児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

京都府児童ポルノの規制に関する条例(仮称)(案)について

 質問はありますけどね・・・
京都府はH11以降、法14条2項の調査研究をしているはずなので、その成果を公表してください。
京都府はH11以降、法15条の心身に有害な影響を受けた児童の保護を講じているはずなので 、その成果を公表してください。
京都府はH11以降、法16条の心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備に努めてきたはずなので、その成果を公表してください。
取得罪の保護法益は何ですか?
13歳未満の児童に裸の写メを送ってもらった場合は、条例の取得罪のみを覚悟すればいいですか?
児童ポルノ(法第2条第3項第1号及び第2号の児童ポルノのうち13歳未満の児童が被写体であるものに限ります。)を廃棄したいので、タイトル等が判明しているものを公表してください。
予め廃棄したいのですが、ゴミ収集車には出しにくいので、鴨川に流せと言うことですか? 廃棄方法も用意してもらえませんか
 予め廃棄したとしても立入検査が行われると思いますが、立入検査の対象となる児童ポルノを廃棄したことをどのように証明すればいいですか?条例施行前に府警で証明してもらえませんか。
 小児科学・産婦人科学等の医学書も児童ポルノとされ「正当な理由」がなければ、取得できないことになりますか?ある人が個人的趣味のために図書館で複写した又は書店で購入した時点で「取得罪」になりますが、図書館は法7条5項の提供目的所持罪・製造罪や同条4項の提供罪に問われますか。書店は法7条5項の提供目的所持罪や同条4項の提供罪に問われますか
 児童ポルノを持って自首した場合、罪を減軽免除してもらえませんか?奈良県だと子どもを犯罪の被害から守る条例15条2項で必要的減免を受けられるので、奈良県で自首しようと思います。
 

http://www.pref.kyoto.jp/news/press/2011/7/1309829431383.html
http://www.pref.kyoto.jp/news/seisho/1309830035105.pdf
京都府児童ポルノの規制に関する条例(仮称)(案)について
1 条例制定の理念・目的
児童ポルノは、児童の性的虐待の記録であり、児童に対する人権侵害です。いったん児童ポルノが流通すれば、その回収は事実上不可能であり、被害児童等の苦しみは、親しい者を巻き込み将来にわたって続くことになります。
現在、児童ポルノの提供を目的とする所持等が法律で禁止されていますが、京都府を含め全国で児童ポルノ事犯が増加傾向にあり、極めて憂慮すべき状況にあります。
また、京都は、日本を代表する国際的な文化都市として、外国人観光客や修学旅行生をはじめ多くの人々が訪れる場所であり、京都の思いやりを基本としたこころ豊かな文化を守り、何よりも日本の歴史と文化の中心地としての責任を果たすためにも、率先して「児童ポルノを絶対に許さない」という決意を示していく必要があります。
こうした状況を踏まえ、府においては、「児童ポルノによる児童の権利の侵害を決して許さない京都づくり」を理念・目的とした「児童ポルノの規制に関する条例(仮称)」を制定することとしました。
条例においては、この理念・目的を踏まえ、府、府民及び関係事業者の責務、児童ポルノにより被害を受けた児童に対する支援並びに児童ポルノの被害から児童を守るための規制を定めることとしております。

2 「児童」及び「児童ポルノ」の定義
この条例においては、「児童」及び「児童ポルノ」の定義は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下「法」といいます。)と同様とします。
○児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(抜粋)
(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 (略)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3条例の適用に当たり留意すべき事項
この条例の適用に当たっては、府民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない旨を規定することとします。
4 条例に盛り込むべき内容
1 関係者の責務
(1)府の責務
府は、児童ポルノの根絶に向けた気運を高め、その流通及び拡散を防止するための広報その他の啓発活動に努めるとともに、児童ポルノによる児童の被害を防止するために必要な教育の推進に努めることとします。
(2)府民の責務
? 府民は、児童ポルノが根絶され、児童ポルノによる被害を生まない社会の実現に向け協力するよう努めることとします。
? インターネット上で児童ポルノを発見したときは、その旨を速やかに通報するよう努めるものとします。
(3)関係事業者の責務
インターネット関係事業者は、自ら管理するウェブサイトにおいて児童ポルノを発見したときは自主的に削除するなど、府民児童ポルノの閲覧をする機会をできる限り少なくするための措置を講じるとともに、児童ポルノの根絶に向けた府の施策への協力に努めることとします。
2 被害児童に対する支援府は、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、その受けた影響から身体的・心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長し、生活することができるよう、必要な支援に努めることとします。
児童ポルノの被害から児童を守るための規制
(1)児童ポルノの所持等の禁止
何人も、正当な理由なく、児童ポルノを所持したり、児童ポルノに係る情報を記録した電磁的記録を保管してはならないこととします。
(2)児童ポルノの廃棄命令等
? 知事は、児童ポルノ(法第2条第3項第1号及び第2号の児童ポルノ並びに同項第3号の児童ポルノのうち衣服の全部を着けないもの又は性器若しくは肛門を写したものに限ります。)を所持したり、当該児童ポルノに係る情報を記録した電磁的記録を保管する者に対して、当該児童ポルノの廃棄又は当該電磁的記録の消去を命じることができることとします。
? 知事は、?の児童ポルノ又は電磁的記録を所持・保管していると認められる者に対し、立入調査を行うことや資料の提出を求めることができることとします。
(3)罰 則
? 対償を供与し、又はその供与の約束をすることにより児童ポルノ(法第2条第3項第1号及び第2号の児童ポルノのうち13歳未満の児童が被写体であるものに限ります。)の提供を受けた者に罰則を科すこととします。当該児童ポルノの情報を記録した電磁的記録の提供を受けた者についても同様に罰則を科すこととします。
? (2)の?の廃棄命令等に違反した者に対して、罰則を科することとします。
(4)努力義務
府民は、児童ポルノ以外の物であっても、児童に対するわいせつ行為が写っている物の製造、提供、所持・保管等をしないように努めることとします。

児童ポルノの規制に関する条例(仮称)(案)に係るQA
Q1 条例における児童ポルノの定義は、児童ポルノ法の定義と違うのですか?
A1 児童ポルノの規制に関する条例(仮称)(以下「条例」といいます。)の「児童ポルノ」は、児童売春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ規制法」といいます。)第2条に定義された「児童ポルノ」と同様としております。
ただし、罰則を科す場合は、全ての「児童ポルノ」ではなく、「3 児童ポルノの被害から児童を守るための規制」の「(2)児童ポルノの廃棄命令等」及び「(3)罰則」に記載したとおり、限定することとしております。
また、この「児童ポルノ」に当たらないものであっても、児童に対する性的虐待の防止という観点から、例えば、衣服を着ている児童の顔や体に精液をかける行為が写った画像など、児童に対するわいせつ行為が写っている画像等については、罰則や禁止規定を設けることはいたしませんが、児童の権利を侵害するものとして所持・保管等しないよう努力義務を課すこととしております。
Q2 漫画やアニメは規制の対象にはしないのですか?
A2 この条例は、児童に対する性的虐待等が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、児童の権利を擁護することを目的に、「児童ポルノによる児童の権利の侵害を決して許さない京都づくり」を目指し制定しようとするものです。
そのため、条例に規定する「児童ポルノ」は、児童ポルノ規制法第2条に定義された「児童ポルノ」と同義としており、実在の児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものとしております。
したがいまして、実在しない児童の姿態を描いた漫画やアニメ等の二次元の表現物は児童ポルノに当たらず、条例の規制は及ばない(規制の対象外となる)
ものです。
Q3 児童ポルノの所持等の禁止の対象外とされている「正当な理由」とは、どのような場合ですか?
A3 児童ポルノに該当するものを、学術研究、医療行為、犯罪捜査、弁護活動等の正当な業務のために取得・所持する場合や、幼児期の記録として本人や家族が所持する場合等、取得・所持をすることに正当な理由がある場合をいいます。
Q4 罰則が適用される児童ポルノ(電磁的記録を含む。)について、その対象児童の年齢を「13歳未満」に限定したのはなぜですか?
A4 13歳未満の児童(幼児、小学生)に限定したのは、判断能力が未熟であること、また、社会通念上も保護者の全面的な保護監督下にあることから、性的対象として扱われることを防止する必要性が高いからです。
また、13歳未満の児童との性交は、刑法上、合意があっても「強姦」とみなされるなど、既に法律による規制対象となっていることから、違法性が高い13歳未満の児童が写っている児童ポルノについては、条例において直接罰則を科すこととするものです。Q5 過去に入手した児童ポルノについても規制の対象となるのですか?
A5 規制の対象となる、13歳未満の児童が写っている児童ポルノを「取得」した場合は、条例の施行前に行われた行為をこの条例で罰することはできないため、条例の施行日以後に「取得」した場合のみが条例の規制の対象となります。
また、18歳未満の児童が写っている児童ポルノを「所持」している場合は、条例施行日から所持が禁止されることとなり、以前に取得したものであっても条例の規制対象となります。
(したがって、現在児童ポルノを持っている方は、条例が施行される日までに、自ら「廃棄」する必要があります。)

 立入検査で持ってるということが確認されると、取得罪で検挙されることもでてくるだろうし、強制わいせつ罪・強姦罪・児童買春罪・青少年条例違反に発展することもあって、実は、警察は端緒として期待している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110713-00000005-kyt-l26
同法では児童ポルノを提供する目的での所持を禁じているが、条例案では持っているだけの単純所持も禁止としたのが特徴だ。
 条例施行後は以前に手に入れた写真や画像も規制対象になり、持っている人は自主的に捨てる必要がある。
 性行為や性器を触るなど過激な内容のものを所持する人に対し、知事が廃棄命令を出せると規定し、従わない場合に罰則を科す。いきなり罰則を適用せず、廃棄命令という「ワンクッション」を置くことで、本人が知らない間に画像などを送り付けられたりする「冤罪(えんざい)」を予防する狙いがある。
 廃棄命令を出すかどうかを判断するため、知事(府)が対象者に対する立ち入り調査や資料提出要請ができるとしている。しかし、いずれも強制力がなく、実効性をどう担保していくかも課題だ

追記
 13歳未満の児童が写っている児童ポルノの取得罪については、年齢知情の問題があって、一様に「13歳未満だとは知らなかった」という弁解をすることが予想されます。
 そういう場合、京都府青少年条例はこういうのですが、取得罪について「当該児童の年齢を知らないことを理由として、処罰を免れることができない。ただし、当該児童の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。」という規定を入れてはどうでしょうかね?法9条は「児童を使用する者は」とされていますが、青少年条例でもそういう限定はないわけだし。

京都府青少年健全育成条例の解説
http://www.pref.kyoto.jp/seisho/resources/1300954947443.pdf
31条6項
第13条の2第4項、第13条の3第2項、第14条の2第2項、第18条の2第2項、第21条から第24条まで(第23条第2項の規定を除く。)又は第24条の4の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前各項(第3項第1号、第2号及び第4号、第4項第2号、第5号、第6号及び第10号並びに前項を除く。)の処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。

京都府青少年健全育成条例の解説(平成18年5月)
8 第6項は、第13条の2第4項、第13条の3第2夜、第14条の2第2項、第18条の2第2攻、第21条から第24条まで( 第23条第2項の規定を除く。) 、第24条の4の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、処罰を免れえないこと及び当該青少年の年齢を知らないことに過失がないことの挙証費任が当該行為者側にあることを規定したものである。
同項の「当該青少年の年齢を知らないことに過失がない」 とは、青少年に年齢、生年月日等を尋ね、又は身分証明書の掲示を求める等、客観的に妥当な確認措置をとったにもかかわらず、青少年自身が年齢を偽り、又は虚偽の証明書を提出し、しかも当該青少年が客観的に18歳以上の容と誤認されるような状態である場合等、行為者の側の過失がないと認められる場合をいう。