児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性的意図無く14歳全裸にする行為は強要罪=傾向犯説

 強制わいせつ罪は性的傾向を要件とするのが判例ですので、そういうのが無い場合には、いくら性的自由・羞恥心が害されても、強制わいせつ罪は成立しません。
 学説はみな反対。S45以降、そういう判決は出ていないといいますが、時々見かけます。

最判S45.1.29
しかし、職権により調査するに、刑法一七六条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには、その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し、婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であつても、これが専らその婦女に報復し、または、これを侮辱し、虐待する目的に出たときは、強要罪その他の罪を構成するのは格別、強制わいせつの罪は成立しないものというべきである。

仙台高裁H23
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20120530#1338385589

広島高裁岡山支部H22.12.15
 ところで,原判示第3の事実は,被告人が,当時16歳の被害者Aを脅迫し,同人に乳房及び陰部を露出した姿態等をとらせ,これをカメラ機能付き携帯電話機で撮影させたなどの,強制わいせつ罪に該当し得る客観的事実を包含しているが,強制わいせつ罪の成立には犯人が性的意図を有していることが必要であるところ,原判示第3の事実に,被告人が上記性的意図を有している事実が明示されてはいない。
 また,原判示第3の事実にかかる起訴状には,原判示第3の事実と同旨の公訴事実が記載され,その罰条として,3項製造罪のほか,「強要 刑法223条」と記載されているのみであるから,検察官において,上記性的意図を有していることも含めて訴因を設定する意思があったとは認められず,原判決が,被告人が上記性的意図を有していることも含めた訴因であることを前提に原判示第3の事実を認定したとも認められない。なお,所論は,原判決が上記性的意図を認定している旨も指摘するが,原判決は,(量刑の理由)欄において被告人に性的欲望を満たすためという動機があった旨説示しているにすぎず,(罪となるべき事実)として性的意図の存在を認定したものではないから,原判決の上記説示が上記結論を左右するものではない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120530-00000102-mai-soci
逮捕容疑は共謀して今月5日夜、横浜市泉区の公園で、少女の同級生を殴る蹴るなどし、「裸のまま泳げ」と命じて公園の池で泳がせたとしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120531-00000011-jij-soci
逮捕容疑は5日夜、泉区内の公園で、少女の友人の女子中学生(14)に殴る蹴るの暴行を加えた上、「裸になれ。裸のまま池で泳げ」などと命令し、全裸で池に入らせた疑い。
 同署によると、少女が友人の中学生と容疑者が浮気をしていると思い込み、友人を呼び出した。友人は事件後、神奈川県外に転居したという。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120531-00000007-kana-l14
逮捕容疑は、5日午後8時半ごろから同10時半ごろまでの間、横浜市泉区和泉町の泉中央公園で、栃木県さくら市に住む中学3年の女子生徒(14)に「態度が生意気だ」などと因縁をつけ、「裸になれ」「そのまま泳げ」などと命じため池で泳がせた、としている。2人は容疑を認めている。

 同署によると、同容疑者と加害生徒は交際しており、生徒同士は友人関係。生徒2人が同容疑者宅に泊まるなどの交流があった。被害生徒は4月まで相模原市中央区に住んでおり、この日は大型連休を利用して遊びに来ていた。

 同容疑者の車内から被害生徒の鏡が見つかったことから、「なぜここにあるのか」と2人が被害生徒を詰問。さらに、かつて宿泊した際の食事代の支払いなどを求めるうちに、要求がエスカレートしたという。泳がせる直前には腹部を殴るなどの暴行を加えており、血のついた服を池で洗うよう命じてもいた。