児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童2名を同時に撮影した場合の5項製造罪は包括一罪(大阪高裁H24.6.1)

 原判決は単純一罪。
 観念的競合を主張したら、包括一罪になるだって判示されました
「被害児童の権利擁護をも目的とする」というのなら、1人1罪立てて、罪数処理で解決する方が、児童の保護という立法趣旨に合うはずです。とことん弁護人に賛成しない裁判所のようです。奥村のことが嫌いだったらそう書いて下さい。

阪高裁H24.6.1
(3)原判示第2,第6の児童ポルノ製造罪の罪数(控訴理由第7)について
原判示第2,第6の各事実は,被告人が,それぞれ,同一の機会に,被害児童各2名の姿態を同時に撮影するなどして一体となる動画データを撮影して記録媒体であるSDカードに記憶・蔵置し,児童ポルノを製造したものであるところ,前記のとおり児童ポルノ等の製造罪等の処罰規定が当該被害児童の権利擁護をも目的とすることにかんがみれば,原判示第2,第6の各事実についても,各被害児童ごとに児童ポルノ製造罪が成立し,これらはそれぞれ包括一罪となると解すべきであり,その旨を明示していないー審判決には法令適用に誤りがあるといい得るが,この点は,一審判決の処断刑に影響を及ぼすものではないから,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りとはいえない。
弁護人の主張は採用できない。

原判決
第2
平成24年6月6日,大阪市北区所在のホテル号室において,被害者(当時16歳)及び被害者(当時16歳)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,不特定又は多数の者にその電磁的記録を提供する目的で,上記児童両名の乳房,臀部等を露出した,衣服の一部を着けない姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを動画撮影機能付きデジタルカメラで撮影し,電磁的記録に係る記録媒体であるSDカードに記録し,もって児童ポルノを製造し,

第6
平成24年6月16日頃,東京都所在のホテル号室において,被害者及び被害者(いずれも当時17歳)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,不特定又は多数の者にその電磁的記録を提供する目的で,上記児童両名の乳房,臀部等を露出した,衣服の一部を着けない姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを動画撮影機能付きデジタルカメラで撮影し,電磁的記録に係る記録媒体であるSDカードに記録し,もって児童ポルノを製造した。

控訴理由
 法令適用の誤り〜判示第2・第6の5項製造罪は、単純一罪ではなく、観念的競合である。
 原判決判示第2・第6の5項製造罪につき、原判決は単純一罪としたようである。
 しかし、被害児童が2名いるのであれば、製造罪は2罪成立し、製造行為(撮影行為)が1個であるから、観念的競合と処理するのが正解である。
 原判決にはこの点で法令適用の誤りがあるので原判決は破棄を免れない。