児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例と性犯罪

 これは法律優先なんでしょうね。

秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例の解説(S53年11月)
 〔要  旨〕
  本条は、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をしたり、わいせつな行為をさせることを禁ずるものであるほか、これらの行為を教え、見せることを禁ずる旨を規定したものである。
 〔解  脱〕
1 本条は、刑法の規定による「暴行」、「脅迫」、「心神喪失」、「抗拒不能」等を伴わない少年に対するみだらな性行為(いん行)又はわいせつ行為、すなわち刑法をはじめ関係実定法令だけでは規制できない部分を、青少年の保護という面からとりあげて規制したものである。
2 「何人」とは、県民はもとより旅行者、滞在者等現に本県内にいるすべての自然人を指し、性別、年令を問わない。もっとも、行為者が青少年である場合には、第二十九条の規定により免責されることになる。
3 「みだらな性行為」とは、「いん行」と同義で、一般社会人からみて不純とされる性行為をいい、結婚を前提としない単なる欲望を満たすため、あるいは好奇心からのみ行う性行為がこれにあたる。いわゆる売春行為も含まれる。
 又、不純であるかどうかは、あくまでも社会通念上判断されるべきものである。
  本項に関しては次のような判例がある。
 一 「みだらな性行為」とは、社会通念上反倫理的なものとして非難に価する性交または性交類似行為を指称し、人格的交流を前提とする性交渉はこれにあたらない。
   それではどのような行為を反倫理的、従って「みだらな」ものと評価するかというのに、例えば売春、対償を得ることがなくとも全く行きずりの者を相手方とする性交渉、あるいは多数人を相手方としまたはこれらを互いに相手方とする乱交のような人格の結びつきを媒介としない性交渉はこれにあたるものと解すのを相当とする。
   (新潟家裁長岡支部決定 昭四〇・七・)
 二 本条の構成条件は、青少年の精神的、知的な未熟さや情緒的な不安定に乗じたような形態における、つまり誘惑、威迫、立場利用、欺圀あるいは困惑、自棄につけこむ等の手段を講じて青少年を自己の性的行為の相手方とせしめたような場合のみを指すものと解すべきである。(旭川家裁決定 昭四一・七・二八)
4 「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激興奮させたり、その露骨な表現によって健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥心や嫌悪の情をおこさせる行為をいう。
刑法第一七四条、第一七六条等にいう「わいせつ」と同義である。
又、現にしゅう恥、嫌悪の情をおこさせたことを必要としない。このような情をおこさせる性質の行為であれば、これにあたる。
5 第二項の「わいせつな行為をさせる」とは、児童福祉法第三十四条第一項第六号に規定する「児童に淫行させる行為」の「させる行為」と同義で、青少年を直接又は間接に強制してわいせつ行為をさせる場合のみならず、青少年に対して利害得失を説明してわいせつ行為をするよう示唆、暗示したり、わいせつ行為をするにつきその手段、便
 宜を供与したような場合も含まれる。
6 第三項の「教え」とは、みだらな性行為又はわいせつな行為に関する知識を与えることをいい、その方法のいかんを問わない。
  例えば、青少年に対してこれらの行為の写真、図画、雑誌、映画フィルム、スライドフィルム等を見せる行為はこれにあたる場合がある。
  単なるわい談等の一般的な漠然としたものではなく、具体的、直接的に教えることである。
  「見せ」とは、みだらな性行為又はわいせつな行為を直接見せることをいう。従って、図書、映画、有線テレビ等の媒体を通して見せることは、これに該当しない。