児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「熟睡中の女性の部屋に侵入し,自慰行為をして射精した行為が準強制わいせつ罪に当たるとされた事例大阪高判平22.3.26 公刊物未登載」警察実務重要裁判例h23

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20110206#1297000649
の続報。
 原判決が紹介されています

本件の住居侵入,準強制わいせつの罪にかかる公訴事実の要旨は,被告人が,従前から路上で見かけていた被害者を見ながら自慰行為をしたいと考え,被害者方ベランダから室内に侵入し,就寝中の被害者を見ながら自慰行為をして射精した(精液は直接被害者の身体には付着せず,最も近いもので被害者の頭部から約15センチメートルのところで発見)というものである。
第1審は一般に,他人から意に反して自慰行為を見せられ,あるいは近接した位置に射精された場合,性的差恥心を害されるものであるから, これら行為は相手に直接接触するものではないが犯罪におけるわいせつ行為に当たり得る。ただし,同罪は,人の性的自由の保護を目的とするものであるから,同罪のわいせつ行為というためには,性的自由を侵害する行為が特定の相手に対して行われたものと評価できることが必要である。本件の場合,上記のとおり,被告人は,被害者の寝姿を見て自慰行為をしたいと考えベランタに立ち入ったものの,室内がよく見えなかったため,同室内に侵入したものであり, 自慰行為を被害者に認識させる意図は認められない。また,射精についても,自慰行為に引き続いて射精すること自体については未必的な認容はあったにせよ,被害者にこれを認識させ,あるいは被害者に精液をかける意図があったとも認められない。
そうすると,自慰行為及びそれに引き続く射精は,被害者に対して行われたものと評価することはできない。この点につき,検察官は,被告人が被害者を見て同女との性交を想像しながら,被害者から約86センチメートルの距離から被害者の方を向いた姿勢で自慰行為を行って射精し,被害者に近接した上記の各位置に精液が付着したとし, これは.被告人が,被害者に向かつて,ないし被害者を目掛けて行ったものであり,わいせつ行為に当たると主張する。
しかし,仮に被告人が本件自慰行為の際,被害者との性交を想像していたとしても, これをもって同行為自体が被害者に対するものと評価することはできない。また,射精を被害者に「向かつて」とする点は,被害者の方向を向いて行ったというだけであれば,被告人がこれを被害者に認識させる意図を有しない本件では,それだけは被害者に対する行為とはいえないのは自慰行為の場合と同様である。さらに,射精を被害者に「目掛けた」とする点も,被告人において,被害者に精液をかけることを意図するのであれば.就寝中の被害者により近づくなどすればよく,これを妨げる事情も特にうかがえないところ,そのような行動をとったという証拠はなく,元来射精の時期や精液の飛散を意のままにすることは必ず白しも容易でないことからすれば,自慰行為時の被告人と被害者の距離や精液が付着した位置を考慮しでも. 自慰行為をしていたところ,我慢できなくなって射精してしまったもので,被害者を目掛けたものではない旨の被告人の供述は一概に排斥できない。」して,準強制わいせつについては無罪とした。
これに対し,検察官が控訴し,・・・