児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「10代後半の少女に児童ポルノを要求して製造した」場合には、要求罪(青少年条例違反)は成立しないだろう。

 立法趣旨は共通で、製造罪が成立する場合には要求罪は吸収されてしまうでしょう。

富山県青少年健全育成条例
(児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第15条の3 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第18条の4において同じ。)その他の記録をいう。第24条第3項第11号において同じ。)の提供を行うように求めてはならない。

(平31条例11・追加)
第24条 
3 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(11) 第15条の3の規定に違反して、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた者であつて、次のいずれかに該当するもの

ア 当該青少年に拒まれたにもかかわらず、当該提供を行うように求めた者

イ 当該青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は当該青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該提供を行うように求めた者



【解説】
本条は、スマートフォンなどの急激な普及や、インターネット利用の低年齢化が進み、判断能力の未成熟な青少年が多くネット上で活動し始めたことを背景に、SNSに代表されるコミュニティサイトなどを通じて知り合った相手に、青少年自身の裸や下着姿を撮影させられた上、メールなどで送らされる被害、いわゆる「自画撮り被害」が社会問題視したことから、すべての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ又はその情報を記録した電磁的記録その他の記録の提供を求める行為を禁止するものである。これは、恋愛関係にある場合や冗談などであっても、児童ポルノなどのやりとりにより、インターネット上への画像の流出やリベンジポルノに繋がり、青少年を将来に渡って苦しめる要因となる危険性を否定できないためである。
また、本条の規定に違反して、青少年に対し、不当な方法により当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うよう求めた者は、30円万以下の罰金に処せられる。(→第24条
(罰則)第3項第11号参照)
これは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条の規定により、児童ポルノの電磁的記録の所持、保管、提供、製造などが禁止されており、自画撮り被害が生じた場合、加害者には製造罪が適用されるケースが多いが、未遂罪の規定がなく、自画撮り被害につながる働きかけ行為自体を処罰する規定がないことや、自画撮り被害につながる働きかけ行為自体が刑法第222条(脅迫罪)や、第223条(強要罪)の未遂に該当すれば罰せられるが、加害者が青少年の判断能力の未熟さにつけこむ方法で働きかけを行う場合、働きかけ行為自体がこれらに該当しないことが多いことから、その自画撮り被害につながる働きかけ行為自体を罰することで、青少年の画像提供の未然防止などを図るものである。
1 適用範囲
本規定は、刑法の属地主義により、構成要件該当事実の一部が富山県内で発生した場合に適用される。すなわち、要求を行う者又は要求を受ける者(青少年)のいずれかが富山県内に所在する場合に適用される。(関係判例参照)

https://www3.nhk.or.jp/lnews/k/nagano/20230411/1010026192.html
男性巡査が児童買春・ポルノ禁止法違反などの容疑で書類送検

長野県警の男性巡査が10代後半の少女の児童ポルノを製造したなどとして児童買春・ポルノ禁止法違反などの疑いで書類送検されていたことがわかりました。
この巡査は減給の懲戒処分を受け、依願退職しました。

警察によりますと、県内の警察署に勤務していた20代の男性巡査は、去年5月ごろから8月ごろまでの間に、18歳未満と知りながら10代後半の少女に児童ポルノを要求して製造したとして先月23日に児童買春・ポルノ禁止法違反と富山県青少年健全育成条例違反の疑いで書類送検されました。
巡査は書類送検された日に減給10パーセント、3か月の懲戒処分を受け、その日に依願退職したということです。