児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性交した姿態をとらせたら、1号・3号ポルノになるという理由不備の実刑判決(前橋地裁r2.4.16)

性交した姿態をとらせたら、1号・3号ポルノになるという理由不備の実刑判決(前橋地裁r2.4.16)
 製造罪の罪となるべき事実全部理由不備。


第1の2(令和元年11月12日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 前記1の日時・場所において、同児童に被告人と性交する姿態をとらせ,

もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノ


第2の2(令和元年10月2日付け起訴状記載の公訴事実第2)
同児童に被告人と性交する姿態をとらせ,

もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノ



第3の2(令和元年12月3日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 同児童に被告人と性交する姿態をとらせ,

もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノ





《全 文》

【文献番号】25565983

前橋地方裁判所令和元年(わ)第402号,令和元年(わ)第423号,令和元年(わ)第462号,令和元年(わ)第495号
令和2年4月16日刑事第1部判決

       判   決

 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,群馬県青少年健全育成条例違反,強制性交等被告事件について,当裁判所は,検察官日下部敏,私選弁護人松井正広各出席の上審理し,次のとおり判決する。
       理   由

(罪となるべき事実)
第1 被告人は,■(以下「B」という。当時17歳)が18歳未満の者であること及び18歳に満たない児童であることを知りながら,
1(令和元年11月12日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 平成30年8月24日午後7時16分頃から同日午後9時35分頃までの間,群馬県高崎市α×丁目×番地×b×××号室において,専ら自己の性的欲望を満たす目的でBと性交し,もって青少年に対しみだらな行為をし,
2(令和元年11月12日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 前記1の日時・場所において、同児童に被告人と性交する姿態をとらせ,これを,情を知らない氏名不詳者をして,被告人のカメラ機能付き携帯電話機で撮影させ,その電磁的記録である画像データ11点を同携帯電話機内蔵の電磁的記録媒体に記録して保存し,もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
第2 被告人は,■(以下「A」という。当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,
1(令和元年10月2日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 平成31年2月23日午前8時57分頃から同日午後3時54分頃までの間,群馬県藤岡市β×××番地×当時のc××号室において,同児童に対し,現金5000円の対償を供与する約束をして,同児童と性交し,もって児童買春をし,
2(令和元年10月2日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 前記1の日時・場所において,dに児童ポルノを提供する目的で,同児童に被告人と性交する姿態をとらせ,これを自己等のカメラ機能付き携帯電話機で撮影し,その電磁的記録である画像データ18点を同携帯電話機内蔵の電磁的記録媒体に記録して保存し,もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造し,
3(令和元年10月18日付け起訴状記載の公訴事実)
(1)同日午後4時32分頃から同日午後5時56分頃までの間,群馬県高崎市γ×××番地×e f店駐車場に駐車中の自動車内において,dに対し,自己が使用する携帯電話機から,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した前記児童に係る画像データ20点を,dが使用する携帯電話機にそれぞれ送信して受信させ,
(2)同年3月7日午後10時4分頃から同日午後11時9分頃までの間,同市γ■被告人方において,dに対し,自己が使用する携帯電話機から,アプリケーションソフト「LINE」を用いて,児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した前記児童に係る画像データ3点を,dが使用する携帯電話機にそれぞれ送信して受信させ,
もって電気通信回線を通じて児童ポルノを提供した。 
第3 被告人は,■(以下「C」という。当時12歳)が13歳未満の者であること及び18歳に満たない児童であることを知りながら,
1(令和元年12月3日付け起訴状記載の公訴事実第1)
 同児童と性交等をしようと考え,令和元年8月15日午前11時44分頃から同日午後3時33分頃までの間,宇都宮市δ××××番地×g×××号室において,同児童に対し,ホテル代を含めた現金2万円の対償を供与する約束をして,同児童と性交等をし,もって児童買春をするとともに13歳未満の者に対し,性交等をし,
2(令和元年12月3日付け起訴状記載の公訴事実第2)
 前記1の日時・場所において,同児童に被告人と性交する姿態をとらせ,これを被告人のカメラ機能付き携帯電話機等で撮影し,その電磁的記録である画像データ26点を同携帯電話機内蔵の電磁的記録媒体に記録して保存し,もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。
(証拠の標目)《略》
(法令の適用)
罰条
判示第1の1の所為 群馬県青少年健全育成条例53条(35条1項)
判示第1の2及び第3の2の各所為
いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項1号,3号
判示第2の1の所為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
判示第2の2の所為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条3項,2項,2条3項1号,3号
判示第2の3の各所為 包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条2項後段,2条3項1号,3号
判示第3の1の所為のうち
強制性交等の点 刑法177条後段
児童買春の点 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
科刑上一罪の処理
判示第3の1の罪 刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,1罪として重い強制性交等罪の刑で処断)
刑種の選択
判示第1,第2及び第3の2の各罪
いずれも懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第3の1の罪の刑に法定の加重)
酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号(犯情を考慮)
未決勾留日数の算入 刑法21条
(量刑の理由)
1 本件各犯行は,いずれも被告人がSNS等を介して18歳未満の少女と知合い,性交等をし,その様子を撮影するなどした常習的な犯行である。被害児童らの未熟さ故の性的好奇心に付け込み,あたかも性的快感を得るための道具のように扱ったその犯行態様は,極めて卑劣である。特に,判示第3の犯行は,被害児童が12歳であることを認識した上で,対償を提示するなどして性交等を誘引しており,犯情は悪い。被害児童らが被った精神的苦痛は大きく,その健全な成長への悪影響が懸念される。また,本件各犯行により製造された児童ポルノの映像データ等の流出を危惧する,被害児童らやその保護者の心情も十分に理解できる。
 自らも父親として幼い娘を養育すべき立場にありながら,その性欲のままに被害児童らに対する本件各犯行に及んだ被告人の意思決定は,強い非難に値する。
 なお,弁護人は,被告人がdの指示に従って犯行に及んだ従属的な立場にあり,被告人の量刑に当たってはdが処罰されていないことを考慮すべきである旨主張する。しかしながら,dが被告人に対してAやBを紹介したこと等が判示第1,第2の各犯行の端緒になったとは認められるものの,本件各犯行は被告人が自ら進んで実行行為の全部を敢行したものであるから,被告人が従属的な立場にあったとはいえない。したがって,dの存在が,被告人の刑事責任を大きく減少させるものではない。
 以上の犯情によれば,被告人の刑事責任は重く,相当期間の実刑は免れないというべきである。
2 もっとも,一般情状をみると,被告人は,Bとの間では示談金50万円を支払って,Cとの間では示談金200万円を支払って,それぞれ示談が成立しているほか,Aに対する被害弁償金として50万円を準備している。また,被告人は本件各犯行を認めて反省の態度を示し,保釈中に専門の医療機関を受診して,通院するなどして自らの問題性に向き合おうとしている。さらに,被告人の妻が社会復帰後の監督を誓約していること,前科・前歴がないことなど,被告人の更生の観点から酌むべき事情が認められる。
 そこで,被告人については,酌量減軽をした上で,主文のとおりの刑に処するのが相当であると判断した。
(求刑 懲役7年)
令和2年4月17日
前橋地方裁判所刑事第1部
裁判長裁判官 水上周 裁判官 宮崎徹
裁判官高橋貞幹は,異動のため,署名押印できない。
裁判長裁判官 水上周