児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

13歳未満の児童をして裸体を撮影送信させた行為を強制わいせつ罪(176条後段)+児童ポルノ製造罪(7条4項)にした判決への控訴理由

 こういう限界事例になると、前例がないので、どう定義づけるかが問題になります。
 とりあえず完成させたので、高裁の反応を見て、次の事件でさらに加筆して加筆してという感じにな ります。

控訴理由第○ 理由不備・法令適用の誤り~わいせつ行為(176条後段)の定義ができないこと) 14
1 はじめに 14
2 判例上「わいせつ」が定義できていないこと 15
①わいせつの定義についてわいせつとは、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。」という判例最判s26.5.10 名古屋高裁金沢支部S36.5.2 東京高裁h22.3.1) 15
名古屋高裁金沢支部S36.5.2*2 15
イ東京高裁h13.9.18*3 15
ウ東京高裁h22.3.1*4 15
②性的自由侵害行為とする判例(大阪高裁H28.10.27 東京高裁h26.2.13 東京高裁h30.1.30) 15
阪高裁H28.10.27 15
イ東京高裁h26.2.13 16
ウ東京高裁h30.1.30*5 17
4 原判決も独自の定義を作出していること(理由不備) 21
5 憲法違反~裁判所がわいせつの定義を示せないときは、刑法176条は罪刑法定主義違反となる。 22

控訴理由第○ 法令適用の誤り~被害者をしてその裸体を「撮影させ」た行為はわいせつ行為(176条後段)にあたらない 25
1 はじめに 25
2 わいせつの定義がないので、馬渡解説*6・薄井論文*7に沿って検討してみる 25
(1)撮影させる行為の「性的な意味」の存否 25
甲3 画像 28
甲4 画像 28
(2)撮影させる行為の「性的意味合い」の程度 30
薄井論文 31
①木村光江「強制わいせつ罪における『性的意図』」判例時報 736号18頁。*10 32
②橋爪隆・研修860号3頁 32
③名古屋地岡崎支部h30.4.19*11 33
④大阪高裁H22.6.18*12(神戸地裁H21.12.10*13) 33
⑤大阪高裁r2.10.2*14(奈良地裁葛城支部R02.3.30*15) 34
(3)社会通念上の「撮影させる行為」の扱い=強要罪の裁判例 37

控訴理由第○ 法令適用の誤り~被害者をして撮影させる行為が「わいせつ行為」だとしても、送信・蔵置・受信行為まで及ぶとわいせつ行為とは評価できない 42
1 はじめに 42
2 撮影までならわいせつ行為となりうるのだが、送信・記録させる行為に及ぶとわいせつ行為とは評価できなくなるという判例(東京高裁h28.2.19 広島高裁岡山支部H22.12.15)。 43
東京高裁h28.2.19 (一審新潟地裁高田支部H27.8.25*58) 43
広島高裁岡山支部H22.12.15*59(一審判決 岡山地裁H22.8.13*60) 45

控訴理由第5 法令適用の誤り~判示第○と第○の行為は観念的競合 47
1 はじめに 47
2 刑法54条1項の「一個の行為」の意味 51
3 罪数判断は、訴因の比較により、訴因外の事実は考慮されない。 59
4 児童ポルノ製造罪が立件されない場合の撮影行為の法的評価=わいせつ行為 60
東京高裁H22.3.1 61
仙台高裁H21.3.3 62
阪高裁H23.5.20 63
5 わいせつ罪に加え児童ポルノ製造罪を立件した場合の罪数処理 63
①仙台高裁H21.3.3*71 65
名古屋高裁h22.3.4*72 66
③ 高松高裁h22.9.7*74 67
④ 広島高裁h23.5.26*75(訴因変更) 68
⑤ 大阪高裁H23.12.21*76(原判決 神戸地裁H23.3.18*77) 68
⑥ 大阪高裁h25.6.21*78 68
⑦東京高裁h30.1.30*79(横浜地裁H28.7.20*80) 69
6 媒体への記録行為の評価~1個の行為を書き分けても1個である 71
仙台高裁H21.3.3 74
7 最決h21.10.21*81(児童淫行罪と児童ポルノ製造罪)の射程について 74
名古屋高裁h22.3.4 75
高松高裁h22.9.7 76
阪高裁H23.12.21 76
東京高裁h30.1.30 77
8 犯意について~触る行為と撮影する犯意は1個であるこ 80
9 「一事不再理効の範囲が広くなる」とかいう否定説の理由について 82
10 「わいせつ行為に通常撮影は伴わない」とかいう否定説の理由について 84
13 強制わいせつ罪と製造罪の罪数問題は「単なる法令違反の主張」とされて、最高裁の判断は示されていないこと 87
最高裁大法廷H29.11.29 88
最決R02.3.10 89
最決H30.9.10 89