児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ひととき金融事案~貸金業法違反・出資法違反・児童ポルノ・児童買春法違反(大阪地裁R01.11.19)

 誰が「ひととき金融」と名付けたのか。
 結構、量刑重いですよ。

貸金業法
第五章 罰則
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 不正の手段によつて第三条第一項の登録を受けた者
二 第十一条第一項の規定に違反した者
第十一条 
1第三条第一項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない。

・・・
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
(高金利の処罰)
第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十パーセントを超える割合による利息の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。
3 前二項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をしたときは、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。その貸付けに関し、当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

https://news.yahoo.co.jp/articles/277ac903710fca133acb1944cb8e2e35c8b46075
同課によると、男は会員制交流サイト(SNS)などで知り合った女性を顧客とし、普通口座に振り込ませる方法で1日当たり0・7%の利息を受領した。現金を貸し付ける際には、顔写真付きの身分証明書に加え、裸の画像を送らせていた。取り調べに「担保として要求した」と供述しているという。
 県警は5月12日、無登録で貸金業を営んだとして、貸金業法違反(無登録営業)で男を逮捕。口座の精査などから超高金利で貸し付けていたことが分かった。
 全国の10~50代の女性約30人に、計約600万円を貸し付けていたとみて、詳しく調べる。

大阪地裁令和元年11月19日 
主文
 被告人を懲役2年6月及び罰金300万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 この裁判が確定した日から5年間その懲役刑の執行を猶予する。
理由
 [関係者の呼称は別紙のとおり。]
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
 第1 大阪府知事の登録を受けないで,業として,別表1記載のとおり,平成29年6月11日から平成30年9月20日までの間,4回にわたり,大阪府藤井寺市〈以下省略〉のホテル「a」客室内ほか1か所において,Aほか2名に対し,現金を手渡す方法により,合計33万円を貸し付け,もって登録を受けないで貸金業を営んだ,
 第2 業として金銭の貸付けを行うに当たり,別表2記載のとおり,平成28年8月23日から平成31年2月28日までの間,大阪市〈以下省略〉の株式会社三井住友銀行大阪本店営業部に開設された被告人名義の普通預金口座(口座番号〈省略〉)に振込入金を受ける方法及び堺市〈以下省略〉のホテル「b」客室内ほか1か所において現金を手渡しで受領する方法により,Bから,1日当たり約0.55%の割合による利息合計55万700円を受領し,もって法定の1日当たり0.3%を超える割合による利息を受領した,
 第3 業として金銭の貸付けを行うに当たり,別表3記載のとおり,平成29年9月1日から平成30年12月5日までの間,被告人名義の前記普通預金口座に振込入金を受ける方法により,Aから,1日当たり約2.32%の割合による利息合計25万8700円を受領し,もって法定の1日当たり0.3%を超える割合による利息を受領した,
 第4 C(当時16歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,性交の対償として現金2万円を供与して,平成31年2月3日午後3時15分頃から同日午後5時15分頃までの間,堺市〈以下省略〉のホテルc客室内において,同児童と性交し,もって児童買春をした,
 ものである。
 (法令の適用)
 被告人の判示第1の所為は貸金業法47条2号,11条1項,3条1項に,判示第2,第3の各所為はいずれも出資法5条3項後段,前段に,判示第4の所為は児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号にそれぞれ該当するところ,各所定刑中判示第1から第3までの各罪についてはいずれも懲役刑と罰金刑とを併科し,判示第4の罪については懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,懲役刑については同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重をし,罰金刑については同法48条2項により各罪所定の罰金の多額を合計した刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役2年6月及び罰金300万円に処し,その罰金を完納することができないときは,同法18条により金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その懲役刑の執行を猶予することとする。
 (量刑の理由)
 本件は,被告人が,インターネットを利用して性交を貸付けの条件とする手法の貸金業を無登録で営み,その中で著しい高金利の利息を受領し,その勧誘に応じた女性児童に対償を供与して性交する児童買春をした事案である。
 本件貸金業の前記手法は,経済的に苦しい状況にある女性の切迫した資金需要に乗じ,貸付けの実質的な対価として性交を条件とするというその人格を無視した犯行である点で悪質さの高いものであって,このような意味で貸金業の適正を逸脱する程度,資金需要者を傷つける程度とも大きい犯行と評価すべきである。被告人が積極的に金利等の経済的利益そのものを取得するというよりは,性交をすることを犯行の動機としていた点は,自分の欲求を満たすために貸金業の枠組みを悪用しているということであって,貸金業の適正を図る法の趣旨を踏まえてもその刑事責任を軽くする方向で考慮することのできるような事情ではない。その過程で及んだ児童買春の犯行もまた被害女児の人格を無視する点で犯罪の性質が共通し,その成育上有害な影響を与えるそれ自体悪質な行為である。類似の犯行を抑止する必要性のある手口の犯行でもあることも考慮されるほか,著しい高金利利息受領によって軽視のできない程度の経済的利益も手にしていることも併せて考慮した相応の処罰が必要であって,懲役刑とともに経済的な観点からも一定の感銘力のある罰金刑を科すのが相当である。もっとも,貸付人数,貸付総額等を基礎に考えると,本件が特に規模の大きい犯行であるとまではいえない。著しい高金利利息受領の被害者となった女性2名(うち1名は無登録の貸金業による貸付けの相手方でもある。)に対してはそれぞれ受領した利息全部に相当する額を支払ったほか,無登録の貸金業による貸付けを受けた女性のうちさらに1名に対しては一定の解決金を支払って,これらの女性との間では処罰を望まない旨の意思表示を含む示談が成立している。被告人の犯罪行為を軽く考えることはできないものの,前科のない被告人の犯罪行為でもあることを踏まえての刑事責任とする必要はある。
 その上で,被告人が罪を認めて反省の言葉を述べていること,父が情状証人として被告人の監督を約束していることも考慮し,今回に限り懲役刑についてはその執行を猶予して社会内での更生の機会を与えることとした。
 (求刑 懲役2年6月及び罰金400万円)
 令和元年11月21日
 大阪地方裁判所第12刑事部
 (裁判官 三輪篤志