児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

単純所持罪施行前からの所持(購入)行為への捜査について

 地方議員が施行前購入について捜査を受けたと報道されています。

https://mainichi.jp/articles/20230106/k00/00m/040/202000c
氏によると、DVDは市議に初当選する前年、09年にインターネットで購入した。氏は「20枚組みで児童ポルノが含まれているとは思わなかった。18歳未満との認識はなかった」と強調。摘発された販売元の購入リストに氏が掲載されていたとみられ、19年8月に舞鶴署の事情聴取を受けて「初めて児童ポルノと気付いた」と釈明した。その上で「所持は事実で、起訴内容を認め、罰金を支払った」と説明した。


 弁護士ドットコムには「捜査を受けることがない」という回答が出ていますが、実際にはそうではありません

 単純所持罪(7条1項)は2015.7.15から施行されています。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
附 則 (平成二六年六月二五日法律第七九号) 抄
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
2 この法律による改正後の第七条第一項の規定は、この法律の施行の日から一年間は、適用しない。

 2015.7.15より前の購入者については、2015.7.14までに所持を止めていれば、単純所持罪は成立しません。
 しかし、2015.7.15より前の購入者については、捜査を受けないかというと、所持行為というのは、ずーっと持ち続けるものであることから、捜索差押令状は出ることがあって、かなり前の購入でも捜索を受けることがあります。児童ポルノを現認されると、単純所持罪で検挙されます。現認されなければ、処罰されることはありません。
 実際、昔の購入者に捜索を掛けると、昔の児童ポルノ、最近の児童ポルノが押収されることがあるので、区別なく行われているようです。


 奈良県条例の所持罪の捜査でも、条例施行前の購入者が条例施行後に捜索を受けて検挙されています。

奈良県警 「子ども条例」初適用 児童ポルノ所持 23歳男を書類送検
2005.11.10 産経新聞
 奈良県警少年課と奈良西署は九日までに、同県が今年七月に全国に先駆けて施行した「子どもを犯罪の被害から守る条例」を初めて適用し、児童ポルノを所持していたとして、同県生駒市の男(二三)を来週中にも同条例違反容疑で書類送検する方針を固めた。

 調べによると、この男は自宅の一室に、同条例で「子ども」と定めている十三歳未満の少女が撮影されたポルノ画像を記録したDVD一枚を所持していた疑い。

 県警は今月初めにこの男の自宅を捜索して、成人ポルノなど約百三十点を押収、内容を分析したところ児童ポルノがみつかった。調べに対して、「子供に興味があった」などと供述しているという。

 この男は、今年三月にDVDやビデオを販売する目的で少女にわいせつな行為をさせていたとして逮捕、起訴されたグループからポルノを購入していたとして、県警の調べを受けていた。