児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

数回の児童ポルノ販売は包括一罪(福岡高裁那覇支部H17.3.1)

 弁護人控訴が棄却されたので愚痴らせていただきます。

 A子の被害とB子の被害とを包括評価するとか、昨日の被害と今日の被害とを包括評価するとか、勇気がある判断です。
 大阪高裁白井判決と東京高裁の原田判決が那覇で否定されました。被害児童の保護はまた一歩後退です。法改正で児童の権利性が鮮明になったと思っていたのですが、高裁がそういうのだからしょうがない。
 児童ポルノ犯が裁かれるなら、処断刑期でお得な、大阪高裁・福岡高裁管内をお薦めします。東京高裁管内は避けよう。併合罪加重したくらいの犯情悪質な人は特に。

 旧法の「販売」と対比する形で改正法の「提供」の定義を判示しています。
児童ポルノ購入行為の違法性も認めています。
 いろいろ判示事項がありますので、関心のある向きは、確定したころに那覇地検で閲覧してください。

 控訴趣意書中、自説の児童ポルノ個人的法益一元説で書いた部分と大阪高裁・名古屋高裁金沢支部などの二元説を借りて書いた部分とが矛盾するって判示されましたよ。奥村説だけじゃ「弁護人独自の見解」で一蹴されてしまうと思って、二段の構えで判例にも配慮して判例(二元説)引用した理論展開もしたつもりでしたが。だいたい、併合罪とか一罪とか包括一罪とかフラフラしてて一貫しないのは裁判所じゃないのか?