児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

池本判事「児童の性的虐待と刑事法」判例タイムズ

1081P66
 児福で十分だというのですが、性交類似行為に至らない場合には無力ですよ
ね。

とりわけ、被害児童の人格をゆがめかねない重大な結果をもたらし、ひいては
親殺し事件をも惹起しかねなば家庭内での児童の性的虐待(近親姦的虐待)事案
について、その親を刑事法廷に登場させる機会がなかったのは、日本の現代司
法の大いに恥ずべきことである。しかも、現在においても依然として、家庭内
での近親姦的虐待は隠然と存在しているのである。
そこから、家庭や学校、職場等における、児童を保護すべき立場にある者から
性的虐待を、一つの独立した可罰的な類型として犯罪化することが、つとに
識者から提言されている。
さて、通常刑事事件を扱う地方裁判所簡易裁判所ではなく、家庭裁判所内の
法廷において、親告罪の桎梏なくして、家庭・職場内等での性的虐待事案
を比較的重く処罰していることをご存じであろうか
・・・
同法三四条一項六号の「児童に淫行をさせる」の解釈の転回を経験した平成一
O年以来、父の子、雇い主の従業員等に対する性的虐待事案につき、同条項を
適用してこれを「児童に淫行をさせる罪」(以下「淫行罪」ということがあ
る。)で可罰的なものとして扱い、現に重い処罰を加えているのである。これ
で、日本の司法も、外国法制に見られる近親姦処罰や「保護すべき立場にある
者L による性的虐待を、重く処罰するとの姿勢をここ三年間で既に実現してい
るといえるのであるが、このことについて、社会の認識は何故か薄いように思
える。