公刊されている児童淫行罪の量刑資料としては池本判事の論文しかありませんが、奥村が引用しながらも、軽すぎるので、古すぎるんじゃないかと思います。
池本判事の論文があるので、こういう主張をしますよね。
控訴理由第5 量刑不当(1項破棄)
1 はじめに
本件が児童淫行罪で、、、という量刑は、重すぎて不当であるから、量刑不当により、原判決は破棄を免れない。
2 児童淫行罪の科刑状況
(1)池本論文
まず、手堅く池本論文を引用する。
児童淫行罪としては最も悪性が強いとされる親族間での児童淫行罪の科刑状況がまとめられている。
① 池本寿美子 児童の性的虐待と刑事法判例タイムズ1081号
反復累行された児童淫行罪についてでも
最高懲役3年4月
とされている。
池本判事 児童の性的虐待と刑事法判例タイムズ1081号
② 1事件〜6年間 懲役1年
6年間にわたる淫行について、懲役1年執行猶予3年。
③ 2事件〜単発性2回で懲役2年
④ 4事件〜6年間で懲役3年4月
⑤ 5事件〜3年間で懲役1年2月
⑥ 7事件〜10年間で懲役2年6月
⑦ 10事件〜5年間で懲役3年執行猶予5年
⑧ 11事件〜3年間で懲役2年6月
⑨ 12事件〜6年間で懲役2年6月
⑩ 14事件〜3年間で懲役2年4月
検察官にも参考にならないと言われました。
検察官答弁書
5 弁護人の所論⑤(量刑不当)について本件事案の内容に照らし,原判決の量刑が重いと言えないことは明らかである。本件のような児童に淫行をさせる行為に対する社会的な非難は近年顕著に増しており,峻厳な刑をもって臨むべきことが社会の共通認識になっている。
弁護人が,同種事案の科刑状況として引用する池本論文は,平成10年から同13年までの科刑状況を調査したとするもので,本件についての量刑の軽重を判断するのに有用なものとは言えない。