児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影送信させちゃった要求行為の擬律

撮影送信させちゃった要求行為の擬律

 2回送らせるとこんな経緯になると思いますが、要求行為は送らせる製造罪の未遂なので、結果として送らせれば、製造罪に吸収されるでしょう。要求行為で逮捕して、製造罪で再逮捕というのはまずいと思います。

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奈良県青少年の健全育成に関する条例の解説r02
児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第34条の2 何人も、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ及び同項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録をいう。以下同じ。)の提供を求めてはならない。
【要旨】
本条は、スマートフォン等の普及に伴い、SNSに代表されるコミュニティサイト等を通じて知り合った相手に、青少年が自身の裸体等を撮影させられた上、メール等で送らされる事案が後を絶たないことから、全ての者に対して、青少年に、自身の姿態が描写された児童ポルノ又はその情報を記録した電磁的記録その他の記録の提供を求める行為を禁止し、青少年の健全な育成を図ろうとするものである。
【解説】
1 青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の大半は、コミュニティサイト等を通じて行われており、その要求は本県内から行われているとは限らないことから、本条にいう「何人も」とは、本県内にいる青少年(本県内に居住していることはもとより、旅行等で一時的に県内に滞在している、又は県内を交通機関を利用して通過している青少年を含む。)に対し、児童ポルノ等の提供を求めた者の全てをいう。自然人、法人、成人、未成年、その性別を問わない。
2 「当該青少年に係る児童ポルノ等」とは、求める相手方である青少年自身の姿態が描写された児童ポルノ等をいう。したがって、他の青少年の姿態が描写された児童ポルノ等を求めた場合については、該当しない。
また、どのような表現が「児童ポルノ」に該当するかについては、要求文言とその前後のやりとりを総合的に判断し、該当性の判断を行うことになるが、その要求に青少年が応じてしまった場合、児童買春・児童ポルノ禁止法第2条第3項に該当する児童ポルノが提供されることが社会通念上明らかに認められることが必要である。
3 「提供を求める」とは、児童買春・児童ポルノ禁止法第7条第2項に規定する「提供」を行うように求めることであり、当該児童ポルノ等を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、児童ポルノの写真、電磁的記録に係る記録媒体といった有体物のほか、電子メール等に添付された無体物である画像データ(これら児童ポルノに係る有体物、無体物を含めて「児童ポルノ等」という。)を求める行為がこれにあたる。同項にいう「その他の記録」とは、電磁的記録に類似するが電子計算機による処理を経ない等により「電磁的記録」にあたらないものをいう。具体的には、ファクシミリにより送信したものに児童ポルノ等を描写した画像がこれにあたる。
4 本条の規定に違反して、青少年に対し、不当な手段(「当該青少年に拒まれたにもかかわら
ず」及び「当該青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は当該青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の申込み若しくは約束をする方法」)により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた者には、罰則(30万円以下の罰金)を科する旨定めている
(条例第42条第3項第11号)。
5 本条は、不当な手段を用いた要求行為のみを禁止しているものではなく、恋愛関係にある場合や冗談等であっても、児童ポルノ等のやり取りにより、インターネット上への画像の流出やリベンジポルノに繋がり、青少年を将来に渡って苦しめる要因となる危険性が否定できないことから、青少年に対して児童ポルノの自画撮り画像を要求する行為は、いかなる態様であっても禁止するものである。
ただし、罰則については前述の不当な手段によるもの以外は適用しない。
【罰則】
本条に違反し、かつ、一定の悪質な要求行為を行った者には、30万円以下の罰金
《関係法令等》
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条
(定義)第3条の2(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待
に係る行為の禁止)第7条(児童ポルノ所持、提供等)

罰則
3 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(11) 第34条の2の規定に違反して、青少年に対し、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた者であつて、次のいずれかに該当するもの
ア当該青少年に拒まれたにもかかわらず、当該提供を行うように求めた者
イ当該青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は当該青少年に対し、対償を供与し、若しくはその供与の申込み若しくは約束をする方法により、当該提供を行うように求めた者

3 第3項第11号アの「拒まれたにもかかわらず」とは、青少年に対して当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めた者が、当該青少年による拒否の意思が示され、それを認識しているにもかかわらずという意味である。したがって、やりとりの記録などから拒否されたと認識していることが明らかである場合のほか、社会通念上、青少年の意思表示が拒否したと認められるものであり、かつ、それが児童ポルノ等の提供を行うように求めた者に到達していることが明らかである場合には、拒否されたと認識していたということができる。
4 第3項第11号イの「威迫」とは、他人に対して言語挙動をもって気勢を示し、不安の感を生じさせることをいう。脅迫(人に恐怖感を生じさせる程度のもので生命、身体、自由、名誉又は財産に害を加えることを告知)と異なり、他人に恐怖感を生じさせる程度のものであることを要しない。また、単に「威勢を示す」(不安を抱かせるような態度をとる)というよりは強度のものを指す。
「欺き」とは、他人を錯誤に陥れ、虚偽の事実を真実と誤認させる方法により提供を求めることであり、真実でないことを真実であると表示させる行為で、虚偽の事実を示す場合のみならず真実の事実を隠ぺいする場合も含まれる。
「困惑させ」とは、困らせたり戸惑わせることをいい、暴行・脅迫に至らない程度の心理的威迫、又は自由意思を拘束することによって自由な判断ができないようにすることをいう。具体的には、相手方に威力を示す場合、義理人情の機微につけ込む場合、その他相手方を心理的に拘束し得るような問題を持ち込む場合などが考えられるが、いずれにしても、相手方に対する言動のほか、相手方の年齢、知能、性格、置かれた環境、前後の事情などを総合して判断する。
また、「対償を供与し、若しくはその供与の申込み若しくは約束をする」とは、児童ポルノ等の提供に対する反対給付としての経済的利益の供与、その申込み、又は約束をすることをいう。「対償」とは、現金のみならず、物品、サース、債務の免除等も含まれ、金額の多寡は問わない。
5 第3項第11号の罰則適用の範囲については、本県内に要求を行う者、又は要求を受ける青少年のいずれかが存在していれば適用可能とする。

023.06.29 大阪地方版/奈良 朝日新聞
 桜井署は28日、容疑者を県青少年健全育成条例違反(児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止、みだらな性およびわいせつな行為)の疑いで逮捕し、発表した。2019年に改正された同条例では新たに、青少年に児童ポルノの提供を求めることが禁じられたが、今回は初めての適用とみられる。
 署によると、容疑者は小学校講師だった昨年11月、女子中学生(当時13)にSNSでわいせつな画像を送るよう求め、性行為について教えた疑いがある。「裸の写真を2回送らせた。私に好意を寄せているので、何でもしてくれるのではないかと思った」などと話しているという。女子中学生の家族が相談したことで、被害が発覚した。

学生に裸画像送信させた疑い 元小学校講師逮捕=奈良
2023.06.29 読売新聞
 県警は28日、女子中学生に裸の画像を送信させたなどとして、を県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕した。「好意を寄せられていることに乗じてやった」と容疑を認めているという。
 発表によると、容疑者は昨年11月、県内に住む女子生徒が18歳未満と知りながら、「LINE(ライン)」で裸の画像を送らせたほか、わいせつな行為を教えるメッセージを送信した疑い。