児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

未承認薬宣伝:「本は広告か」争点 出版社元社長ら、きょう初公判 /神奈川

 わからないときは、立法趣旨・保護法益から理由づけると、もっともらしく聞こえるもので、広島高裁の言い回しをそのまま借りて、有罪判決が書けそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111227-00000130-mailo-l14
「がんに効く」とうたった本を使って未承認薬を宣伝したなどとして、薬事法違反(未承認医薬品の広告禁止など)の罪に問われた出版社元社長らの初公判が27日、横浜地裁(朝山芳史裁判長)で開かれる。出版社側が同法違反に問われるのは異例で、元社長らは無罪を主張する。裁判では本が広告にあたるかを巡って激しい議論が繰り広げられそうだ。
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 出版社側が薬事法違反に問われたケースでは、キノコの一種「アガリクス」が「がんに効く」とうたって虚偽の体験談を載せた本で未承認薬を宣伝したとして、出版社役員が同法違反に問われた事件があり、06年に有罪判決を受けている。

広島高裁H2.9.13
本件「ネオキシンE明治」が,果たして薬事法2条1項所定の「医薬品」に該当するかとの点について考えるに,薬事法は,医薬品・医薬部外品等が国民の保健衛生の維持・増進に深くかかわるところから,これらの製造・販売・品質管理・表示・公告等について適切な規制を加えて,国民の生命,身体に対する危害の発生を未然に防止し,国民の健康な生活の確保に資することを目的とするもので,その2条において医薬品の定義を規定しているが,同条1項2号にいう医薬品である「人又は動物の疾病の診断,治療又は予防に使用されることが目的とされている物」かどうかは,医学的知識に乏しい一般人にはその物の内容を識別して薬理作用の有無を判断することは不可能で,専らその外観・形状・説明等により判断するほかない。そうしたとき,もし右のような使用目的の物が何らの規制もなくほしいままに製造・販売等されると,一般人がこれを不当かつ安易に使用することによつて,国民の多数の者に正しい医療を受ける機会を失わせ,その疾病を悪化させる等してその生命,身体に危害を生じさせるおそれがある。これらの危害を防止することを立法趣旨とする薬事法の下では,何らかの薬理作用を有するものはもちろん,薬理作用上の効果のない物でも,薬効があると標ぼうすることによる場合も含めて,客観的にそれが人又は動物の疾病の診断,治療又は予防に使用されることが目的としていると認められる限り,薬事法2条1項2号にいう医薬品に該当し,同法の規制の対象となると解するのが相当であり,右医薬品に該当するか否かの判断基準としては,その物の成分・本質・形状(剤型・容器・包装・意匠等)・名称・その物に表示された使用目的・効能効果・用法容量・販売方法・販売の際の演述等を総合的に判断して決すべきもので,かかる客観的総合判断の結果による一般通常人の認識いかんでは,たとえ科学的には人の健康に有益,無害な物であったとしても,なお,前記「医薬品」に該当するというべきである。かかる見地から,本件商品の医薬品性を判断するとき,原判決が同様の立場で子細に検討しているところは,いずれも証拠によって認定できる事実であり (ちなみに,原審証人Fの第11回公判調書中の供述部分によると,本件商品について副作用の発現は否定できないことが認められるところから,右商品も決して有益無害なものとは容易に断定できない),これらの事実を総合的に考察した場合,通常人が客観的に「人の疾病の予防に使用されることを目的とする物」といえるので,これを薬事法2条1項2号所定の医薬品に該当するとした原判決の判断には,何ら法令解釈の誤りはないというべく,この点に関する論旨は理由がない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO145.html
薬事法
第八章 医薬品等の広告
(誇大広告等)
第六十六条  何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2  医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3  何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
特定疾病用の医薬品の広告の制限)
第六十七条  政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であつて、医師又は歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、政令で、医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。
2  厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。ただし、薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。
(承認前の医薬品等の広告の禁止)
第六十八条  何人も、第十四条第一項又は第二十三条の二第一項に規定する医薬品又は医療機器であつて、まだ第十四条第一項若しくは第十九条の二第一項の規定による承認又は第二十三条の二第一項の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。

第八十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四  第六十六条第一項又は第三項の規定に違反した者
五  第六十八条の規定に違反した者