父親による0歳児へのわいせつ行為につき監護者わいせつ罪を適用した原判決が破棄された事例(福岡高裁r7/11/27)

0歳への児童ポルノ製造についてはルーティンとして
  「性欲を興奮させ又は刺激するもの」に該当しない
   監護者わいせつ罪とは観念的競合
   製造罪は包括一罪
という主張をして欲しいところです。

 監護者わいせつについては、こういう法文の並びなので、176条3項のみが適用されると解釈します

第一七六条(不同意わいせつ)
3十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
第一七九条(監護者わいせつ及び監護者性交等)
1 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条第一項の例による。
2十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条第一項の例による。

今井猛嘉「監護者わいせつ罪及び監護者性交等の罪」法律時報90巻4号(通号1123) 2018年4月
3 本罪と他罪との関係等
最後に、本罪と他罪との関係を通じて、本罪の特徴を(再)確認しておきたい。
第一に、本罪の被害者は、18歳未満の者であって行為者(たる監護者)の監護に係る者(被監護者)である。被監護者に相当する者が13歳未満であれば、当該者に対する性的行為は、「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」性的行為がなされたか否かを問わず、強制わいせつ罪(176条後段)や強制性交等の罪(177条後段)が成立する。そのため、本罪の被害者となりうるのは、13歳以上18歳未満の被監護者に相当するものだということになる。
強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪、又は強制性交等の罪や準強制性交等の罪が成立する場合には、これらに加えて本罪を成立するわけではない。本罪は、それらの罪の成立が困難な事案に着目し、事案の適正な処理のために、それらの罪と同等の罪質を有するものとして新設された類型だからである。もっとも、個々の事案の証拠関係に応じて、それらの罪又は本罪のいずれで処理するかは、検察官の訴追裁量に委ねられていると解される。

原判決はまだ収録されていません

d1law
判例ID28334004
裁判年月日等令和7年7月17日 / 福岡地方裁判所 / 第4刑事部 / 判決 /令和7年(わ)24号 /令和7年(わ)458号
事件名監護者わいせつ、性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
出典http://D1-Law.com判例体系
裁判結果有罪
裁判官田野井蔵人





https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2358242?page=5
控訴審で弁護側は・原判決の懲役3年6か月の実刑は重すぎる・執行猶予付きの判決が言い渡されるべきであると主張した。

一方、検察側は「現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」の要件該当性に疑義があると判断し「監護者わいせつ罪」から「不同意わいせつ罪」への交換的な訴因等変更請求を行い、福岡高裁はこの請求を許可した。

福岡高裁
「『監護者わいせつ罪』が成立するためには、単に監護者が被監護者に対してわいせつな行為に及んだだけでは足りず、『現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて』の要件を満たす必要がある」
と指摘した。

そのうえで福岡高裁
・「影響力」とは被監護者の意思決定に作用を及ぼし得る力をいう
・「乗じて」といえるためには、上記影響力を及ぼしている状態でわいせつな行為を行えば足りる
・被監護者が行為者を監護者であると認識していなかった場合など、監護者の上記影響力と無関係にわいせつな行為が行われた場合には、これに当たらない
と判示した。

「乳幼児の発達や発育には個人差もある中、1審判決が娘を生まれて間もない子供であり認知能力が乏しいと認定しながら、各犯行当時の娘が父親を監護者であると認識してわいせつな行為に関する意思決定を行う能力を有していたことの立証もないまま、各監護者わいせつ罪の成立を認めたことは、経験則等に照らし不合理である」
「1審判決は『現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて』の要件の解釈適用を誤り、ひいては事実を誤認したものといわざるを得ず、この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである」
として、1審判決を破棄し、新たに判決を言い渡すことを決めた。

監護者わいせつ罪と児童ポルノ製造罪は観念的競合にされることが多い

甲府地裁R6.11.6
判例番号】 L07951177
       不同意性交等、不同意わいせつ、性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、監護者性交等(令和5年法律第66号による改正前)被告事件
【事件番号】 甲府地方裁判所判決/令和6年(わ)第116号、令和6年(わ)第161号、令和6年(わ)第194号
【判決日付】 令和6年11月6日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

千葉地裁R3.5.28
判例ID】 28292090
【裁判年月日等】 令和3年5月28日/千葉地方裁判所/刑事第5部/判決/令和1年(わ)797号/令和1年(わ)1250号/令和1年(わ)2163号/令和2年(わ)146号
【事件名】 監護者性交等、監護者わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 前田巌 安重育巧美 井上寛基
【出典】 D1-Law.com判例体系
【重要度】 -

名古屋地裁岡崎R6.1.30
神戸地裁R6.8.8