児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制sexting併合罪説の記載例

 岡山支部を意識して、二重評価を避けようとしているのはわかりますが、「姿態をとらせ」は3項製造罪の方にいれないと、3項製造罪は成立しません。難しいですね。観念的競合説の方が楽ですよ。

被告人は、
第1 平成24年4月20日 午後3時ころから同日午後4時ころまでの間、大阪市北区の被告人方において、自己が使用する携帯電話を用いて、東京都千代田区甲方においた乙(当時13歳)が使用する携帯電話にあてて「おれはやくざだ」「裸の写真を送れ」などと記載した電子メールを送信して、そのころ、同人に、これを閲読させて脅迫して、同児童をしてこれに応じなければ自己の自由,名誉等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨怖がらせ,同日午後5時ころから同日午後8時ころまでの間に,同児童を裸にさせてその裸体等を同児童のカメラ機能付き携帯電話機で撮影させた上,その画像データを同児童の携帯電話機から,前記被告人の携帯電話に電子メール添付ファイルとして送信させ,もって人に義務のないことを行わせた

第2
そのころ、前記被告人方において前記乙が児童であることを知りながら、同人に前記の通り裸の姿態をとらせて撮影させた画像データを受信して被告人の携帯電話機に記憶蔵置させ、もって,児童の衣服の全部又は一部を着けない姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。

福島 地裁 H18.2.8 観念的競合説
松山 地裁 H18.12.11 併合罪
水戸 地裁 H19.7.4 観念的競合説
福島 地裁 H19.8.1 観念的競合説
徳島 地裁 H20.2.13 観念的競合説
前橋 地裁 H20.3.28 併合罪
東京 地裁 H20.6.3 併合罪
福井 地裁 H20.10.8 観念的競合説
札幌 地裁 H20.12.11 観念的競合説
奈良 地裁 H21.4.8 併合罪
盛岡 地裁 H21.5.13 併合罪
徳島 地裁 H21.5.15 観念的競合説
高松 地裁 H21.7.10 観念的競合説
大津 地裁 H21.7.31 観念的競合説
岡山 地裁 H21.9.25 併合罪
横浜 地裁 H21.11.27 観念的競合説
神戸 地裁 H21.12.10 観念的競合説
大阪 地裁 H21.12.25 観念的競合説
東京 地裁 H22.2.15 観念的競合説
大阪 高裁 H22.6.18 観念的競合説
横浜 地裁 H22.7.8 観念的競合説
岡山 地裁 H22.8.13 観念的競合説
長野 地裁 H22.9.16 観念的競合説
青森 地裁 H22.10.29 観念的競合説
名古屋 地裁 H22.11.1 観念的競合説
札幌 地裁 H22.12.1 観念的競合説
広島 高裁 H22.12.15 併合罪
仙台 地裁 H23.2.7 観念的競合説
さいたま 地裁 H23.5.13 併合罪
福岡 地裁 H23.5.30 観念的競合説
札幌 地裁 H23.8.10 観念的競合説

 高裁レベルが判断が分かれていますが、弁護人にとっては、こういう判例混乱状況がおいしいわけです。裁判所もよくわからないまま判決書いているということですし、どう判示しても判例違反になりますから。
 併合罪説で実刑になって、出所してまたやって、観念的競合説で実刑判決もらった人がいましたが、弁護人も判決書取ってないので、気付かなかったようです。