児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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三重県青少年健全育成条例に関する解説の誤植

 青少年条例に関する「昭和39年4月22日最高裁判決」はありません。 
 昭和39年4月22日東京高裁判決(埼玉県青少年愛護条例違反)の誤植だと思います。

三重県青少年健全育成条例に関する解説
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し、性的に差恥嫌悪の情を起こさせ善良な性的道義観念に反する行為をいう。( 昭和39年4月22日最高裁判決)

京都府青少年健全育成条例の解説(平成18年5月)
昭和39年4月22日東京高裁判決(埼玉県青少年愛護条例違反)
「わいせつ行為」とは、いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって鍵全な常識のある一般社会人に対し、性的に差恥嫌悪の惰をおこさせる行為をいうものと解する。

三重県はS39から今でも、最判があると思ってるんだ。すごいなあ。



追記2011/02/26
「昭和39年4月22日最高裁判決」というのは存在しません。
 性行為については、「いん行(青少年を威迫し、欺き、文は困惑させる等不当な手段を用いて行う性交文は性交類似行為及び青少年を単に自己の性欲を満足させるための対象として行う性交文は性交類似行為をいう。次条において同じ。)」と限定しつつ、わいせつ行為については「わいせつな行為(いたずらに性欲を興奮させ、若しくは刺激し、又は性的な言動により性的差恥心を害し、若しくは嫌悪の情を催させる行為をいう。次条において同じ。)をしてはならない。」と限定してないのは、最判をよく読んでないとしか言えません。
 明確にしようとして、条例の文言として間違ってしまったのですね。

三重県青少年健全育成条例に関する解説
第23条(いん行又はわいせつな行為等の禁止)
何人も、青少年に対し、いん行(青少年を威迫し、欺き、文は困惑させる等不当な手段を用いて行う性交文は性交類似行為及び青少年を単に自己の性欲を満足させるための対象として行う性交文は性交類似行為をいう。次条において同じ。)又はわいせつな行為(いたずらに性欲を興奮させ、若しくは刺激し、又は性的な言動により性的差恥心を害し、若しくは嫌悪の情を催させる行為をいう。次条において同じ。)をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又はこれを見せてはならない。

〔要旨〕
本条は、青少年に対し、いん行文はわいせつな行為をしたり、これらの行為を故意に教えたり、見せたりするなどして直接的に青少年の福祉を阻害する背徳行為を禁止し、青少年の健全育成を図ろうとするものである。
(解説〕
1 「してはならない」 とは、青少年を相手としていん行文はわいせつな行為を行うことをいっさい禁止しているのであり、相手方の同意、承諾の有無及び対価の授受の有無は問わない。
2 「教え」とは、いん行又はわいせつな行為の相手方とはならないが、当該行為の方法等を教示することであり、単なる猥談のような一般的な漠然としたものではなく具体的、直接的に教えることをいう。
3 「見せ」とは、自己文は他人のみだらな性行為又はわいせつな行為を直接青少年に見せることをいい、映画、図書、テレビ等の媒体を通して見せることは本条第2項には該当しない。
4 本条の規定は行為者自らが青少年を相手方としていん行又はわいせつな行為をすることを一切禁止した規定であり、相手方の同意、承諾の有無及び対価の授受の有無は問わない。
5.児童福祉法第34条第6号で禁止する「児童にいん行させる行為」は、児童にいん行を強要する行為のみならず、児童に対し直接であると間接であると物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を及ぼして児童がいん行することに原因を与えることはこれを助長する行為をも包含するものと解されることから、適用にあたっては個々の内容により判断されることとなる。
6 売春防止法では、売春の周旋をした者や売春の場所を提供した者等は処罰されるが、売春の相手(客)となった者は何ら処罰されない。しかし、本条の規定においては、いん行又はわいせつな行為を青少年を相手方とする場合は処罰される。
7 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(通称児童ポルノ法)第4条から第6条で禁止する「児童買春「児童買春斡旋」「児童買春勧誘」は、18歳未満の者に対償を支払い、又はその約束をして、不特定の相手と性交等をすること及びその斡旋、勧誘をすることの禁止であり、本条の規定においては、対償の有無に関わらず禁止したものである。

8 刑法の強姦罪や強制わいせつ罪は、原則として親告罪(告訴を要する)であるが、本条第1項違反の罪は親告罪としていない。
9 本条は、刑法をはじめ関係法令だけでは規制できない部分を、青少年の心身が未熟であることから、反倫理的な行動、経験による衝撃や影響を受けることが多く、青少年の情操を害するおそれがあるため、そのような行為から青少年を保護し、その健全な育成を図ることを目的としたものである。
〈参考〉
「いん行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺悶し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交文は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。
(昭和60年10月23日最高裁判決)
「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し、性的に差恥嫌悪の情を起こさせ善良な性的道義観念に反する行為をいう。( 昭和39年4月22日最高裁判決)