児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童(当時16歳) をわいせつ目的で誘拐した上同人に対し,その衣服を脱がせて陰部等を露出させ,同人と性交(淫行)し,同人の陰部に手指を挿入するなどし,これらを動画撮影し,同動画を記録して保存した事案において,わいせつ誘拐罪と児童ポルノ製造罪とは牽連犯にはならず,併合罪になる。(東京高裁R01.8.20)

 強制わいせつ行為目的とか、売春させる目的とか、強姦する目的も「わいせつ目的」に含まれますし、撮影行為はわいせつ行為ですけどね。

速報番号369 3 号
わいせつ誘拐, 児童福祉法違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反

東京高等裁判所第10刑事部 令和元年8月20日
裁判要旨
児童(当時16歳) をわいせつ目的で誘拐した上同人に対し,その衣服を脱がせて陰部等を露出させ,同人と性交(淫行)し,同人の陰部に手指を挿入するなどし,これらを動画撮影し,同動画を記録して保存した事案において,わいせつ誘拐罪と児童ポルノ製造罪とは牽連犯にはならず,併合罪になる。
裁判理由
所論は,わいせつ誘拐罪と児童ポルノの製造罪が牽連犯になると主張するが,児童ポルノは,その製造過程が児童に対する性的虐待であり,また,虐待された児童の半永久的な記録となり, 児童に対する権利の侵害が著しいことから,児童の権利を保護するため,善良な性風俗の維持を保護法益とするわいせつ物領布等の罪より重い刑罰をもってその提供等が規制されるに至ったのであって,このような保護法益に鑑みると,児童ポルノの製造罪は,わいせつ誘拐罪のわいせつ目的を実現する犯罪とはいえず,両者の間に手段目的の関係があるとはいえない。
備考
原審において, わいせつ誘拐罪と児童淫行罪とは牽連犯になり,わいせつ誘拐罪と製造罪とは併合罪になると判示し,控訴審は,これを是認した上,弁護人の主張に対し、わいせつ誘拐罪と製造罪とは牽連犯にはならないとした