実刑事案が多いというか、普通実刑ですが、この罪名だと罪数論で揺さぶると、ちょっと軽くなるんです。端っこの方の裁判所では。札幌地裁はこれまで観念的競合説だったのにこの事件から併合罪説になったわけですが、理由を聞かれると黙秘ですよ。弁護人の主張として出ていて法廷では理由を述べたのに、調書判決にして、争点に対する判断を書かないことにして、判断を記録に残していない。「大阪高裁は観念的競合説なのはわかりましたが、東京高裁が併合罪説なので、札幌は東京高裁に付いていきます。理由は聞かないで下さい」みたいな。「社会的見解上一個」かどうかは実はそこで決まる。
だいたい、撮影型強制わいせつ罪(176条後段)に3項製造罪を付けても量刑的には変わらないのに、3項製造罪を付けると無駄な争点が出てきて実刑を躊躇することになる。
弁護人としては、実刑だと覚悟して情状立証全部やることです。
園児脱がし撮影 元保育士に有罪 札幌地裁=北海道
2013.07.10 東京朝刊 35頁 (全276字)
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勤務先の保育園で今年4月、昼寝中の女児の下着を脱がせてデジタルカメラで撮影したとして、強制わいせつ罪と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)に問われた被告に対し、札幌地裁は9日、懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年6月)の判決を言い渡した。加藤学裁判官は「保育士という立場を利用しており悪質」としながら「同種の犯罪の中で、悪質さは比較的軽度」と述べた。
検察側は論告で「(被告の)性癖は根深く、再犯の恐れも大きい」と指摘。弁護側は「真摯(しんし)に反省しており、性癖はカウンセリングを継続する予定」と主張していた。
読売新聞社