児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

同学年生を裸にし撮影 強要容疑で中2ら逮捕へ

 強要罪で怖い思いしたというより、裸にされて写真撮られたという羞恥心を害された・屈辱感の方が強いと思うので、強制わいせつ罪で告訴すべきだと思いますね。
 最近の判決でも、最高裁s45は弱い判例だと言われています。
非傾向犯説によれば、強要罪と強制わいせつ罪は法条競合の一般法特別法の関係になるので、わいせつ行為があれば、強要罪は成立しないことになります。

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121030-OYO1T00876.htm
同学年生を裸にし撮影 強要容疑で中2ら逮捕へ
 奈良市の市立中学校に通う中学2年の男子生徒2人が、同じ学年の生徒らから裸になるよう命じられ、携帯電話のカメラで撮影された問題で、奈良県警は30日にも、同学年の少年(14)ら4人を強要容疑などで逮捕する方針を固めた。

 捜査関係者などによると、4人は夏頃、2人に命令して服を脱がせ、携帯電話のカメラで撮影するなどした疑いが持たれている。撮影した画像は他の複数の生徒にメールで送ったという。画像を受信した生徒の保護者が9月に学校に相談し、写真を撮られた2人の保護者が県警に被害届を提出。県警が撮影した生徒らに事情を聞いていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121030-00000017-asahi-soci
捜査関係者によると、4人は夏ごろ、裸になるよう2人を強要して携帯電話のカメラで撮影し、他の複数の同級生に送信するなどした疑いがあるという。

 送られてきた画像を見た生徒が学校側に相談して発覚。保護者の被害届を受けた県警が9月から生徒らに事情を聴くなどして捜査していた。学校や市教委も生徒らから聞き取りを進めているが、いじめがあったかどうかの認識については明らかにしていない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121030-00000536-san-soci
捜査関係者によると、同級生ら4人は夏ごろ、男子生徒2人に裸になるよう命じて携帯電話で撮影し、ほかの生徒に送信した疑いがあるという。
 画像を見た別の生徒の保護者が9月上旬、学校に相談し発覚。市教委は、生徒や保護者に事情を聴くなどして調査しているが、「いじめかどうかは確認できていない」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121030-00000017-asahi-soci
 捜査関係者によると、4人は夏ごろ、裸になるよう2人を強要して携帯電話のカメラで撮影し、他の複数の同級生に送信するなどした疑いがあるという。

 送られてきた画像を見た生徒が学校側に相談して発覚。保護者の被害届を受けた県警が9月から生徒らに事情を聴くなどして捜査していた。学校や市教委も生徒らから聞き取りを進めているが、いじめがあったかどうかの認識については明らかにしていない。

強制わいせつ被告事件
最高裁判所第1小法廷判決昭和45年1月29日
 しかし、職権により調査するに、刑法一七六条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であつても、これが専らその婦女に報復し、または、これを侮辱し、虐待する目的に出たときは、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつの罪は成立しないものというべきである。本件第一審判決は、被告人は、内妻Aが本件被害者Bの手引により東京方面に逃げたものと信じ、これを詰問すべく判示日時、判示アパート内の自室にBを呼び出し、同所で右Aと共にBに対し「よくも俺を騙したな、俺は東京の病院に行つていたけれど何もかも捨ててあんたに仕返しに来た。硫酸もある。お前の顔に硫酸をかければ醜くなる。」 ……と申し向けるなどして、約二時間にわたり右Bを脅迫し、同女が許しを請うのに対し同女の裸体写真を撮つてその仕返しをしようと考え、「五分間裸で立つておれ。」と申し向け、畏怖している同女をして裸体にさせてこれを写真撮影したとの事実を認定し、これを刑法一七六条前段の強制わいせつ罪にあたると判示し、弁護入の主張に対し、「成程本件は前記判示のとおり報復の目的で行われたものであることが認められるが、強制わいせつ罪の被害法益は、相手の性的自由であり、同罪はこれの侵害を処罰する趣旨である点に鑑みれば、行為者の性欲を興奮、刺戟、満足させる目的に出たことを要する所謂目的犯と解すべきではなく、報復、侮辱のためになされても同罪が成立するものと解するのが相当である」旨判示しているのである。そして、右判決に対する控訴審たる原審の判決もまた、弁護人の法令適用の誤りをいう論旨に対し、「報復侮辱の手段とはいえ、本件のような裸体写真の撮影を行なつた被告人に、その性欲を刺戟興奮させる意図が全くなかつたとは俄かに断定し難いものがあるのみならず、たとえかかる目的意思がなかつたとしても本罪が成立することは、原判決がその理由中に説示するとおりであるから、論旨は採用することができない。」と判示して、第一審判決の前示判断を是認しているのである。
 してみれば、性欲を刺戟興奮させ、または満足させる等の性的意図がなくても強制わいせつ罪が成立するとした第一審判決および原判決は、ともに刑法一七六条の解釈適用を誤つたものである。