法律との抵触問題については、現状でも目的所持罪を重く処罰している国法が、条例で単純所持を罰することを禁止する趣旨だとは思えないと理解しています。
単純所持罪の弊害についてどう解決するかが問題です。
「単純所持」が報道されると、「持っている児童ポルノをどう処分べきか」という質問が相次ぐわけですが、仙台にも児童ポルノに詳しい弁護士がいらっしゃるようなので、そちらにお尋ね下さい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101224-00000001-khk-l04
児童ポルノ 宮城県「単純所持」禁止へ 来年度条例化目指す
河北新報 12月24日(金)6時12分配信
子どもが被写体のわいせつな画像や映像など児童ポルノの規制で、宮城県は個人が趣味で持つ「単純所持」の禁止を含めた条例制定の検討に入った。違反した場合の罰則も設け、2011年度内の成立を目指す。子どもに対し、恐怖心を与える行為(威迫行為)の禁止も盛り込む方針。
児童買春・ポルノ禁止法は、販売や提供目的の所持を禁じているが、単純所持は対象外となっている。宮城県が目指す条例は独自の上乗せ規制で、児童ポルノを県内で所持、保管すると原則的に処罰される。
単純所持を規制する場合、個人的収集をどう摘発するかや迷惑メールで送り付けられた場合も対象になるかなど、運用面で解決すべき課題が多い。関係者の間には、実効性を疑問視する見方もある。
全国では奈良県が05年、「子どもを犯罪の被害から守る条例」を制定し、初めて単純所持を禁止した。宮城県は奈良県の条例を参考に、原案の策定を進めている。
児童の定義は法律では「18歳未満」だが、奈良県は「13歳未満」としている。宮城県は「児童ポルノ被害者は13歳以上が多い」と分析。法に沿った定義にするかどうか慎重に検討している。
ポルノの対象は法律に準じ「児童を相手方または児童による性交、性交類似行為」などの写真や画像、映像を収めた電子記録媒体と定める方針。罰則は、奈良県と同じく30万円以下の罰金とする案が有力だ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101225-00000012-khk-l04
解釈や捜査権、拡大懸念 児童ポルノ単純所持禁止検討
河北新報 12月25日(土)10時30分配信
子どもが被写体のわいせつな画像や映像など児童ポルノの規制に向け、宮城県が、趣味目的で持つ「単純所持」を禁止する条例制定の検討に入ったことを受け、法律家らは24日、捜査権の拡大を懸念する声を上げた。
元東北弁護士会連合会会長の織田信夫弁護士(仙台弁護士会)は「児童ポルノの製造や譲渡とは違い、所持はあくまで道義的な問題。個人の内面に権力が介入し、『犯罪』ととらえて処罰対象とするのは行き過ぎだ」と指摘する。
「単純所持禁止」の副作用として懸念されるのは、条例の拡大解釈や捜査権の拡大だ。
児童買春・ポルノ禁止法は、児童ポルノの定義を「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態で、性欲を興奮させ刺激するもの」などと規定。親が持つ子どもの水着写真も、規制対象となる可能性をはらむ。
織田弁護士は「ポルノ画像を持っているらしいとの通報があれば、警察は家宅捜索できる。摘発を口実にした別件捜査や別件逮捕も起きやすくなるだろう」と捜査権の乱用を危ぶんだ。
単純所持の禁止にとどまらず、規制の拡大強化を予想する声もある。
東北大大学院の吉原直樹教授(社会学)は「世の中に広がる不安感を背景に、性犯罪予防を名目にした規制はどこまでも拡大していく」と話し、メディアや漫画などの表現規制への波及に懸念を示した。 .