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児福で十分だというのですが、性交類似行為に至らない場合には無力ですよ
ね。
とりわけ、被害児童の人格をゆがめかねない重大な結果をもたらし、ひいては
親殺し事件をも惹起しかねなば家庭内での児童の性的虐待(近親姦的虐待)事案
について、その親を刑事法廷に登場させる機会がなかったのは、日本の現代司
法の大いに恥ずべきことである。しかも、現在においても依然として、家庭内
での近親姦的虐待は隠然と存在しているのである。
そこから、家庭や学校、職場等における、児童を保護すべき立場にある者から
の性的虐待を、一つの独立した可罰的な類型として犯罪化することが、つとに
識者から提言されている。
さて、通常刑事事件を扱う地方裁判所や簡易裁判所ではなく、家庭裁判所内の
法廷において、親告罪の桎梏なくして、家庭・職場内等での性的虐待事案
を比較的重く処罰していることをご存じであろうか
・・・
同法三四条一項六号の「児童に淫行をさせる」の解釈の転回を経験した平成一
O年以来、父の子、雇い主の従業員等に対する性的虐待事案につき、同条項を
適用してこれを「児童に淫行をさせる罪」(以下「淫行罪」ということがあ
る。)で可罰的なものとして扱い、現に重い処罰を加えているのである。これ
で、日本の司法も、外国法制に見られる近親姦処罰や「保護すべき立場にある
者L による性的虐待を、重く処罰するとの姿勢をここ三年間で既に実現してい
るといえるのであるが、このことについて、社会の認識は何故か薄いように思
える。