相手方に性器や胸部等を露出した姿態をとらせ、これを自撮りさせる行為はわいせつ行為(刑法176条3項)である
①③にはわいせつと言えない部分があるそうです。
第3 控訴理由第5~第8について
1 弁護人の主張
弁護人は、原判示第3~の各行為について、被告人が
①LINEのメッセージにより被害者に働き掛ける行為、
②遠隔で被害者をして裸体を撮影させる行為、
③被害者をして裸体の画像を送信させて記録させる行為
はいずれも「わいせつな行為」に該当しないから、被告人に不同意わいせつ(強制わいせつ)罪が成立するとした原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあると主張する。
2 当裁判所の判断
原判示第3~の各行為のうち②の行為、すなわち、相手方に性器や胸部等を露出した姿態をとらせ、これを自撮りさせる行為は、強い性的な意味を持ち得るものであって、被告人が、被害者と直接の面識はなく、被害者と同年代の女児に成り済ましてSNS上でやり取りをしていたにすぎないなどといった本件の具体的事実関係に基づけば、「わいせつな行為」に該当するというべきである。そうすると、その前後の行為に「わいせつな行為」に該当しない部分があるとしても、原判示第3~の各行為については不同意わいせつ(強制わいせつ)罪が成立するから、原判決に法令適用の誤りはなく、弁護人の①及び③の主張は原判決の判断を左右するものではない。
したがって、弁護人の主張はいずれも理由がない。
東京高裁は「別の場所にいる被害児童に対し、陰茎を露出した姿態をとらせてその姿態を撮影させて被告人が使用する携帯電話機宛てに送信させ、被告人において閲覧するなどの利用が可能な状態に置いたものであることを指摘し、一連の行為がわいせつ行為に当たる」としていて、岡山支判は謙抑的です。
東京高裁r7.7.4
(2)論旨(弁護人)は、次に、原判決が原判示第2の不同意わいせつ罪及び性的姿態等撮影罪の成立を認めたことに関し、データを送信させ記録保存する行為はわいせつ行為ではなく性的姿態等撮影罪の成立範囲は、撮影に着手してから撮影するまでであって、記録保存までは含まないのに、原判決は、画像データを被告人が使用する携帯電話機宛てにLINEアプリを使用して送信させ、事業者のサーバコンピュータ内に記録させて保存した行為を含めて両罪の成立を認めており、法令適用の誤りがある、という。
このうち、不同意わいせつ罪については、原判決は、所論と同趣旨をいう原審弁護人の主張に対し、被告人は、別の場所にいる被害児童に対し、陰茎を露出した姿態をとらせてその姿態を撮影させて被告人が使用する携帯電話機宛てに送信させ、被告人において閲覧するなどの利用が可能な状態に置いたものであることを指摘し、一連の行為がわいせつ行為に当たる旨判示している。
行為者が、性的な部位を露出した姿態をとらせ、自身が所持するカメラ等の機器で撮影した場合、その画像は直ちに記録保存されて閲覧するなどの利用が可能となるのに対し、㋐別の場所にいる者に撮影させた上で、㋑その画像を送信させて事業者のサーバコンピュータ内に記録させて保存した本件では、㋑の行為が加わることで被告人において閲覧鑑賞するなどの利用が可能な状態となったのであるから、その一連の行為全体が性的な意味合いを有し、被害児童に対するわいせつ行為に当たるとした原判決の判断は、相当である。次に、性的姿態等撮影罪は、「撮影する行為」を対象とするものであるから、本件のように撮影対象者を利用して行う場合についても上記㋑の行為はその要素ではない。
原判決も、㋑の行為が性的姿態等撮影罪に該当する旨の判示をしたものではなく、被害児童に原判示の撮影をさせた行為が同罪に当たるとしたものと理解され、したがって、法令適用の誤りはない。