薄い最高裁判所判例解説。
ダビングについて考えていなかったのは立法ミスだが、それは4項製造罪と同様に救済されると思っていた。
問題は、被害児童に知られない製造行為が「ひそかに製造」になるなら、写真集の複製とかも「ひそかに製造罪」になるのではないかという点だったが、それは「描写行為」でないから問題にならないと言い出して、解決したようだ。
第4 説明
1 問題の所在
児童ポルノ法7条5項の製造罪(以下「5項製造罪」という。)は,平成26年7月15日施行の改正法によって新設されたもので,盗撮により児竜ポルノを製造する行為を処罰するというものである。
「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう(同法2条3項)。また,児童ポルノの「製造」とは,児童ポルノを作成することをし、い,児童ポルノの複製フィルムの現像, ネガ・フィルムのプリントも「製造」に当た(注3)るとされている。
しかし, 5項製造罪については, 「ひそかに……児童の姿態を写真電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより」というように,製造手段が限定されているため,盗撮により製造した児童ポルノを基にして,その電磁的記録を他の記録媒体へ記録保存する二次的製造行為については,「ひそかに……製造した」ものとはいえず, 5項製造罪は成立しないのではないか, という問題が生じる。・・・・・
5 本決定の意義
5項製造罪は,平成18年判例後の法改正で新設されたものであるが、4項製造罪と同様の論点が残る形の立法がされていた。このことを踏まえると,本決定は, 5項製造罪に関する法令解釈を示したものとして実務上重要なものと考えられる。