児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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京都府の「服の上からでもしつこく胸や下半身を撮影する行為も禁止する改正条例」

 そういう条項が加わったのではなく、「卑わい行為」という漠然とした行為を条例3条1項に9号が加えられただけです

(9) 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動(次項から第4項までに規定する行為を除く。)をすること

https://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/seitai/meibou/kaiseinitsuite.html
 卑わいな行為(第3条関係)について
(1)「卑わいな言動」を包括的に規制
公共の場所にいる人、公共の乗物に乗っている人に対する「身体を触る行為」、「性的な感触を与えようとする行為」など8類型の卑わいな行為を規制していますが、これらに該当しないものの、同じくらいに卑わいな行為を新たに「卑わいな言動」として包括的に規制しました。

京都府迷惑行為等防止条例 (令和2年1月18日施行)
(卑わいな行為の禁止)
第3条 
1何人も、公共の場所又は公共の乗物にいる他人に対し、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪を覚えさせるような方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 他人の身体の一部に触ること(着衣その他の身に着ける物(以下「着衣等」という。)の上から触ることを含む。)。
(2) 物を用いて他人の身体に性的な感触を与えようとすること。
(3) その意に反して人の性的好奇心をそそる姿態をとらせること。
(4) 着衣等で覆われている他人の下着又は身体の一部(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
(5) 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は着衣等の中が見える位置に鏡等を差し出し、置く等をすること。
(6) 着衣等を透かして見ることができる機器を使用して、着衣等で覆われている他人の下着等の映像を見ること。
(7) 異性の下着を着用した姿等の性的な感情を刺激する姿態又は性的な行為を見せること。
(8) 人の性的好奇心をそそる行為を要求する言葉その他の性的な感情を刺激する言葉を発すること。
(9) 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動(次項から第4項までに規定する行為を除く。)をすること。

2 何人も、公共の場所、公共の乗物、事務所、教室、タクシーその他不特定又は多数の者が出入りし、又は利用する場所又は乗物にいる他人に対し、前項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 通常着衣等で覆われている他人の下着等を撮影すること。
(2) 前号に掲げる行為をしようとして他人の着衣等の中をのぞき込み、又は撮影する機能を有する機器(以下「撮影機器」という。)を通常着衣等で覆われている他人の下着等に向けること。
(3) 前項第6号に規定する機器を使用して、通常着衣等で覆われている他人の下着等の映像を撮影すること。
3 何人も、住居、宿泊の用に供する施設の客室、更衣室、便所、浴場その他人が通常着衣の全部又は一部を着けない状態でいるような場所にいる他人に対し、第1項に規定する方法で、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 当該状態にある他人の姿態を撮影すること。
(2) 前号に掲げる行為をしようとして、他人の姿態に撮影機器を向けること。
4 何人も、第1項に規定する方法で第2項に規定する場所若しくは乗物にいる他人の着衣等で覆われている下着等又は前項に規定する場所にいる着衣の全部若しくは一部を着けない状態にある他人の姿態を撮影しようとして、みだりに撮影機器を設置してはならない。
(平22条例12・平26条例27・令元条例68・一部改正)

https://news.yahoo.co.jp/articles/80eb053e33eb252d8726a1c87874e820bfb3becc
女子選手しつこく撮影疑い、京都 条例適用、男性書類送検
9/16(木) 17:57配信
共同通信
 京都府警は16日、陸上の大会に参加していた女子高校生の尻などをしつこく撮影したとして府迷惑行為等防止条例違反の疑いで、京都市右京区の男性会社員(47)を書類送検した。府警によると、容疑を認め「4年ほど前から近畿や北陸の陸上大会に行き、女性のお尻を繰り返し撮影していた」と説明している。

 下着などの盗撮はこれまでも条例で禁止されていたが、府は昨年1月、服の上からでもしつこく胸や下半身を撮影する行為も禁止する改正条例を施行し、今回はこれが適用された。



現行条例の解説は取り寄せ中。
従前の解説書では、強制わいせつ罪との対比で説明されていたが、大法廷h29.11.29で定義は失われたのでどう説明しているのか

旧)京都府迷惑行為防止条例逐条解説平成27年8月3日
(2)用語の解釈
ア「卑わいな行為」とは、いやらしく、みだらな行いであり、普通人の性的差恥心を害し、嫌悪感を催させ、また不安を覚えさせるに足りる言語又は動作をいう。わいせつ罪における「わいせつ」に至らない行為であるが、性的道義観念に反して、他人に性的差恥心や、不安又は嫌悪を覚えさせるものをいう。
イ「行為」とは、人間の意思に基づく作為又は不作為をいう。無意識の反射動作や抵抗不能の強制の下になされた動作は、行為に当たらない。

3本条と類似する主な既存の法令との関係
(1)刑法との関係
ア「強制わいせつ罪」との関係
「強制わいせつ罪」.は、「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫によりわいせつな行為を行い、又は13歳に満たない男女に対し、わいせつな行為を行った場合」に成立する。強制わいせつ罪にいう「暴行又は脅迫」とは、相手方の自由意思を抑圧し、反抗を著しく困難にする程度のものをいい、「わいせつな行為」とは、性交を除くその他一切のわいせつな行為をいう。暴行又は脅迫を要件とする点で本条の禁止行為と異なる。
本条違反の行為が、「強制わいせつ罪」に当たる場合は、法条競合(吸収関係)になると考えられる。

現行条例の解説です
事例が黒塗りでマスクされていて
「服の上からでもしつこく胸や下半身を撮影する行為も禁止する改正条例」
などという部分が公表されていません。

京都府迷惑行為防止条例逐条解説ほか(2020年4月)
第9号
卑わいな言動をする行為

(1)条文図解
前各号に掲げるもののほかH卑わいな言動をすること
(次項から第4項までに規定する行為を除く。)
(2)解説
第9号は、前各号で規定する8類型の卑わいな行為に該当しない新たな卑わいな行為を包括規制するため、今回の改正で新設されたものである。
例えば、
卑わいな画像や性具等を執ように見せつける行為、
卑わいな音声を執ように聞かせる行為、
着衣の上から性的な部位を執ように撮影する行為
などが本号に該当する。
ただし、無制限に本号を適用するのではなく、行われた行為が
  社会通念上容認できない程の卑わい行為であるか
  本項に規定する要件を充足しているか
  各号に掲げる行為と同程度の可罰的違法性を有しているか
を慎重に判断する必要がある。
(3)用語の解釈
「卑わいな言動」とは、前各号に掲げる行為及び次項から第4項までに規定する行為以外で、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう。
普通人の性的差恥心を著しく害し、不安や嫌悪を覚えさせるに足りるもので、みだりに行われた「わいせつ」に至らない程度の卑わいな言動が規制対象となる。
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【卑わいな言動の具体的事例】
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※上記のような事例であっても、9号違反の立件にあたっては、それらの行為が「他人を著しくしゅう恥させ、又は他人に不安若しくは嫌悪をおぼえさせるような方法」で行われたものである必要があることに留意する。

 この判例に照らしてどうか

判例番号】 L06310093
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定
【判決日付】 平成20年11月10日
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集62巻10号2853頁
       裁判所時報1471号372頁
       判例タイムズ1302号110頁
       判例時報2050号158頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 ジュリスト1433号114頁
       法曹時報63巻10号2545頁
 弁護人古田渉の上告趣意のうち,憲法31条,39条違反をいう点については,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号の「卑わいな言動」とは,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいうと解され,同条1項柱書きの「公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し,正当な理由がないのに,著しくしゅう恥させ,又は不安を覚えさせるような」と相まって,日常用語としてこれを合理的に解釈することが可能であり,所論のように不明確であるということはできないから,前提を欠き,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論にかんがみ,職権で検討するに,原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。
 すなわち,被告人は,正当な理由がないのに,平成18年7月21日午後7時ころ,旭川市内のショッピングセンター1階の出入口付近から女性靴売場にかけて,女性客(当時27歳)に対し,その後を少なくとも約5分間,40m余りにわたって付けねらい,背後の約1ないし3mの距離から,右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて,細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい,約11回これを撮影した。
 以上のような事実関係によれば,被告人の本件撮影行為は,被害者がこれに気付いておらず,また,被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえるから,上記条例10条1項,2条の2第1項4号に当たるというべきである。これと同旨の原判断は相当である。