児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならないものとすること。」(長野県子どもを性被害から守るための条例のモデル報告書)によれば、処罰されないこととなる、青少年との性行為の事例

 大阪府条例と酷似した規定が提案されています。

大阪府青少年健全育成条例
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十四条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

平成24年の犯罪
123 青少年保護育成条例違反 都道府県別 違反態様別 送致件数及び送致人員
https://www.npa.go.jp/archive/toukei/keiki/h24/pdf/H24_24.pdf
大阪府
総数 95件
みだらな性行為 −
深夜外出    84件
その他     10件

 長野県は17事例のうち、15事例はこれで検挙できると説明していますが、大阪府の検挙数を見ると、ほとんど検挙できないか、「威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて」について、青少年と行為者に自白を強いて立件することになると思われます。

子どもを性被害から守るための条例のモデル報告書(PDF:986KB)(平成27年9月17日)
https://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/kyoiku/kodomo/shisaku/documents/mhokoku20150917.pdf

平成25年・26年中における17事例説明資料
https://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/documents/5-20150326keisatusiryou17jirei.pdf

構成要件の規定の仕方について〜本県における性被害17事例の構成要件該当性〜(PDF:590KB)
https://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/documents/siryou4-1.pdf

事例2
【事例2】
1 認知
行為者本人からの申立てによる。

2 行為者
 県内 無職 男20歳代
3 児童
(1) 県内
高校女子生徒16歳(行為時)
(2) 県内
高校女子生徒16歳(行為時)
4 事案概要
行為者本人が警察署を訪れ、「平成21年から22年頃、当時16歳の高校生と、平成23年にも当時16歳の高校生と、若い子が多く利用するゲームサイトで知り合い、県内で性交した。遊び相手として単に女子高生とセックスがしたかっただけだが、そのことは法律違反になるのか。」との申立てがあったもの。
5 児童の感情
不詳(行為者からの聴取のみ)
6 適用法令の検討
(1) 強姦・強制わいせつ
暴行・脅迫なし。
(2) 児童買春・児童ポルノ禁止法違反
対償の供与、又はその供与の約束なし。
(3) 児童福祉法違反
事実上の影響力、支配性なし。
7 児童への対応
なし
構成要件該当性
事案の詳細は不明であるが、資料上明らかな事実からは該当しない可能性が高い。

事例10
【事例10】
1 認知
匿名通報ダイヤルへの児童ポルノ公然陳列に関する通報による。
2 行為者
県内
無職男40歳代
3 児童
県内
高校1年女子生徒16歳(行為時)
4 事案概要
匿名通報ダイヤルに児童ポルノ公然陳列に係る通報がなされたことから捜査したところ、行為者が判明し、同人を同罪で検挙。
上記捜査の過程で、行為者は、ツイッター上で性的欲望を満たす女性を探していたところ、午後3時頃、怠学している児童を見つけ、同児童に「締麗だ。直接会いたい。」などと誘い出し、行為者の乗用車で児童を迎えに行き、午後8時頃、県内A 市内のホテルで性交したことが判明したもの。
5 児童の感情
児童は、車内で行為者と二人きりになり、行為者からの「綺麗だ。」などの甘言に乗ってしまい性交に応じてしまったとの申立て。
6 適用法令の検討
(1) 強姦・強制わいせつ
暴行・脅迫なし。
(2) 児童買春・児童ポルノ禁止法違反
買春については、対償の供与、又はその供与の約束なし。
児童の裸の画像をツイッターに投稿した行為については、児童ポルノ禁止法違反で検挙。
(3) 児童福祉法違反
事実上の影響力、支配性なし。
7 児童への対応
相談・指導

構成要件該当性
? 「誘惑」があったことは明らかであるが、性行為に至るまでに威迫等の不当な手段があったとは認められず、該当しない可能性が高い。