児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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滋賀県青少年の健全育成に関する条例と性犯罪

 刑法とは競合するそうです。

滋賀県青少年の健全育成に関する条例の手引きh21
(いん行行為等の禁止)
第24条
1何人も、青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対して前項の行為を教え、または見せてはならない。
【要旨】
本条は、青少年に対して、みだらな性行為もしくはわいせつな行為をし、またはそれらの行為を教え、もしくは見せたりするなどの背徳行為を禁止したものである。
【解説】
1. 「いん行」とは、結婚を前提としない専ら情欲を満たすためにのみ行うみだらな性行為であり一般社会人からみて不健全とされる性交を言い、性交類似行為も含まれると解する。
性交類似行為とは、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為を言い、例えば、異性問の性交とその態様を同じくする状況下における、あるいは性交を模して行われる手淫・口淫行為・同性愛行為等も性交類似行為に含まれ得る。児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律における性交類似行為の解釈と同じである。
2. 「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、または興奮させたり、その露骨な表現によって一般社会人として、差恥嫌悪の情をおこさせ、善良な性的道義、観念に反する行為をいう。
例えば、実質的にみて性交と同視し得ない、陰部に手を触れたり、単なる性欲の目的を達するためにのみ行う接吻、乳房を撫でること等がこれにあたる。
3. 「しではならない」とは、青少年を相手方とするみだらな性行為およびわいせつな行為を禁止しているもので、相手方となった青少年の承諾の有無を問わない。また、青少年から勧誘された
場合も同じである。
4. 「教え」とは、いん行またはわいせつな行為の方法等を教示することであり、単なるわい談等の一般的な漠然としたものではなく具体的に教えることである。
5. 「見せ」とは、自己または他人のいん行またはわいせつな行為を直接青少年に見せることをいう。文書、図画、映像、その他のものによって見せることはこれにあたらない。
6 .本条は、刑法をはじめ関係法令だけでは規制できない部分を青少年の保護、健全な育成という面から取り上げて規定したものである。
(1) 13歳未満の婦女に対する強制わいせつ、強姦は刑法と重複することになるが、刑法は親告罪であるのに対し、本条では、告訴の有無は問わない。
(2) 児童福祉法で禁止する「児童に淫行をさせる行為」は、児童をして他人と淫行させることであり、本条の規定は、行為者自らが青少年を相手方としてみだらな性行為をすることを禁止しているものである。
(3) 売春防止法は、売春すること、または売春の相手方となることを禁止しているが処罰規定を設けていない訓示規定である。
(4)児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律は、18歳未満の者に対し、対償を供与し、または供与を約束して、性交等を行うことを禁止処罰しているが、対償を伴わない「いん行又はわいせつな行為」の処罰規定はない。