児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

器物損壊と強制わいせつ罪が観念的競合とされた事案(奈良地裁H30.12.25)

「被告人は精液を被害者の衣服に付着させる認識・認容がなかったので,準強制わいせつ及び器物損壊の故意がなかった」という主張でした。 非接触型の場合は、わいせつ性を争ってください。 奈良地方裁判所 平成30年12月25日刑事部判決 判 決 上記の者…

「これまでは児童買春・ポルノ禁止法に基づき、わいせつ画像が残っていないと検挙できなかったが、条例改正により提供を求める行為のみで摘発が可能になった。」というのは製造罪の既遂時期を誤解している。

国法・条例の関係からは、製造罪が成立するときは条例の要求罪は成立しないという解釈を前提にしてると思うのですが、製造罪の既遂時期は、児童の裸が最初に媒体に記録された時なので、児童のカメラ(スマホ等)で撮影したときですから、児童が撮影している…

刑事裁判資料第291号「性犯罪被害者の心理等に関する参考資料」最高裁判所事務総局

閲覧のみの部分と、謄写許可の部分があるんですが、極めて基礎的な内容です。 改正刑法の附帯決議に「裁判官に対して、性犯罪に直面した被害者の心理等についての研修を行うこと。」とあるので、一応やりましたよという程度の内容です。 [024/040] 193 - 参 …

長野県子どもを性被害から守るための条例の検挙事例は、刑事確定訴訟記録法で略式命令を閲覧すれば把握できます。

ラブホテルに宿泊同伴した事例でも、深夜同伴罪で罰金になっています。威迫欺き困惑がない青少年との性的行為は、この地域では適法行為ということになります。 長野県子どもを性被害から守るための条例の規制項目の解説 【威迫等による性行為等の禁止】 第17…

①児童Aを脅迫して性交求めた行為を強要未遂とし、②児童Aを脅迫して乳房露出画像を送らせた行為を強要罪とし、包括一罪とした事案(千葉地裁H31.2.22)

①は強制性交未遂、②は強制わいせつ罪とする裁判例もあるのに、軽い罪名で起訴されているので、実刑にはなりません。 強要未遂,強要,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件 千葉地方裁判所判決平成3…

児童ポルノ等の提供を求める行為(福岡県青少年健全育成条例)により、千葉県の男性を検挙した事例

児童の提供目的製造・提供罪の教唆みたいな感じになりますが、注文販売というのは予想される関与者であるのに国法では放任されている行為です。 千葉県では規制されてないという点も強調してください。 福岡県条例を千葉の人に押しつけるというのは無理でし…

吉田利広「いわゆる「投稿サイト」の管理者らについてわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪の共謀共同正犯の成立を認めた事例(平成30年9月11日大阪高等裁判所判決(弁護人上告中) ・裁判所ウェブサイト登載)研修853号

吉田検事が注5で挙げた文献で紹介されている判例は、全部弁護人奥村の事件です。 奥村事件では、 東京高裁H16.6.23は管理者の単独正犯説(共謀否定) 東京高裁H30.2.6は東京高裁H16.6.23に従い管理者の単独正犯説(共謀否定)→上告中(第一小法廷) となって…

自分の裸を撮影して公然陳列した児童の責任

法文上は行為者から被害児童が除外されてないので、7条6項の公然陳列罪と7項の公然陳列目的製造罪になって、成人だと最高7年6月になる行為です。 7条 6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円…

宮城県青少年健全育成条例違反につき「二人は2回目に会った際に自動車内で性交に及び、かつ、3回目に会った際にも性的な行為に及んでおり、これらに照らすと、被告人が性交渉を目的として被害者と会っていた疑いは否定できない。しかしながら、二人は、5月頃や夏頃以降もFで日常的なやり取りを行っており、その後本件に至るまでの間に被告人が積極的に性的な行為を求めたようなところもなく、会った際には性的な行為以外のやり取りもしている。その上、被害者に対し本件当時に好意を抱いていたという被告人の供述を排斥することはできない。被告

宮城県青少年健全育成条例違反につき「二人は2回目に会った際に自動車内で性交に及び、かつ、3回目に会った際にも性的な行為に及んでおり、これらに照らすと、被告人が性交渉を目的として被害者と会っていた疑いは否定できない。しかしながら、二人は、5…

「投手は2017年12月にインターネットを介して知り合った女子高校生と関係を持った」という報道

報道は夏休み前に持って来られますね。 事件が古いので逮捕されないでしょう。 弁解としては、 18歳未満とは知らなかったとか 真剣交際だったとか 実害がない罪だとか わいせつの定義がない 児童買春罪ができたので青少年条例は存在意義を失った とか言って…

大阪府青少年健全育成条例を本年度中に改正する意向

事件にならないので、大阪にも詳しい弁護士もいないわけですが、奥村は、困惑による大阪府条例違反の公判請求事件を2件担当しています。 大阪府は、大法廷の第2類型は曖昧だから処罰しないという立法判断だったんだけどなあ。 学説には、児童買春罪を国法…

出会い系アプリの自称「18歳」(実は16歳)との児童買春事件で逮捕されて、対償供与約束時点では児童と知らなかったと弁解して、起訴猶予になった事例

この主張は、基本的な刑法理論だし、判例で否定されてないので、使えると思うんですよ。 会ってからの見かけの年齢とかをきちんと説明して。

H26からの強制わいせつ罪多数(被害者3名)につき、弁償2300万円・懲役9年(岡崎支部r01.6.3)

求刑12年に弁護人は執行猶予を求めたようです。 児童ポルノ製造罪は公訴時効なので起訴されていません。 3歳4歳からの被害者からは供述は取れませんが、証拠の標目に画像が出てきますので、撮影されていたことがわかります。 名古屋地方裁判所岡崎支部令和0…

奈良県は、子どもポルノ単純所持罪を廃止して、児童ポルノ要求行為を禁止する青少年条例改正を行うようです

子どもポルノ所持罪はH27にひっそり削除されていました。あとのきは、全国に先駆けて所持罪を作ったのに、要求行為への対応は遅れています。 児童ポルノ:画像要求に罰金 県、条例改正目指す /奈良 2019.07.02 毎日新聞社 子どもが脅された上、自分の裸を撮…

観念的競合説によれば二重起訴になる事案(秋田地裁H30.12.19)

観念的競合の高裁判例はたくさんありますが、 強制わいせつ罪・児童ポルノ製造罪を観念的競合とする裁判例65 - 児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹…

観念的競合説によれば、二重起訴の疑いがある事件(山形地裁H31.3.12)

製造罪1と強制わいせつ罪1の場合は、併合罪説だと処断刑期が13年、観念的競合説だと処断刑期が10年ということで観念的競合説には実益があるんですが、たくさんやってると処断刑期に影響がなく、どっちでもよくなりますよね。 ところが、二重起訴になることも…

強制わいせつ罪・児童ポルノ製造罪を観念的競合とする裁判例65

東京高裁H30.1.30の影響でてるかも。 同一機会の触って撮影する行為が強制わいせつ罪で起訴されて、製造罪で追起訴されている事案だと二重起訴の論点も出てきます1 名古屋地裁一宮 H17.10.13 2 東京地裁 H18.3.24 3 東京地裁 H19.2.1 4 東京地裁 H19.6.2…