高裁岡山支部は併合罪で、これが唯一の判例です。それに照らすと、判示第2の事実は訴因不特定で公訴棄却になります。
放火罪の量刑に目を奪われてしまいますが、そこで破棄減軽される可能性がある。児童ポルノ罪の法令適用には要注意です。
この事件は控訴されていたようですが(大阪高裁H23.5.12)、控訴審の弁護人が気付いたかどうか。
LEX/DB
【文献番号】25470191
現住建造物等放火,脅迫,強姦,強要,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
大阪地方裁判所堺支部
平成22年11月22日判決
【罪となるべき事実】
被告人は,
第2 第1の犯行の際,Bの全裸姿等の写真を携帯電話のカメラ機能等で撮影したことを利用し,さらに,同女の全裸の写真を入手しようと企て,同女が18歳に満たない児童であることを知りながら,同月23日ころ,携帯電話を使用して,<以下略>の当時の被告人方から,<以下略>C方にいたB(当時12歳)に対し,その使用する携帯電話に,「裸の写真をメールで送ってや。写真ばらまかれてもいいんやな。」などと記載した電子メールを送信して脅迫し,同女をして,その要求に応じなければ自己の名誉等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨畏怖させ,そのころ,同女をして,前記C方において,その使用する携帯電話のカメラ機能で,Bの衣服を着けない乳房及び陰部を露出した姿態をとらせて撮影記録させ,さらに,その携帯電話から電子メールで被告人使用に係る携帯電話に,同撮影に係る画像2枚の電磁的記録をそれぞれ送信させ,そのころ,前記の当時の被告人方において,前記画像2枚の電磁的記録を被告人使用に係る携帯電話で受信し,その電磁的記録媒体内に記録,蔵置させ,もって,同女をして,義務のないことを行わせるとともに,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録媒体に描写した同女に係る児童ポルノを製造した。
【法令の適用】
罰条
判示第2の行為
強要の点 刑法223条1項
児童ポルノ製造の点 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,1項,2条3項3号
科刑上一罪の処理
判示第2の罪 刑法54条1項,10条(1個の行為が2個の罪名に触れるので,犯情の重い強要罪の刑で処断)
もっと言えば、こんなの大分地裁に言わせれば強制わいせつ罪なので、強制わいせつ罪の一部起訴は可能かとか、強制わいせつ罪が成立する場合は強要罪は成立しないとか、論点が多いです。