児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

滝沢誠「GPSを用いた被疑者の所在場所の検索について」立石二六先生古稀祝賀論文集

立石二六先生古稀祝賀論文集

立石二六先生古稀祝賀論文集

http://www.seibundoh.co.jp/pub/search/021401.html

むすび
このように、GPSによる被疑者等の所在場所の検索やその後の行動に関する情報の集積は、公道上や不特定対数の者が出入りすることのできる領域で行われる場合には、捜査官が行う目視等による被疑者等の位置情報の確認や監視と本質的には異ならないように思われる。また、機器を用いて被疑者等の所在場所を検索し、その後のその行動に関する情報を収集することは、被疑者の所持する携帯電話から発せられる微弱な電波を検証令状で行う実務慣行や任意処分としてコントロールド・デリバリーの実施に際して発信機を取り付けることができるということからすると、GPSを用いて被疑者等の所在場所を検索し、その後の行動に関する情報を集積することは.否定されていないものと思われる。
しかしながら、その後の行動に関する情報の集積によって、直ちに対象者の行動GPSによる所在場所の検索の自由が制約されるものではないとしても、捜査官が行う目視等による被疑者の位置情報の検索や監視と比べて、場合によっては、対象者のプライバシーが必要以上に侵害されていると見ることができる余地もないわけではないように思われる。したがって、任意捜査であったとしても、GPSによる所在場所の検索が許きれるかどうかは、任意捜査の原則、令状主義、強制処分法定主義、捜査の密行性の原則、捜査比例の原則、補充性の原則といった捜査手続を規律する諸原理・原則をふまえた上で、対象台や行動に関する情報の集約期間が不当に広がらないようにするために、対象となっている事件が重大な犯罪であり、通常の捜査方法では被疑者等の所在場所を検索することができず、直ちにGPSを用いなければならないという必要性・緊急性、GPSによる所在場所や行動に関する情報の取得が、社会通念上相当な方法で行われているといった相当性の要件を充たす場合には、プライバシーの保障が及ばないあるいはその保障が縮減される領域においては、GPSを用いて被疑者等の所在場所を検索し、その後、その行動に関する情報を集積することができるように思われる。