児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ購入の大学生ら3人書類送検 京都府警、条例を初適用

 「購入者側の立件は全国的にも珍しい」って言っても、京都府条例だけなので京都府だけですよ。
 13歳未満に限定しているので、「13歳未満であることを知りながら」という主観的要件がありますが、見た目では13歳と12歳を認識するのは難しいので、手堅く、かなり低年齢の児童ポルノがターゲットになると思います。
 「対償を供与し、又はその供与の約束をすることにより児童ポルノ(法第2条第3項第1号又は第2号に掲げる児童の姿態(13歳未満の児童に係るものに限る。以下この項において同じ。)を描写したものに限る。)の提供を受けた」「対償を供与し、又はその供与の約束をすることにより電気通イ言回線を通じて児童ポルノ記録(法第2条第3項第1号又は第2号に掲げる児童の姿態を描写した情報を記録したものに限る。)の提供を受けた」という一連の行為の一部が京都府内で行われると、条例が適用されます。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20120101#1324964288
(罰則)
第13条
第7条第1項の規定に違反して、対償を供与し、又はその供与の約束をすることにより児童ポルノ(法第2条第3項第1号又は第2号に掲げる児童の姿態(13歳未満の児童に係るものに限る。以下この項において同じ。)を描写したものに限る。)の提供を受けた者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。第7条第2項の規定に違反して、対償を供与し、又はその供与の約束をすることにより電気通イ言回線を通じて児童ポルノ記録(法第2条第3項第1号又は第2号に掲げる児童の姿態を描写した情報を記録したものに限る。)の提供を受けた者も、同様とする。
2廃棄命令等に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120811-00000502-san-soci
京都府警少年課などは10日、府児童ポルノ規制条例違反容疑で、京都市南区の大学1年の男子学生(20)ら3人を京都地検書類送検した。同条例の適用は初めてで、購入者側の立件は全国的にも珍しいという。
 送検されたのは、この男子学生のほかに、同市左京区の大学1年の男子学生(20)と同府綾部市の男性会社員(19)。いずれも容疑を認めている。
 3人の送検容疑は、今年2〜5月、インターネットサイトを利用して13歳未満の女児のわいせつDVD計25枚(計3万5100円)で購入したとしている。
 府警の調べに対し、男子学生は「条例違反とは知っていたが、成人女性の裸に飽きたため、汚れを知らない女児の裸に興味を持ち、高校生のころから買っていた」などと供述しているという。
 同条例は今年1月に施行。全国で初めて知事による児童ポルノの廃棄命令を盛り込んだ条例で、13歳未満の児童ポルノの購入者には刑事罰を科している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120810-00000036-kyt-l26
児童買春・ポルノ禁止法は、販売や提供目的での所持を禁じているが、今回のような個人が趣味で購入する行為の禁止規定はない。
 3人の送検容疑は2〜5月、インターネットを通じて13歳未満の女児のわいせつな画像が写ったDVD計25枚を計3万5100円で購入し、府内で受け取った疑い。
 府警によると、3人は「条例違反と分かっていた」などと容疑を認めているという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120810-00000163-jij-soci
児童ポルノを購入したとして、京都府警少年課は10日、府内の大学生ら男3人を府の児童ポルノ規制条例違反の疑いで京都地検書類送検した。購入者を処罰する全国でも珍しい同条例を初適用した。

 課題は、可罰性・当罰性が微弱で、国法上は容認されている購入行為を条例で規制できるかという点です。

阪高裁h18.9.21
児童ポルノを提供してこれを積極的に拡散した者と,これを 購入したにすぎない者との間では,児童の権利の擁護という立法趣旨から見て, その当罰性に差があることは当然であり,児童ポルノの提供者のみを処罰する 同罪の規定は合理的なものといえるから,これが法の下の平等憲法14条) に反するとは解されない。

福岡高裁那覇支部h17.3.1
買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。