれ。騒いだら,喉に刺すぞ」などと言って脅迫し,同人を全裸にしてその反抗を抑圧し,同人所有の現金約14万円及びデジタルカメラ等5点(時価合計約3万8500円相当)を強取した上,上記脅迫により畏怖している同人に対し,さらに上記デジタルカメラを使用して同人の裸体を撮影し,「こっちを向け,もし,他の人とか,警察に言ったら,ネットで写真をばらまくからな」などと言って脅迫し,強いて同人を姦淫した

?神戸地裁H17.11.25
第5(平成16年9月2日付け起訴状記載の公訴事実)
女子児童に強いてわいせつな行為をし,状況によってはさらに強いて姦淫する目的で,平成15年5月31日午前9時ころ,兵庫県明石市<番地等略>所在の中学校の敷地内にその正門から侵入し,同中学校玄関ホール前付近において,G(当時14歳)に対し,「職員室はどこ,案内して。」などと言葉巧みに申し向けて同女を同中学校の中庭にある植え込みに誘い込み,同所において,「抵抗したら殴るぞ。殺すぞ。」などと語気鋭く申し向けて脅迫し,同女の体操服のシャツ等をまくり上げ,その両乳房をもむなどし,さらに,同女を同中学校玄関ホール北側入り口前付近まで連行し,同所において,同女の体操服のシャツ等をまくり上げ,同女の体操服の半ズボン等を脱がせて同女を裸にし,所携のカメラ付き携帯電話で同女の乳房や陰部を撮影した上,同女が抵抗しなかったことから,強いて同女を姦淫しようと決意し,前記脅迫により反抗を抑圧されている同女を姦淫しようとしたが,同女の膣内に自己の陰茎を挿入できなかったため,その目的を遂げなかった

?大阪地裁H18.3.22
第6 帰宅途中のF(当時21歳)を認めて同女を姦淫しようと企て,同年9月5日午前3時ころ,大阪市〈以下略〉501号室の当時の同女方前まで跡をつけ,帰宅して玄関ドアを閉めようとした同女に対し,矢庭にその口を手で塞ぎ,髪の毛を引っ張るなどの暴行を加えながら,同室内に侵入した上,同室内において,同女に対し,「抵抗したりしたらどうなるか分かってるやろな。明日から外歩けんような体にしたる。髪の毛とか眉毛とかも全部剃って外出られんようにしたるぞ。」などと申し向けてその反抗を抑圧し,あらかじめ準備したバイブレーター等を膣内に挿入してその姿をビデオ撮影し,自己の陰茎を口淫させるなどした上,強いて同女を姦淫した〔平成17年2月10日付け起訴状記載の公訴事実〕
第9 帰宅途中のI(当時22歳)を認めて同女を姦淫しようと企て,同年10月13日午前零時27分ころ,大阪市〈以下略〉701号室の当時の同女方前まで跡をつけ,同女が帰宅して玄関ドアを開けた隙に,同室内に侵入し,同所において,同女に対し,胸部付近を両手で押して同女を転倒させ,顔面を手拳で数回殴打するなどの暴行を加え,髪を所携の鋏で切る仕草をしながら,「これの意味わかるやろ。やることやったらすぐ帰る。馬鹿な真似はするな。」などと申し向けてその反抗を抑圧した上,同女を全裸にして,ビニール紐で両手を縛り,目隠しをし,さらに洗濯ばさみで舌を挟むなどしてその姿をビデオ撮影し,自己の陰茎を口淫させるなどした上,強いて同女を姦淫し,その際,上記暴行により同女に加療約1週間を要する頭部外傷,顔面打撲,外傷性頸部症候群等の傷害を負わせた〔平成17年3月7日付け起訴状記載の公訴事実〕

第12 帰宅途中のL(当時22歳)を認めるや,強いて同女を姦淫しようと企て,同年11月14日午後10時30分ころ,大阪市〈以下略〉802号室の当時の同女方前まで同女の跡をつけ,帰宅して玄関ドアを閉めようとした同女に対し,矢庭にその口を手で塞ぎ,その顔面を手拳で多数回殴打するなどの暴行を加えながら,同室内に侵入し,同所において,そのころから同月15日午前1時ころまでの間,同女に対し,「黙って言うことを聞いたら,殺さへん。」などと申し向けてその反抗を抑圧し,同女を裸にして,両手をロープで緊縛しながら陰部を弄ぶなどし,さらに,あらかじめ準備したバイブレーターをその陰部にあてがい,自己の陰茎を口淫させながら,その姿をビデオ撮影するなどした上,強いて同女を姦淫し,その際,上記暴行により,同女に約3週間の通院加療を要する右上眼瞼皮下血腫,右上眼瞼腫脹及び右眼結膜下出血の傷害を負わせた

第14 帰宅途中のN(当時24歳)を認めて同女を姦淫しようと企て,同年1月11日午前零時20分ころ,大阪市〈以下略〉403号室の当時の同女方前まで跡をつけ,同女が帰宅して玄関ドアを開けた隙に,同室内に侵入し,同所において,同女に対し,左肩付近を両手で押して同女を転倒させ,顔面を手拳で多数回殴打するなどの暴行を加え,口を手で塞ぎながら,「静かにしろ。悪いこと考えるなよ。」などと申し向けてその反抗を抑圧した上,あらかじめ準備していたロープで両手などを縛り,目隠しをし,その姿をビデオ撮影し,さらに,プラスチック製ボールを口に押し込んだり,自己の陰茎を口淫させるなどした上,強いて同女を姦淫し,その際,上記暴行により同女に全治約1週間を要する両腕・両手首擦過傷等の傷害を負わせた〔平成17年3月29日付け起訴状記載の公訴事実〕
ものである。

?東京地裁H17.11.14
第4(平成16年5月28日付け追起訴状記載の公訴事実第1及び第2・さいたま事件という)
 被告人は,
1 他人の居室に立ち入って,その居室内に一人でいる女性から金品を強取することを計画し,Xと共謀の上,平成15年9月9日午後1時15分ころ,埼玉県さいたま市○区○○×丁目×番×号○○××号室E(当時20歳)方居室に配電盤の点検作業員を装って玄関から侵入し,そのころ,同所でEから金品を強取する旨Xと共謀し,同日午後2時30分ころまでの間,同所において,Eに対し,その口を手でふさぎ,腹部を手拳で殴打し,両手足をビニールひもで緊縛し,着衣をはぎ取って,口にパンツを押し込み,陰部を露出させて,これをカメラ付き携帯電話機で撮影し,同室内にあった包丁をその面前に突き付け,「騒いだりしたら,殺すぞ」と語気鋭く申し向けるなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧した上,Eの所有又は管理に係る現金約10万円及びキャッシュカード1枚ほか15点(時価合計37万5000円相当)を強取し,さらに,その場で,被告人において上記暴行,脅迫により反抗を抑圧されているEを強いて姦淫する旨Xと共謀し,被告人において,強いてEを姦淫し,その際,上記暴行によりEに全治約2週間を要する顔面打撲挫傷,頚部捻挫,前胸部打撲の傷害を負わせた。

第8(平成16年4月30日付け起訴状記載の公訴事実第1ないし第4・毛呂山事件という)
 被告人は,
1 他人の居室に立ち入って,その居室内に一人でいる女性から金品を強取するとともに,その女性を強いて姦淫することを計画し,Xと共謀の上,平成15年9月24日午後3時30分ころ,埼玉県入間郡毛呂山町○○×番地×○○××号室K(当時25歳)方居室に配電盤の点検作業員を装って玄関から侵入し,そのころ,同所でKから金品を強取するとともに,被告人においてKを強いて姦淫する旨Xと共謀し,同日午後5時ころまでの間,同所において,Kに対し,その口を手でふさぎ,腹部を手拳で殴打し,同室内にあった包丁を手にして示し,口にハンドタオルを押し込み,両手足を麻ひもで緊縛し,着衣をはぎ取り陰部を露出させて,これをカメラ付き携帯電話機で撮影し,「静かにしろ」「殺すぞ」と語気鋭く申し向けるなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧した上,Kの所有又は管理に係る現金約12万5000円及びキャッシュカード2枚ほか21点(時価合計43万8000円相当)を強取し,さらに,被告人において,上記暴行,脅迫により反抗を抑圧されているKを強いて姦淫し,その際,上記暴行によりKに全治約3日間を要する心窩部・背部疼痛の傷害を負わせた。
第9(平成16年7月13日付け起訴状記載の公訴事実・小山事件という)
 被告人は,他人の居室に立ち入って,その居室内に一人でいる女性から金品を強取するとともに,その女性を強いて姦淫することを計画し,Xと共謀の上,平成15年10月3日午後2時45分ころ,栃木県小山市○○×番地×○○××号室L(当時27歳)方居室に配電盤の点検作業員を装って玄関から侵入し,そのころ,同所でLから金品を強取するとともに,被告人においてLを強いて姦淫する旨Xと共謀し,同日午後3時30分ころまでの間,同所において,Lに対し,その口を手でふさぎ,腹部を手拳で殴打して床上に引き倒し,両手を麻ひもで緊縛し,腹部を足蹴にし,同室内にあった包丁をその面前の床に突き立て,着衣をはぎ取り陰部を露出させて,これをカメラ付き携帯電話機で撮影するなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧した上,Lほか1名の所有又は管理に係る現金約7万8800円及び財布2個ほか16点(時価合計30万5000円相当)を強取し,さらに,被告人において,上記暴行,脅迫により反抗を抑圧されているLを強いて姦淫し,その際,上記暴行によりLに全治約15日間を要する膣部挫傷,腹部打撲等の傷害を負わせた。
第10(平成15年12月22日付け追起訴状記載の公訴事実・調布事件という)
 被告人は,他人の居室に立ち入って,その居室内に一人でいる女性から金品を強取するとともに,その女性を強いて姦淫することを計画し,Xと共謀の上,平成15年10月9日午後1時50分ころ,東京都調布市○○×丁目×番地×○○××号室M(当時23歳)方居室に配電盤の点検作業員を装って玄関から侵入し,そのころ,同所でMから金品を強取するとともに,被告人においてMを強いて姦淫する旨Xと共謀し,同日午後2時55分ころまでの間,同所において,Mに対し,その腹部を手拳で殴打し,口を手でふさいで床に組み伏せ,同室内にあった包丁をその面前の床に突き立て,両手首を麻ひもで緊縛し,口にハンドタオルを押し込み,着衣をはぎ取り陰部等を露出させて,これをカメラ付き携帯電話機で撮影し,「騒いだら殺すぞ。今から言うことを聞け」と語気鋭く申し向けるなどの暴行,脅迫を加え,その反抗を抑圧した上,Mの管理に係る自動車運転免許証1枚及び健康保険被保険者証1通を強取し,さらに,被告人において,上記暴行,脅迫により反抗を抑圧されているMを強いて姦淫した。

?福島地裁H17.5.6
第5 金員を強取すると共に強いて姦淫する目的で,女性を略取して監禁しようと企て,同月27日午後7時25分ころ,茨城県 郡 町大字 番地 駐車場において, (当時24歳)が買物を終えて同駐車場を歩いていたのを認めるや,同女の後を付けて同女が乗り込んだ普通乗用自動車後部座席側ドアから同車に乗り込み,運転席の同女に対し,その頸部に所携の前記のフィッシングナイラを突き付け,「騒いだら刺すぞ。」などと申し向けて脅迫し,同女に同車を運転走行させ,同日午後8時30分ころ,同郡 町大字 番地 先路上に同車を停止させ,同車内において,同女の目及び口を粘着テープで塞ぎ,両手足を紐で縛り付けるなどの暴行を加えて同女を同車の後部座席に押し込み,直ちに同車を運転し,同日午後9時10分ころ,前記駐車場に戻り,同所において,同車から逃げ出そうとした同女の頸部を両手で絞め付けるなどし,さらに同女を同所に駐車中の自己の普通乗用自動車の後部座席に押し込み,同女の頸部に同車内の木枠台に固定したチェーンを巻き付けて南京錠で施錠するなどの暴行を加えて,その場から同車を運転し,同月28日午前2時15分ころ,前記の福島県 郡 町大字 字 地内の林道 支線上の山林内まで同女を連行し,その反抗を抑圧した上,同所に停止した同車内において,同女から同女所有の現金1万円を強取し,そのころから同日午前10時ころまでの間,同山林内において,同女に対し,「ここは新潟だから帰れないよ。ここは熊が出て,人がたくさん死んでいる。標高が1500メートルの山だから逃げられないよ。」などと申し向け,さらに同女の裸体,陰部等をデジタルカメラ福島地方検察庁平成15年福島領第316号符号77の1)及びカメラ付き携帯電話機(同符号110)で撮影するなどし,「今撮ったのは俺にとって保険のようなものだ,もしお前が無事に帰れたとしても,この写真が他の人にばれたら恥ずかしいぞ。だからこのことは言うなよ。」などと申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同女を姦淫し,引き続き,同日午後2時15分ころ,栃木県 郡 町大字 番地 まで同車を運転し,同所に駐車した同車内において,途中立ち寄った 銀行の現金自動預払機から同女に引き出させた現金3万円を強取し,さらにそのころから同日午後4時5分ころまでの間,同車を同所から同県内及び茨城県内を走行させるなどして同県 郡 町大字 番地 駐車場に至るまで運転し,この間,同女を同車内等から脱出,逃走することを不能にさせ,もって,同月27日午後7時25分ころから翌28日午後4時5分ころまでの間,営利,かつ,わいせつの目的で同女を略取すると共に不法に監禁し,その際,前記一連の暴行により同女に全治10日間を要する頸部擦過傷,両前腕擦過傷,両膝部擦過傷等の傷害を負わせ,
第6 金員を強取すると共に強いて姦淫する目的で,女性を略取して監禁しようと企て,同年10月6日午後9時50分ころ,栃木県 市 番地 西側駐車場において, (当時20歳)が買物を終えて同駐車場を歩いていたのを認めるや,同女の後を付けて同女が乗り込んだ普通乗用自動車後部座席側ドアから同車に乗り込み,運転席の同女に対し,その頸部に所携の前記のフィッシングナイフを突き付け,「騒ぐと殺すぞ。」などと申し向けて脅迫し,同女に同車を運転走行させ,同日午後10時10分ころ,同市 番地所在の 南東方約1.3キロメートルの県道上に同車を停止させ,同車内において,同女の目及び口を粘着テープで塞ぎ,両腕及び足を紐等で縛り付けるなどの暴行を加えて同女を同車の後部座席に押し込み,直ちに同車を運転走行し,同日午後10時30分ころ,同市 町 番 号 東側駐車場まで同女を連行し,同所において,同女を同所に駐車中の自己の普通乗用自動車の後部座席に押し込み,同女の頸部に同車内の木枠台に固定したチェーンを巻き付けて南京錠で施錠するなどの暴行を加えて,その場から同車を運転走行し,同女を前記の福島県 郡 町大字 字 地内の林道 支線上の山林内まで連行し,同月7日午前1時ころから同日午前10時30分ころまでの間,同山林内に停車中の車内等において,同女に対し,「おとなしくしていろ。全部脱げ。」などと語気鋭く申し向け,さらに,同女の裸体,陰部等を前記のデジタルカメラ及びカメラ付き携帯電話機で撮影するなどし,「写真撮ってあるんだから,警察に言うなよ。」などと申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同女を姦淫すると共に,同山林内に停車中の車内において,同女から同女所有の現金1000円を強取し,引き続き,同日午前10時30分ころから同日午後零時30分ころまでの間,同車を同山林内から同県内及び栃木県内等を走行させるなどして上記 西側駐車場に至るまで運転走行し,この間,同女を同車内等から脱出,逃走することを不能にさせ,もって,同月6日午後9時50分ころから同月7日午後零時30分ころまでの間,営利,かつ,わいせつの目的で同女を略取すると共に不法に監禁した。