就寝中のわいせつ行為を撮影した行為を、ひそかに製造罪とした判決(N地裁r04.7.14)と、姿態をとらせて製造罪とした判決(N地裁H29.11.27)
製造罪の法文は
児童ポルノ・児童買春法7条
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
となっているので、わいせつ行為や児童買春行為などで、姿態を取らせた場合には、ひそかに製造罪は適用されないはずです。
しかし、ひそかに製造罪で挑んでくる警察・検察があって、裁判所もひそかに製造罪で判決を書いてしまう。結構長期の実刑事案
N地裁r04.7.14
第1 C(当時9歳)が13歳に満たない児童であることを知りながら、Cにわいせつな行為をしようと考え、同年11月13日午前2時44分頃から同日午前2時45分頃までの間、被告人方において、就寝中のCに対し、下着をずらした上、直接その陰茎を手指で触り、もって13歳未満の児童に対し、わいせつな行為をし、
(刑法176条後段)
第2 判示第1記載の日時場所において、Cが18歳に満たない児童であることを知りながら、Cに対し、ひそかに、被告人がCの陰茎を露出させる姿態、被告人がCの陰茎を手指で触る姿態を被告人の動画撮影機能付き携帯電話機で動画として撮影し、その動画データ2点を同機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを、それぞれ視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造し、
児童ポルノ法7条5項
しかし、当職が、長年集積している裁判例を見ると、就寝中わいせつの撮影は、N地裁でも姿態をとらせて製造罪で処理されていて、大阪高裁も追認していることがわかりました。 理屈をこねなくても、これだけでN地裁R04は罪名を間違っていることを説明できます。
N地裁H29.11.27
第1
b(7)に わいせつ行為しようと企て
令和4年11月16日 2358~2359までの間に
大阪市■■■■■■■■■■■■■■■■において
bが13歳未満の者と知りながら
同人が睡眠中のために抗拒不能に乗じて パンツめくり、陰部に手指を挿入し
もって、13歳未満の者にわいせつ行為をした。
刑法176条後段
第2
前記第2の日時場所において、
b(7)が児童であることを知りながら
同児童に前記2記載のわいせつ行為にかかる姿態をとらせて
これを写真撮影機能付き携帯電話で撮影して、その電磁的記録を同携帯電話内臓の記録装置に記録させて保存して
もって、他人が児童の性器等を触る行為にかかる児童の姿態であって、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により、描写した児童ポルノを製造したものである
(7条4項)
※ 大阪高裁H30.4.13は2項破棄して、破棄自判して、原判決の法令適用を追認しています。