児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

50歳が14歳と性行為しても処罰されない地域(淫行特区)

 青少年淫行罪について

「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、
①青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。(最大判S60.10.23)

という判例があって、①②の処罰が許容されているのですが、そのうちの①だけを処罰している(②は処罰されない)条例(淫行特区)があります。大阪府もr02改正前まではそういう条例でした。 
 威迫・欺罔・困惑がない場合、50歳が14歳と性行為しても処罰されないことになり、実際にもそう運用されています。
 頻繁に改正されているのに、この規定が残されているので、この地域ではそういう民意だと思われます。


 ちなみに、①②を処罰する青少年条例の無罪判決は2件確認されています。
名古屋簡裁平成19年5月23日 愛知県青少年保護育成条例違反被告事件(無罪)は 17歳 31歳
神戸地裁尼崎支部平成29年8月23日 兵庫県少年愛護条例違反違反被告事件(無罪) 17歳 38歳

https://digital.asahi.com/articles/ASP676TZPP67UTFK010.html
本多氏も7日夜、「今回、党内での会議の一部の発言が報道されるに至りましたが、趣旨において私の理解が足りていない、また報道によって傷つく方がいるとのご批判は当然と考えます。真摯(しんし)に反省をし、認識を深めていきます。性犯罪に関する刑法改正に関して、私は、一方当事者が少なくとも中学生までの低年齢で、他方当事者が成人である場合、両者の間に対等性はなく性搾取となっている実態を踏まえ、低年齢当事者を保護するために成人を処罰対象とすることの必要性を認識しています。刑事処罰の議論では、限界事例についての検討や、特異な例外事例の存在など緻密(ちみつ)な検討が必要だと考えました。しかしながら、私の発言は、例外事例としても不適切であり、お詫(わ)びして撤回いたします」とのコメントを公表した。
島岡まな教授「先進国だったら議員辞職くらいのレベル」
 発言を聞き、驚いて絶句した。日本では今まで問題にされなかったと思うが、先進国だったら国会議員辞職くらいのレベルだ。海外の先進国では、対等な関係がなければ、恋愛とはみなさない。
 成人と中学生の場合、真摯(しんし)な恋愛関係は成りたたないという姿勢を刑法で示すことが大事だ。法律、社会の規制として、そうしたものは性的搾取にあたるから、犯罪となり得るということを見せるべきだ。

山口県青少年健全育成条例
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a11800/seisyounen/jourei/zenbun.html
第12条 
1何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)金品その他の財産上の利益を供与し、若しくは役務を提供し、又はこれらの供与若しくは提供を約束して性行為又はわいせつの行為をすること。
(2)相手方を欺き、若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて性行為又はわいせつの行為をすること。
(3)あつせんを受けて性行為又はわいせつの行為をすること。
2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつの行為を教え、又はこれらを見せてはならない。
。。
長野県子どもを性被害から守るための条例
https://www.pref.nagano.lg.jp/jisedai/kyoiku/kodomo/shisaku/documents/20171016kaijorei.pdf
(威迫等による性行為等の禁止)
第17条 何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならない。
2 何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じてわいせつな行為を行わせてはならない。
3 何人も、子どもに対し、自己の性的好奇心を満たす目的で、性行為又はわいせつな行為を見せ、又は教えてはならない。
。。
京都府青少年の健全な育成に関する条例
http://www.pref.kyoto.jp/reiki/reiki_honbun/a300RG00000341.html
第21条 
1何人も、青少年に対し、金品その他財産上の利益若しくは職務を供与し、若しくはそれらの供与を約束することにより、又は精神的、知的未熟若しくは情緒的不安定に乗じて、 淫行又はわいせつ行為をしてはならない。

1 何人も、青少年に対し、 淫行又はわいせつ行為を教え、又は見せてはならない。

・・・
R02改正前の大阪府青少年健全育成条例
https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00000487.html
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)第二条第二項に該当するものを除く。)。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。