判決時点では、児童ポルノの所有は適法なので、「何人の所有も許さないものであるから」というのは誤りです。
東京高裁は、児童ポルノ製造罪の記録媒体は、犯罪生成物として刑法19条1項3号で没収する(東京高裁H23)としています。
児童ポルノ弁護人はこういう点もチェックしています。
強制わいせつ,強姦,強姦致傷,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
東京地方裁判所判決平成23年9月6日
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
被告人を懲役18年に処する。
未決勾留日数中360日をその刑に算入する。
東京地方検察庁で保管中のSDカード4枚(平成23年東地領第179号符号1から4まで)を没収する。理 由
(罪となるべき事実)
被告人は
第1 〔所在地省略〕被告人方において開講していた英会話サークルの生徒であるA〔生年月日省略〕が13歳未満の女子であることを知りながら,平成21年9月下旬ころ,前記被告人方において,A(当時9歳)と性交し,その際,同人に全治約1週間を要する処女膜損傷の傷害を負わせ[平成22年12月15日付け追起訴状記載公訴事実]
第2 Aが13歳未満の女子であることを知りながら,別表1記載のとおり,平成22年1月28日ころから同年3月31日ころまでの間,前後5回にわたり,いずれも前記被告人方において,A(いずれも当時10歳)と性交し[訴因変更後の平成22年8月17日付け追起訴状記載公訴事実及び訴因変更後の同年11月8日付け追起訴状記載公訴事実]
第3 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,別表2記載のとおり,平成22年1月28日ころから同年3月31日ころまでの間,前後5回にわたり,前記被告人方において,A(当時10歳)に,被告人と性交する姿態,被告人がAの陰部を触る姿態及び同人の陰部等を露出させる姿態をとらせ,その場面をビデオカメラで撮影し,その動画データ合計8点を同ビデオカメラに装着したSDカード合計4枚に記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交に係る児童の姿態並びに他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し[平成22年12月20日付け追起訴状記載公訴事実]
第4 前記英会話サークルの生徒であるB〔生年月日省略〕が13歳未満であることを知りながら,同人にわいせつな行為をしようと考え,平成21年11月1日ころ,前記被告人方において,B(当時11歳)に対し,服を脱いでソファーに横になるように言い,同人を全裸で同所のソファーに仰向けにさせた上,その陰部を右手指で押し,その両胸を両手でなで回し,さらに股を開かせてその陰部などをポラロイドカメラで撮影し[平成22年4月30日付け起訴状記載公訴事実]
たものである。(法令の適用)
被告人の判示第1の所為は,刑法181条2項,177条後段に,判示第2の各所為は,いずれも同法177条後段に,判示第3の所為は,包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,1項,2条3項1号,2号,3号に,判示第4の所為は,刑法176条後段に,それぞれ該当する。各所定刑中,判示第1の罪については有期懲役刑を,判示第3の罪については懲役刑を,それぞれ選択する。被告人には前記の前科があるので,判示各罪の刑について,いずれも刑法56条1項,57条により,それぞれ再犯の加重をする(ただし,判示第1及び第2の各罪については,いずれも同法14条2項の制限内で加重する。)。以上は,同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により,刑の最も重い判示第1の罪の刑に同法14条2項の制限内で法定の加重をする。その刑期の範囲内で,被告人を懲役18年に処する。同法21条を適用して,未決勾留日数中360日をその刑に算入する。東京地方検察庁で保管中のSDカード4枚(平成23年東地領第179号符号1から4まで)は,いずれも判示第3の児童ポルノ製造の犯罪行為を組成した物で,何人の所有も許さないものであるから,同法19条1項1号,2項本文を適用して,これらを没収する。訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して,被告人に負担させない。