児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

実子(10)に対する強制わいせつ罪(176条後段)+提供目的製造罪で懲役3年執行猶予5年保護観察(大阪地裁H30.10.29)

 13未満だから、監護者わいせつ罪にはならない
 第1第2とは観念的競合が正解。

大阪地方裁判所平成30年10月29日
主文
被告人を懲役3年に処する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 実子である別紙記載の被害者(当時10歳)が13歳未満であることを知りながら、同人のわいせつ画像を作成して販売するため、同人に対してわいせつな行為をしようと考え、平成30年5月28日午後0時39分頃、別紙記載の被告人方において、被害者を全裸にさせ、性器を手で開かせるなどしてわいせつな行為をした
第2 被害者が18歳に満たない児童であることを知りながら、不特定又は多数の者に提供する目的で、前記日時頃、前記場所において、被害者に全裸で性器等を露出させる姿態をとらせ、これを携帯電話機のカメラ機能を使用して撮影してその画像データ1点を同携帯電話機内の電磁的記録媒体に保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した
第3 不特定又は多数の者に提供する目的で、同年7月7日午前4時30分頃、前記被告人方において、被害者の性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部が露出された姿態が撮影された写真9枚及び被害者の性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部が露出された姿態が撮影された画像データ39点が記録・保存されたSDカード1枚を所持し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを所持した
ものである。
(法令の適用)
 罰条
  判示第1の行為 刑法176条後段
  判示第2、第3の行為 それぞれ児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条7項前段、6項前段(2条3項3号)
 刑種の選択
  判示第2、第3の罪 いずれも懲役刑
 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 保護観察 刑法25条の2第1項前段
 訴訟費用の処理 刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
 本件は、被告人が当時10歳の実の娘である被害者にわいせつな姿態をとらせた強制わいせつ、その姿態を撮影して保存した児童ポルノの製造、同様の被害者の姿態が撮影された写真及び画像が記録・保存されたSDカードを所持していた児童ポルノの所持の事案である。
 被害者は当時10歳であり、本来は信頼し保護を与えてもらうべき親から、判示のとおり、扇情的な姿態を殊更にとらさせられて、児童ポルノを製造されたものであって、性的な侵害の程度は大きく、所持にかかる児童ポルノの枚数も多い。見知らぬ男性へ販売するために撮影されるなどした被害者の精神的苦痛は甚大である。
 被告人は、女児のわいせつ画像が高値で取引されることを知り、販売して利益を得る目的で、判示各犯行に及んでおり、娘の尊厳を金銭に換える言語道断で非道なものである上、被告人は、被害者の着衣の売却にあたり取引相手が求めるもの以外のものを自ら提示したり、被害者を取引相手に現実に会わせると思しきやり取りがあったりするなど、その目的はかなり意欲的なものとうかがわれる。生活保護受給中の被告人は、動機につき生活に困窮したためなどと述べるが、酌量の余地は皆無である。被告人の刑事責任には重いところがあり、刑事施設収容も視野に入れて検討すべきものと考えられる。
 その上で、被告人が本件各犯行を認めて、反省している旨述べていること、罰金前科1犯を除き前科がないこと、被害者が児童相談所に一時保護され、被告人に対する親権停止の申立てがなされるなど、再犯防止及び被害者保護の措置がなされつつあること、本件での約3か月間の身柄拘束により被告人が一定の反省の機会を得ていること、保護観察を付することで長期間にわたり、被告人と被害者との関係について適切な監督をする余地が大きくなることなどを考慮すると、被告人については、今回に限り、主文のとおり、最上限での保護観察付き執行猶予の懲役刑に処して社会内で更生する機会を与えるのが相当と判断した。
(求刑-懲役3年)
(出席した検察官榊原啓祐、国選弁護人國祐伊出弥)
第2刑事部
 (裁判官 荒井智也)
別紙(省略)