児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「被告人が同児童の肛門に体温計様の物を挿入する姿態」を、3号ポルノと認定した事案(横浜地裁R3.10.11)

 westlawで回ってきました
 「判示第3の所為は児童ポルノ法7条7項前段,6項前段,2条3項3号に,」とされていますが、肛門挿入は性器接触行為(2号)か性交類似行為(1号)ですよね。
 重い性犯罪があると、児童ポルノ罪の処理がおろそかになる例です。
 こういうのを指摘すると、控訴審未決たくさんもらえるので、控訴して指摘して下さい。

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裁判年月日 令和 3年10月11日 裁判所名 横浜地裁 裁判区分 判決
事件名 強制性交等,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録記録媒体頒布,東京都青少年の健全な育成に関する条例違反被告事件
文献番号 2021WLJPCA10116002
 上記の者に対する強制性交等,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)違反,強制わいせつ,わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録記録媒体頒布,東京都青少年の健全な育成に関する条例違反被告事件について,当裁判所は,検察官(省略)及び国選弁護人(省略)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
 

主文
 
理由
 ※以下,AからFまでは,それぞれ別紙(省略)の(1)記載の被害者の氏名を表す。
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
第2(令和2年11月2日付け追起訴状記載の公訴事実第1 訂正後)
 B(当時9歳)が13歳未満の者であることを知りながら,平成30年4月4日頃,東京都内のマンション(詳細は別紙(3)記載のとおり)において,同人の下着の上から同人の陰部を触り,その肛門に体温計様の物を挿入するなどし,もって13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした,
第3(令和2年11月2日付け追起訴状記載の公訴事実第2)
 前記Bが18歳に満たない児童であることを知りながら,判示第2の日時場所において,不特定又は多数の者に提供する目的で,同児童の陰部等を露出させた姿態及び被告人が同児童の肛門に体温計様の物を挿入する姿態を被告人が使用する動画撮影機能付携帯電話機で動画として撮影し,その動画データ4点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録して保存し,もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した,
 (法令の適用)
 1 被告人の判示第1及び第4の各所為はいずれも刑法177条後段に,判示第2,第7及び第8の各所為はいずれも同法176条後段に,判示第3の所為は児童ポルノ法7条7項前段,6項前段,2条3項3号に,判示第5の所為は包括して同法7条7項前段,6項前段,2条3項1号,2号,3号に,判示第6の所為は東京都青少年の健全な育成に関する条例24条の3,18条の6に,判示第9の所為は児童ポルノ法7条7項前段,6項前段,2条3項2号,3号に,判示第10の1(別表の番号1ないし4の各番号ごと)及び第10の2の各所為のうち,電気通信回線を通じて法定の情報を記録した電磁的記録を不特定の者に提供した点はいずれも(判示第10の1別表の番号4は包括して)児童ポルノ法7条6項後段,2条3項3号(判示第10の1別表の番号3は更に同項1号,2号)に,わいせつ電磁的記録等送信頒布の点はいずれも刑法175条1項後段に,判示第10の3の所為のうち,児童ポルノの提供の点は児童ポルノ法7条6項前段,2条3項2号,3号に,わいせつ電磁的記録記録媒体頒布の点は刑法175条1項前段にそれぞれ該当する。
 2 判示第10の1(別表の番号1ないし4の各番号ごと)ないし第10の3はそれぞれ1個の行為が2個の罪名に触れる場合であり,かつ,判示第10の1及び第10の2のわいせつ電磁的記録等送信頒布並びに第10の3のわいせつ電磁的記録記録媒体頒布は包括して一罪として処断される場合であるから,結局以上を一罪として刑法54条1項前段,10条により刑及び犯情の最も重い判示第10の1別表の番号3の児童ポルノ法違反の罪の刑で処断する。
 3 判示第3,第5,第9及び第10の各罪についてはいずれも懲役刑と罰金刑とを併科し,判示第6の罪については懲役刑を選択する。
 4 以上は刑法45条前段の併合罪であるから,懲役刑については同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重をし,罰金刑については同法48条1項によりこれをその懲役刑と併科することとし,同条2項により判示第3,第5,第9及び第10の各罪所定の罰金の多額を合計する。
 6 刑法21条を適用して未決勾留日数中240日をその懲役刑に算入する。
 7 その罰金を完納することができないときは,刑法18条により金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 8 訴訟費用は,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
 (量刑の理由(以下,児童ポルノ法7条6項違反の罪に関しては,その前後段を問わず,提供の客体を「児童ポルノ」という。))
。。。。
 令和3年10月13日
 横浜地方裁判所第3刑事部
 (裁判長裁判官 渡邉史朗 裁判官 田中結花 裁判官 鈴木新星)