児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「高校の男子生徒2人にインスタグラムのダイレクトメッセージで、知り合いの成人女性とのわいせつな行為を撮影した10秒程度の動画3本を送った」行為は、「青少年に対し、みだらな性行為またはわいせつの行為を(略)見せてはならない」と定めた県青少年健全育成条例に違反し」ない。

「高校の男子生徒2人にインスタグラムのダイレクトメッセージで、知り合いの成人女性とのわいせつな行為を撮影した10秒程度の動画3本を送った」行為は、「青少年に対し、みだらな性行為またはわいせつの行為を(略)見せてはならない」と定めた県青少年健全育成条例に違反し」ない。

山口県青少年健全育成条例で「「見せ」とは、自己又は他人のみだらな性行為又はわいせつの行為を直接青少年に見せることをいい、図書、映画等の媒体を通して見せることはこれに該当しない」というので、動画を送るのも「見せる」には該当しない。
 懲戒理由としては失当。
 この部分はわいせつ電磁的記録頒布罪とか「五 児童生徒等に対し、性的羞恥心を害する言動であって、児童生徒等の心身に有害な影響を与えるものをすること(前各号に掲げるものを除く。)。」(教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律1条3項)とすべきだろう。

https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/soshiki/52/14536.html
山口県青少年健全育成条例
第12条 何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
① 金品その他の財産上の利益を供与し、若しくは役務を提供し、又はこれらの供与若しくは提供を約束して性行為又はわいせつの行為をすること。
② 相手方を欺き、若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて性行為又はわいせつの行為をすること。
③ あつせんを受けて性行為又はわいせつの行為をすること。
2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつの行為を教え、又はこれらを見せてはならない。

山口県青少年健全育成条例の解説 令和元年7月
6第2項関係:
~ 青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつの行為を教え、見せることについても、青少年の健全な育成を阻害すると認められるので、禁止することとしたものである。~
(1) 「みだらな性行為」について、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺岡し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとし力認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。」との裁判例(昭和60年10月23日最大判最高裁判所刑事判例集39巻6号413頁)がある。
なお、第1項各号に定めたような手段を伴わない性行為又はわいせつの行為でも、当該行為を「教え」、「見せる」ことによって青少年の健全な育成を阻害し、また性非行を誘発することにもなるおそれがあるので、第2項においては、第1項各号に該当する行為と共に、それらに含まれないみだらな行為又はわいせつの行為を併せ、「教え」、「見せる」ことを禁止したものである。
(2) 「教え」とは、青少年に対し、直接みだらな性行為又はわいせつの行為はしないが、当該行為の方法等を具体的、直接的に教示することをいうものである。単なるわい談等の漠然としたものは該当しないが、直接具体的に、写真図画、雑誌、映画フィルム等を使用して教えることは該当する。~
(3) 「見せ」とは、自己又は他人のみだらな性行為又はわいせつの行為を直接青少年に見せることをいい、図書、映画等の媒体を通して見せることはこれに該当しないものである。公然性の有無を問わず成立し、刑法第174条の公然わいせつ罪とは構成要件を異にする。
7罰則~
第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる
(第19条の3) 。~
‘ なお、第1項に規定する行為をした者は、過失により当該行為の相手方が青少年であることを知らない場合においても、処罰を免れることができないこととなっている(第20条
の2) 。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3822b0d225f6c09427531d24115ed2dfb20ec7ec
県教委によると、男性教諭は臨時的任用で、春休み中の4月7日、勤務先の高校の男子生徒2人にインスタグラムのダイレクトメッセージで、知り合いの成人女性とのわいせつな行為を撮影した10秒程度の動画3本を送ったという。

 2人から話を聞いた別の生徒が5月25日、教職員に相談。翌日に報告を受けた校長が教諭に確認したところ事実を認め、同30日から自宅待機となった。教諭は「生徒に親しまれる教員になりたいと思い、調子に乗って動画を送ってしまった」と話しているという。

 県教委は、動画を見せたことが「青少年に対し、みだらな性行為またはわいせつの行為を(略)見せてはならない」と定めた県青少年健全育成条例に違反し、懲戒処分の指針にある「生徒に対するわいせつな行為」に当たると判断し、免職にしたという。