児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童淫行罪+強制わいせつ罪(176条後段)の観念的競合とされた事例(福岡地裁)

 性的承諾能力がない9歳が(影響受けているとはいえ少しは残っている)自分の意思で「淫行」するわけがなく、「淫行させられる」わけもないので、児童淫行罪は成立しないと考えます。強制わいせつ罪(176条後段)一本で行くべきですね。その方が処断刑期も重くなるので被害者保護に厚いでしょう。
 児童淫行罪は常習的であっても包括一罪になります。

児童福祉法
第三十四条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六  児童に淫行をさせる行為
第六十条  
1 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

わいせつな行為 9歳娘にさせる 容疑の母親ら逮捕
2010.10.14 読売新聞
 福岡県警南署は13日、長女(9)にわいせつな行為をさせたとして、母親で福岡市の保育士の女(40)と、元交際相手の容疑者(36)を強制わいせつ、児童福祉法違反(淫行)などの容疑で逮捕した。
 発表によると、2人は5月、女の自宅で長女にわいせつな行為をさせたり、自分たちの性行為を見せたりした疑い。昨年10月に携帯電話の無料ゲームサイトで知り合い、今年6月まで交際していた。
 いずれも容疑を認め、女は「容疑者に逆らえず、仕方なくやった」と供述しているという。女が7月、「娘が元交際相手に性的暴行を受けた」と同署に相談し、発覚した。
 長女は現在、児童相談所に保護されている。同署は2人が同様の犯行を繰り返していたとみて調べる。
読売新聞社

福岡の強制わいせつ:女児わいせつに懲役6年判決 福岡地裁「母と交際、悪質」
2011.06.23 毎日新聞
 交際相手だった保育士の女(40)の長女(当時9歳)に性的暴行を加えようとしたなどとして、強姦(ごうかん)未遂や強制わいせつ、児童福祉法違反などの罪に問われた被告(37)に対し、福岡地裁は22日、懲役6年(求刑・懲役7年)を言い渡した。田口直樹裁判長は「母親の交際相手の立場を利用して常習的に犯行を繰り返した。まさに児童への性的虐待で悪質」と指摘した。
 判決によると、被告は10年3月、福岡市の交際相手の女宅で女児が13歳未満であることを知りながら性的暴行を加えようとした。また、同年4〜5月には女と共謀し、女児にわいせつな行為をさせるなどした。
 交際相手の女も強制わいせつ罪などに問われ、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決が確定している。