児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影・送信させる強制わいせつ罪・不同意わいせつ罪における「わいせつ行為」とされる範囲

 強要罪の高裁判例では、
  広島高裁岡山支部H22.12.15(岡山地裁H22.8.13)
    東京高裁H27.12.22(新潟地裁高田支部H27.8.25)

が送信させる行為はわいせつ行為ではないとされる。

 強制わいせつ罪の高裁判例(大阪、大阪、札幌)でも「撮影させ」までが「わいせつ行為」とされています。
 送信させる行為まで起訴されることが多く、弁護人が指摘しないと「送信させる」までわいせつ行為とされます。

 裁判例を概観すると、「撮影させ」は性的意味合いが強くそれだけで「わいせつ」と評価されますが、「送信させ」は性的意味合いが弱く、自慰行為させるなどとの合わせ技で可罰性を帯びて「わいせつ」と評価されているように見受けられます。

 

東京 地裁   H18.3.24 撮影送信させ受信して
大分 地裁   H23.5.11 撮影送信させ
東京 地裁   H27.12.15 撮影送信させ
高松 地裁   H28.6.2 撮影送信させ
横浜 地裁   H28.11.10 撮影送信させ
松山 地裁 西条 H29.1.16 撮影送信させ
高松 地裁 丸亀 H29.5.2 撮影させ
岡山 地裁   H29.7.25 撮影送信させ
札幌 地裁   H29.8.15 撮影させ
札幌 地裁   H30.3.8 撮影させ
東京 地裁   H31.1.31 撮影させ
長崎 地裁   R1.9.17 ビデオ通話機能を通じて、同人に胸や陰部を露出した姿態及び陰部を指で触るなどした姿態をとるよう指示し、同人にそれをさせた上、その姿態の映像を前記ビデオ通話機能を用いて被告人の携帯電話機に送信させ、もって強いてわいせつな行為をした。
高松 地裁 丸亀 R2.9.18 撮影させ
熊本 地裁   R3.1.13 撮影させ
京都 地裁   R3.1.21 撮影させ
京都 地裁   R3.2.3 撮影させ
大阪 高裁   R3.7.14 撮影させ
京都 地裁   R3.7.28 撮影させ
大阪 高裁   R4.1.20 撮影させ
千葉 地裁   R4.2.7 同人に胸部陰部を露出した姿態を取らせて
これをaのスマホで撮影させ
もって13未満の者にわいせつ行為した
札幌 地裁 小樽 R4.3.2 自慰行為等+撮影させ
東京 地裁   R4.3.10 撮影させ
京都 地裁   R4.6.10 同人に陰部露出させる姿態とらせてスマホで撮影させもって、13歳未満の物に対して、わいせつな行為をした
東京 地裁   R4.8.19 自慰行為をさせた上、その様子を同人が使用する撮影機能付き携帯電話機で撮影させ、さらに、その画像等のデータを被告人が使用する携帯電話機に送信させ、
京都 地裁   R4.9.13 同人に陰部露出させる姿態とらせてこれを同人が使用するタブレット端末で撮影させ、
もってr、13未満の者に対してわいせつ行為をし
札幌 地裁   R4.9.14 撮影させ
千葉 地裁   R4.11.18 乳房陰部露出して放尿するなどの姿態を取らせてこれをcの使用する携帯電話機で撮影させ、もって13未満の者ににわいせつ行為をした
釧路 地裁   R5.1.6 送信させ
札幌 高裁   R5.1.19 撮影させ
大津 地裁   R5.3.1 陰茎を手淫させるとともに、その状況をスマホの動画撮影機能で撮影させた上、その動画を被告人が使用するスマホに送信させ、
地裁   R5.8.18 静止画を送信するよう要求し、同年7月24日頃から同年8月10日午前8時13分頃までの間、同県内のA方等において、同人に前記要求に応じた姿態をとらせ、81回にわたり、これを同人に撮影機能付き携帯電話機で撮影させて、その頃、被告人が使用する携帯電話機に同静止画を送信させ
 もって、Aの抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした。
旭川 地裁 稚内 R5.11.10 B方において、同人に陰部及び乳房等を露出させる姿態をとらせ、その姿態をスマートフォンで撮影させ、もって人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした


ビデオ通話機能により被告人が視聴できる状態で、Aに陰部及び乳房等を露出させる姿態をとらせ、もって人の抗拒不能に乗じてわいせつな行為をした