児童を使用する者の年齢年齢義務

 使用者は児童淫行罪、客は児童買春罪を問われます。
 使用者の年齢確認義務は厳しく、「自称する年令を軽信せず、児童の戸籍謄本または抄本などによつて生年月日を調査し、あるいは親元の照会をして年令を確かめるとか、一般に確実性のある調査確認の方法を一応尽すことが必要と考えられる。」とか言われています。

児童福祉法
第三十四条 
1何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫いん行をさせる行為
第六十条 
① 第三十四条第一項第六号の規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、十年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
④ 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7556cd81791700cabfb67ec5418e0fcceb646b0e

去年9〜10月にかけて当時17歳だった少女の年齢を確認せずに雇い、豊島区のホテルで50代の客とみだらな行為をさせた疑いなどがもたれています。

 警視庁によりますと、少女は採用時の年齢確認で知人の学生証を提示していて、容疑者は「本当はだめだけど特別ね」と言い、面接した日からそのまま働かせていました。

判例
◎ (昭和30年10月18日東京高裁)
児童を接客婦として住み込ませようとする場合には、その周旋人はもとより、児童本人その親等も右周旋人の示唆等により、雇主に対し年令を偽り、満18歳以上であるように装うことは、世上一般的に行われ希有の事実でないのであるから、単に、児童の体格風貌等が18歳以上に見え、右の者等において18歳以上であると告げたからといつて、さらに戸籍抄本等につき正確な年令の調査をすることなく、その児童に淫行させた場合には、児童福祉法第34条1項6号の違反が成立し、同法第60条3項但書の児童の年令を知らないことについて過失のない場合には当らない。
◎ (昭和30年11月8日最高裁(小))
接客婦として児童を雇入れるにあたり、単に本人の供述または身体の外観的発育状況のみによつて、同女が満18歳以上に達しているものと判断し、さらに客観的な資料として戸籍抄本、食糧通帳もしくは父兄等について正確な調査を講じ、児童の年令を確認する措置をとつた形跡の認められない限り、児童を使用する者が児童の年令を知らなかつたことについて過失がないということはできない。
◎ (昭和33年9月3日東京高裁)
児童を雇入れるに際して、年令等について本人らにこれを尋ねただけで、本人の年令の自称を漫然と受入れ、同女に売淫させていた場合には、児童福祉法第60条3項但書にいう「過失がないとき」に当らない。
◎ (昭和34年12月10日長崎家裁
児童福祉法第60条3項但書にいう児童の年令を知らないことにつき、過失がないといえるためには、使用者が児童を雇入れる際、児童本人や仲介者などの自称する年令を軽信せず、児童の戸籍謄本または抄本などによつて生年月日を調査し、あるいは親元の照会をして年令を確かめるとか、一般に確実性のある調査確認の方法を一応尽すことが必要と考えられる。
◎ (昭和41年7月19日東京高裁)
社交クラブの経営者が若い婦女子を雇入れるにあたつては、本人若しくは周旋人の供述とか本人の身体の発育状態のみに頼ることなく、本人の戸籍を調べ、父兄に問合わせる等確実な調査方法を講じて本人の年令を確認すべき注意義務を負う。
◎ (昭和27年7月17日福岡高裁
児童福祉法第60条3項にいう児童の年令を知らないことについて過失がなかつた立証責任は、被告人側が負うべきものである
◎「過失のないとき」とは、具体的事案ごとに提出された客観的資料の種類、その提出の際の状況、及びその確認方法の有無、難易等を総合的に検討して、社会通念に照らし、通常可能な調査が適切に尽くされているといえるか否かによって決せられることになる(昭和46年11月大阪高裁)。